医療の「不足と過剰」についての考察

binbou

「医療崩壊」という言葉がブーム的な様相を呈し始めたのは、たしか一昨年あたりからだろうか。以後、医師ブログなどを中心として様々に論じられてきたのであるが、最近は「医師不足」をこの「崩壊」の直接的原因として取り上げる論調が多いように感じる。たとえば「貧乏人は医者にかかるな!–医師不足が招く医療崩壊–」(永田宏著、集英社新書)も、その過度に扇情的な書名は別として、それらに連なる一冊と言えるだろう。

「しかし、あと数年もしないうちに、われわれは厳しい現実に直面しなければならなくなる。医師不足は産科と小児科に限った話ではない。地方の病院に限った話でもない。ほとんどあらゆる科目において、すでに医師不足が限界にまで達しつつある。団塊の世代が後期高齢期(75歳以上)を迎える2025年までには、外科をはじめとする 続きを読む