ニュートン力学の医療情報観から知識・情報のブリコラージュへ

先月末から、TOBYOトップページに「日本の闘病記10000」とのヘッドラインを掲出している。現時点の収録病名数は657で、実際に闘病サイト情報を公開している病名は555を数える。一応、これで闘病情報の量的確保という初期の目標は達したと言えるのだが、収録サイト数が1件しかない病名が106もあり、これらを複数件にしていく努力は続けなければならない。また、どんどん新しい治療法や薬剤が登場しており、特にがん治療などでは「半年待てば、新しい治療法が登場する」と言われるほどのスピードで技術開発が進行している。つまり、最新の闘病体験を収録する努力も必要になっている。

まず、収録サイトが1件しかない病名の複数サイト収録だが、収録サイト数は多ければ多いほど良い。なぜなら、それだけユーザーが情報を比較し選択する余地が広がるからだ。これまで医療情報の提供と言えば、「情報の信頼性、確からしさ」という問題がセットで論じられるのが常であった。そしてある意味で、この「情報の信頼性、確からしさ」という決まり文句を言い放った時点で、それ以上さしたる具体提言も進展もないままに、これらの問題は終わってしまったかのごとくであった。これがいわばHealth1.0の医療情報観であり、結局これらの人々は、オーソリティや何の根拠もない「倫理コード」などを持ち出して、まるで「医療情報の正しさ」の番人でもあるかのように振舞って来たのだ。 続きを読む

進化する患者SNS:iMedix


昨日に続いて、Health2.0コンファレンスで発表されたビデオの紹介。このiMedixのビデオは、コンファレンスで発表されたSNS部門のプレゼンビデオの中で、最も評価が高かったと主催者のマシュー・ホルトは述べている。イスラエルのテルアビブを本拠に昨年初め設立されたiMedixについては、昨年暮れにこのブログで紹介済みだが、リアルチャット機能ベースの患者SNSというユニークなサービスを提供している。 続きを読む

治癒コミュニティのバーチャルワールド:HICO


昨年のHealth2.0コンファレンスで、重篤な病気の幼児を持つ家庭のためのオンラインコミュニティ「ソフィアズガーデン」プロジェクトが発表されたが、これは一年前のこのブログのエントリでも紹介した。  その後一年が経過したが、先月コンファレンスでようやくその概要が明らかになった。 続きを読む

Health2.0マーケティングへの接続がベンチャー企業ビジネスモデルに不可欠

11月6日、ニューヨークの医療&製薬市場マーケティング調査会社であるマンハッタンリサーチ社は、調査レポート”Cybercitizen Health v8.0″を発表し、2002年以来米国におけるHealth2.0ユーザーは倍増し、現在6000万人に達していると報告している。このHealth2.0ユーザーだが、マンハッタンリサーチ社では以下のような消費者のことを指している。

・過去12カ月間に以下の行動のうち少なくとも一つを実行した者

  • 医療関連のブログや掲示板を読む。医療関連チャットルームに参加する。
  • 医療関連ブログを書く、コメントを付ける
  • 医療関連フォーラムにトピックを付ける
  • 医療関連ウェブページ、ビデオ、音声コンテンツを制作する
  • オンライン患者支援団体の掲示板、チャットルーム、ブログを利用する

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患者コミュニティと治験コミュニティを繋ぐマーケットプレース: PrivateAccess

privateaccess

かつて医療情報と言えば、すぐに「プライバシー&セキュリティ」というクリシェ(決まり文句)を芸もなく繰り返す時代があった。人々がいた。あるいは「質の高い医療情報」などと、スコラ論議みたいな呪文を唱える輩もいた。もちろんプライバシーもセキュリティも大切だが、もしもこれらを過剰に重視するあまり情報が動かなくなってしまえば、かえって適切な医療を受けられなくなることになるだろう。円滑にフローし簡単にアクセスできなければ、どのような医療情報もその価値を発揮することはない。 続きを読む