消費者ニーズと医療のマッチングサービス:HealthShoppr.com

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患者・消費者の医療ニーズを考えてみると、それらは決して一様ではなく、一人ひとり個別で、しかも特殊なニーズであるはずだ。患者の性・年齢などデモグラフィック属性のみならず、患者のライフスタイルや健康意識などによっても、求められる医療は千差万別であるからだ。ところが医療提供側は、そのような多様な消費者側のニーズを無視してしまいがちである。つまり、建前として「患者の選択」を重視するようになってきたとはいえ、現実には消費者が求める医療と、医療界が提供する医療との間にはギャップが存在し、ミスマッチが起こっている。

別の言い方をすれば、消費者の医療ニーズはもともとロングテール状に存在するにもかかわらず、医療機関側はヘッド部分にのみ対応しようとしている。だが、もしも一人ひとりの医療者を可視化できるとすれば、医療提供側にもロングテールが形成されることになり、両者のテール部分をマッチングさせるサービスが登場する余地が出てくる。それはある特殊な消費者の医療ニーズに対し、それを充たす特別な技能や経歴を有する医師を紹介するようなサービスである。 続きを読む

統合失調症ネットラジオ「こころらじお」

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こころらじお」は、統合失調症の闘病者が自主運営するネットラジオ。ラジオ番組配信の狙いは、次のように述べられている。

この番組は、統合失調をテーマにして、統合失調症の方、 その家族の方、また、この病気について知りたい方に、聴いていて、楽しく、役立つ、 元気になる放送を目指しています。

すでに、2006年の放送開始から9本のプログラムをネット放送しているようだ。プログラムのテーマを見ると、下記のように、どれも統合失調症闘病者の生活に根ざした親しみやすいものばかりで、まさに「元気の出る」内容となっている。

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評価と選択

昨日のNHKスペシャル「うつ病治療 常識が変わる」をたまたま見た。TOBYO収録のうつ病闘病サイトもすでに1100件を越えており、疾患別に闘病サイトを見れば群を抜いてナンバーワンである。最近の傾向を見ると、ブログが認知行動療法に利用されるケースもあり、うつ病などメンタル系の闘病者による闘病サイトは急増している。

番組ではうつ病の医療提供実態について問題をいくつか取り上げていたが、その中で、特に医師の技量のばらつきの問題は深刻である。ある地域では、地域に存在する心療クリニックをクチコミで評価し、消費者がクリニック評価マップまで作っている例を紹介していたが、医療機関や医療者の技量を評価するデータが開示されていない以上、当然の防衛的な消費者行動と言えよう。むしろこのような評価マップは、ウェブ上で共有されるのが望ましいのではないかと思った。 続きを読む

日本のHealth2.0:milog(つぶやき型ライフログSNS)


本日(2月13日)、twitterライクな「つぶやき型SNS」にライフログ(生活情報記録)機能を加えた「milog」(ミログ)が公開された。東京大学、東京工業大学の2人の学生が開発したこの「milog」には、医療サービスを提供する構想もあるようだ。

東京大学医科学研究所と共同研究で、医療系ウェブサービス開発、3月から臨床研究を実施。

東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーション社会連携部門と連携し、禁煙外来、メタボリック外来を対象とした慢性疾患系外来患者の生活習慣改善プログラムの取り組みの継続率、成功率を検証する試みを、都内医療機関の協力のもと09年3月~5月に臨床研究実施、09年末に医療論文の研究発表を予定しております。(プレスリリースより)

実は当方は、以前からtwitterを利用した医療サービスに注目しており当ブログにエントリをポストしたこともあるが、現役の東大生で「milog」を開発した城口さんから、そのエントリをヒントに開発されたとのメールを頂戴した。本当であるなら、たいへんうれしいし、また非常に光栄である。 続きを読む

日本のHealth2.0:オンライフの進化

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昨日(2月12日)、「みんなの闘病サイト、オンライフ」バージョンアップ版が公開された。同社の津田社長ブログによれば

簡単に言うと、「疾患プロフィール」と「闘病日記」機能の追加により
「患者さん向けSNS」のようなサービスになったということです。

とのこと。「疾患プロフィール」とは闘病記作者プロフィールを「基本情報」、「自己紹介」、「関わりのある疾患」、「患者年表」、「投薬履歴」、「関心のあるキーワード」で整理できるページ。「闘病日記」機能とはその名のとおり闘病ブログを書く機能。これによって、疾患ごとの共用プラットフォームと個人プラットフォームの連携が強化され、サイト全体がすっきりと見通し良くなった。 続きを読む