People Get Ready


昨日、仕事を早く片付け、中野サンプラザへ山下達郎コンサートを聴きに行った。ファンクラブのメンバーである妻の知人が、私が古くからの達郎ファンであることを知って、昨年暮れから始まった全国ツアーの掉尾を飾るこの日のチケットを入手してくれたのである。これまでシュガーベイブ時代から、達郎氏の作品は発表のたびに全部入手してきたが、コンサートと言えば1976年のシュガーベイブ解散コンサート以来であり、なんと33年ぶりのライブ体験なのである。

ニューヨークのストリートコーナーを模した舞台オブジェをバックに登場した達郎氏。全国ツアーでしっかり歌い込んだ声は絶好調で、かつて、学生時代に聞いて驚嘆した、あの大きく張りのある声を再び生で聴くことができた。夕刻6時半に開演したコンサートは、終わったのがなんと10時半。ライブパフォーマーとしての力は衰えず、まったく時間の長さを感じさせなかった。あっと言う間にフィナーレになだれ込み、シュガーベイブ時代の「ダウンタウン」が演奏されたが、聞きながら、なんだか複雑な思いが去来するのを感じた。そう言えば33年前、荻窪ロフトの解散コンサートのラストで、この曲のイントロと同時に「これで最後だ!」と叫んだ達郎氏の声が今も耳に残っている。その同じ楽曲が33年の時間を越えて、目の前でライブ演奏される場に立ち会う自分。まるでこの33年間という時間が、まったく存在しなかったような錯覚に襲われた。 続きを読む

TOBYO事典、本日から新バージョン公開

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本日、TOBYO事典テスト版の新バージョンを公開した。新バージョンはインデクシングページ数を200万ページと大幅に増やし、従来分離していた一般サイトとブログサイトの検索を一本化した。また、検索結果の視認性を高めるために、検索結果タイトルをブルーで表示することにした。

依然として「テスト版」を表示しているが、これは「まだまだ改善する余地をたくさん残している」という意味合いとしてご理解いただきたい。これから使い勝手も精度も、継続して改善していかなければならない。だがようやくこれで、日本初の闘病体験バーティカル検索エンジンが本格的に稼働し始めたことになる。何よりもまず、自分の闘病体験を闘病ユニバースに公開してくれた多くの方々に、深く感謝したい。このような多くの方々の自発的な活動が、結果として「200万ページの闘病記」を作り上げたという事実は、本当に驚くべきことである。そしてこれがインターネットによって初めて可能となった、という点も特筆すべき事柄だと思われる。 続きを読む

NEWS: 新バージョン「TOBYO事典」をリリース

ゴールデンウイーク。久しぶりに休暇を取り、ブログもしばらくお休みだった。もっぱら自宅で音楽を聴いて過ごしたが、当方では、いまだにアナログディスクがメイン音源となっている。CDも聞くが、カートリッジやターンテーブルシートによって違う表情を見せるアナログ音源の面白さは捨てがたい。アナログディスク自体も中古市場で格安になっており、これもありがたい。最近、70年代プログレ系のライブ作品を何枚か入手したが、YESのライブなど30年ぶりに聞き直してみて、従来の認識を新たにさせられた。

さて昨年来、ずっと開発に取り組んできたバーティカル検索エンジン「TOBYO事典」だが、この週末、一層強化した新バージョンをリリースする予定。1月公開のテスト版では、検索対象となる一般サイトとブログサイトをラジオボタンで切り替える方式を採用したが、今回、これを統合し一本化する。さらにインデクシング・ページ数を増やすことに注力してきたが、今回リリースのバージョンでは約200万ページとなった。これで、約200万ページ分の闘病体験が全文検索可能となる。もちろん日本初であり、世界でも例はないはずだ。 続きを読む

「闘病記」を越えて(4): データベース「患者の叡智」へ向けて

 wikinomics

本日で、TOBYO収録闘病サイトは710疾患、15000サイトを越えた。これまで闘病ユニバースの規模をおよそ3万サイトと推定してきたが、これでTOBYOはその半数近くを可視化し、分類整理したことになる。だがまだあと半数を残しており、さらに今後多くの新闘病サイトが出現するだろう。こんなところで満足しているわけにはいかない。以前のエントリで現時点におけるTOBYOのプロジェクトミッションを、次のように述べてある。

闘病ユニバースに存在するすべての闘病体験を可視化し、分類整理し、アクセスできるようにすること。

このミッションを遂行するために、今後もサイト収集を進めていくが、来年には「収録サイト数3万件」に到達する予定だ。これで日本の近代医療はじまって以来初の、そしておそらく世界でも初の「患者3万人規模、分類整理され全文検索可能な闘病体験集合」が姿を現すことになる。これを仮に「データベース『患者の叡智』」と呼んでおく。このデータベースは、まず第一に闘病者のために利用してもらいたいが、その他、医療改革、学術研究、製品開発、政策立案、教育、マーケティングなど、およそ医療に関するすべての社会的ニーズに応えられる可能性を持っている。 続きを読む

「闘病記」を越えて(1)

このブログでウェブ上の闘病記のことをあれこれ考察しているうちに、皮肉なことだが「闘病記」という呼称自体に対する当方の違和感は、だんだん大きくなってきている。だが、「闘病記」に代わる適切な呼称とて見つからず、他者にわかりやすく説明する必要もあって、依然としてこの呼称を用いなければならないのが実はもどかしい。

当方のその違和感を探ってみると、「リアル本の闘病記がまずあり、ウェブ闘病記はその代替物みたいなもの」などとリアル本の優越を主張するような、そんな従来の「研究者」たちの言説に対する反発みたいなところにたどり着くと思われる。昨年、「闘病記研究会」なるものに異論をぶつけたのも、実はそのような「反発」があってのことだった。
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