「2009ウェブトレンド5」と闘病体験の構造化

Richard MacManusgが主催するブログサイト”ReadWriteWeb“で、”ReadWriteWeb’s Top 5 Web Trends of 2009“が発表された。それによると、Top5は次のようになっている。

  1. Structured Data
  2. Real-Time Web
  3. Personalization
  4. Mobile Web / Augmented Reality
  5. Internet of Things

これらはいずれも、今、インターネットで起きている重要なトレンドだろうが、TOBYOプロジェクトに携わってきた当方としては、やはりどうしても最初にあげられているStructured Data(構造化されたデータ)に目が向くのはいたしかたない。TOBYOプロジェクトは言ってみれば「闘病ユニバースに存在するデータを構造化する試み」であるからだ。 続きを読む

TOBYOと闘病ユニバース

TOBYO_universeこの夏、日本初の闘病記専門検索エンジン「TOBYO事典」の改良に取り組んできたが、新たに開発したクローラをいよいよ今月中には運用する予定。5月から、1万件の闘病サイトを対象に200万ページの検索インデックスを作成しテスト運用を開始してきたが、今回の改良版では、対象1万5千サイト、検索インデックス300万ページへボリュームアップし、なおかつ検索精度の向上を目指している。

インターネット上に自然発生的に生成された、闘病サイト群のルースでオープンなネットワークを「闘病ユニバース」と呼んできた。これは仮想的なコミュニティと考えてもよいだろうが、TOBYO事典をはじめ、この仮想コミュニティのインフラツールとしてTOBYOを使っていただきたい。 続きを読む

TOBYOのビジネススキーム

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夏から秋へ。まだまだ日中は暑いが、風や虫の音に秋を感じる日々だ。往く夏を惜しむ暇とてなく、TOBYOプロジェクトは前進していく。予定調和的なシナリオなどあろうはずもなく、方向感覚を頼りに少しずつ局面が動き変わる様を確かめながら、「向こう側」から唐突に開けてくる新たな道の可能性を吟味する。そんなことを飽きもせず延々繰り返しているわけだが、それがおもしろい。その過程では、こちらが想定していなかった新たな「気づき」を促してくれるような事々も、遠慮なく「こんにちは」と生起してくるし、また、当然それらへの「学び」が重要になってきている。つまり、トップページの姿など表面上は変化なく見えて、どんどんプロジェクト自身は変わっているのである。 続きを読む

TOBYOプロジェクトの強化改善と修正点

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今週からいきなり秋めいてきたが、TOBYOプロジェクトはいくつかの修正をしながら、今年後半へ向けて動き始めている。TOBYO自体の機能改善は引き続き進めているが、他方、ビジネススキームもさまざまな方々と相談をしている。

まずTOBYOの機能改善では、検索エンジンの精度向上と機能強化に取り組んでいる。従来、クローラーのパーフォーマンスが問題となっていたが、これにかわる新たなクローラー開発を進めているところだ。本文抽出や重複データチェックなどで大幅な精度の向上を目指している。とにかくバーティカル検索エンジンはTOBYOプロジェクトの要となるユニットであり、この改善強化のプライオリティは高い。文字通りの「世界初の闘病体験全文検索エンジン」として、さらに「闘病情報の社会インフラ」として、さまざまな方々に使っていただけるよう、今後もここに注力していきたい。 続きを読む

立川幸治教授とイマヌエル・カント

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今月の初め名古屋へ出張し、名古屋大学医学部の立川幸治教授を訪ねた。立川先生とはこれまで何回かメールのやり取りがあり、そのユーモアあふれるメールを拝見して「おもしろい方だな。ぜひお会いしたいな」という思いがまずあり、また、かつて歴戦練磨のベンチャー経営者としての経歴もお持ちの方であり、とうとうこちらから名古屋まで押しかけて研究室までお邪魔した次第である。

研究室のソファに座るといきなり質問の矢が飛んできて、それから時間があっというまに過ぎた。TOBYOや医療ベンチャーに関して、またご専門の事業経営論など、非常に中身の濃い充実した意見交換をさせていただいたが、その中で立川先生が述べられたいくつかの言葉がいまだに頭を離れない。まず一番感銘を受けたのは次の言葉だ。

「人はリソースではない」

企業経営を考える場合、一般に「人、モノ、金」が基本的な経営資源であると言われているが、立川先生のこの言葉は、これら通俗的な「経営資源」観を再考させるものだと思う。ビジネスの現場では、日常的に「人的リソースが・・・」などと言ってしまうことが多いのだが、立ち止まってよく考えてみると、なるほど人を「モノ、金」と同列に扱うのはたしかにおかしい。しかし、だからと言って、人のリソース的側面を否定してしまえば、はたして「経営」という観点は成立するのだろうか。一方では、そのような疑問も立ちあがる。 続きを読む