Health2.0の事業プレイヤーとして

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私たちは、昨年の秋頃にNPOへの移行を漠然と考え始めていた。そしてそのことをこのブログで公開もしたのだが、それは当時、「TOBYOのようなサービスは、むしろNPOのような非営利事業スタイルのほうが向いているのではないか」と考えていたからだ。だがそれから時間が経つに連れ、次第にそれら「NPO路線」は私たちの中で自然に消えていった。

どの時点でその転換点があったのかと問われると、明確に返答できない。おそらくいくつかの複数の契機があったはずだが、そのひとつは昨年末に”Data is the next Intel inside”との「2.0の原点」に回帰したことだろう。この原点回帰によって、データを起点としたマーケティング・サービス創造という方向が明確になった。そしてそのことはやがてDFCへと繋がっていくわけである。当時、まだHealth2.0のビジネスモデルは多分に不透明であったが、今にして思えば、PatientsLikeMeとSermoの成功を徹底的に分析しておけば、「データ起点」の方向にビジネスモデルがはっきり見えていたはずなのだ。 続きを読む

TOBYO_dfc (direct from consumer)

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街中がサウナになってしまったかのような猛烈な蒸し暑さだ。地面から水蒸気が立ち上っているのが見えるような気さえする。だが、新宿御苑の近辺まで来ると爽やかな冷気が吹いてきて、都心にあって「森の力」を実感したりする。こんな季節になると、とにかく美味しそうに冷えたビールがやたらと恋しくなるが、目下当方、慢性疾患(痛風)改善へ向け生活スタイルを変えているところであり、「常にビールのある生活」も遠のいてしまい残念。

さて、「闘病者の声をダイレクトに伝える、新しいWebアプリケーション」として開発を進めている「TOBYO_dfc」だが、ようやく仕様が最終的にかたまり、この夏中にはアルファ版を完成させてしまいたい。およそのスケジュールとしては、10月頃から年内いっぱいはアルファ版のテスト運用期間とし、来年早々には本稼働に持っていくようなイメージを描いている。 続きを読む

開発すすむDFC

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TOBYOのB2Bプロジェクトとして取り組んできたDFC(Direct From Consumer)だが、現在、さまざまな人々の意見を聞きながら開発を進めている。これまで存在しなかったツールであるだけに、なかなかそのイメージを描いてもらうことが難しい場合もあるが、即座に全体像を理解してもらえることもある。

DFCは「患者が体験した事実をエキスパートに届けるためのツール」であるが、まず製薬会社向けに、薬剤にフォーカスした仕様を想定して開発を進めている。その後、医療機器、医学研究、医療機関、ペイヤーなどにもフィットする仕様を順次的に開発していくことになる。従来、「患者の声を聞く」ためにアンケートやインタビューなどの調査手法があったが、時間やコストの制約があり、なかなか思うようにはデータを集められなかった。これに対しDFCでは、いつでも必要なときに、リーズナブルなコストで納得の行くまで、膨大な量の患者体験データを効率良く調べることができるはずだ。 続きを読む

出口へ向けて

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(Kobe Fashion Mart)

連休から始まった5月も終わり。昨日などまだ寒かったが、今日は一転してやっと5月らしいさわやかな一日となった。先週末から関西へ行ったが、TOBYO_DFC関係でいくつか打ち合わせをし、そして土曜日にはかつての後輩の結婚披露宴に出席した。慌ただしかったが、多数の方々とお会いできたのが収穫であった。

たまたま披露宴が六甲アイランドで開かれたのでさしたる意識もせず出かけたが、着いてみると、かつて当地のショッピングセンターなどのマーケティング・リサーチをおこなった記憶がドッと一度によみがえった。だが、街全体にかつての勢いはないような印象があり、シャッターを降ろした店舗さえ散見された。 続きを読む

900回目のエントリに寄せて

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当ブログは900エントリに達した。ところで、前回エントリ「始まった日本のHealth2.0ムーブメント」を書きながら考えたのは、ある意味でこのブログの役割は終わったのかもしれないな、ということだ。このブログはかなり早い時期から世界のHealth2.0動向をとらえ、様々な事例を紹介してきた。だがそのムーブメントが日本で動き出し、たくさんの人々が直接参加するようになるのなら、ことあらためてHealth2.0を紹介する必要もなくなるだろう。

それに以前に比べると、たしかにHealth2.0の具体事例がニュースとして紹介されるケースは減ってきているように思える。これはこれまで既に多数の事例が紹介されたため、Health2.0のニュースバリューが漸減してきているということもあるだろうが、一方では斬新なサービス自体の登場が少なくなっていることも事実だ。特に成功事例という点では、SermoとPatientsLikeMeの次が今ひとつ思い浮かばない。たしかに23andMeやkeasは有望株だが、しかしまだ顕著な成功を収めているとは言えない。 続きを読む