横断的な知の結集

残暑厳しき折、一人の若者が当方を訪問してくれた。医療変革にかける彼の大きな志に接し、清涼な風に吹かれるような清々しい時間を持つことができた。まず、このことに感謝をしたい。Health2.0、PHRと意見交換したが、あらためて日本におけるこれらの可能性を問われてみると、まだ自分なりに決着のついていない問題も多いことに気づかされ、はたして充分に返答できたかどうか定かではない。

たとえばPHRであるが、いくつかの試行はあるものの、まだ日本では本格的なPHRは出現していない。その原因を説明するために、日本医療の現状からネガティブファクターをもっともらしく列挙するのは容易だろうが、それを言ってみたとことで現実的なソリューションを提起することにはならない。とどのつまり、リスク負担を覚悟する確信犯的なプレイヤーがまだ登場していないということではないのか。「確信犯的なプレイヤー」さえ舞台に上がれば、局面を打開するシナリオはなんとでも作案でき、それなりに舞台はブリコラージュとアドリブで進行するのだろう。 続きを読む

米国最大手HMOがマイクロソフト社Health Vaultを採用

KaiserMHM

10日(火曜)のニューヨークタイムズによれば、米国最大のHMO(保健機構:Health Maintenance Organization)であるカイザーパーマネンテが、マイクロソフト社のPHRであるHealth Vaultを採用しテスト運用を開始する。

当初は、カイザーパーマネンテ従業員15万6千人の個人医療データを使いテスト運用するが、運用が順調であれば、870万人のカイザー会員データをHealth Vault上のPHRにアップし、血圧計や万歩計などモニター装置による付帯サービス提供等を開始する予定。 続きを読む

GoogleHealthの全機能を試してみる

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先日公開されたGoogle Health。その全機能を実際に試してみようと、「Google Health試乗会」がウェブスライドで公開された。スライドを作ったのはHealth2.0ムーブメントの仕掛け人Matthew Holt氏。スライドでは、Google Health上の文字が少し読みにくいかもしれないが、実際にGoogle Healthを試用する際の恰好のガイドとなるだろう。

Google Healthベータ版、ついに一般公開へ

Ghealth昨日19日、Google本社で「Factory Tour of Search」と題した報道関係者向け広報イベントが実施され、席上、マリッサ・メイヤーVPからGoogle Healthベータ版の公開が発表された。この広報イベントの模様は、「TechCrunch」で詳しくレポートされている。先週「Google Healthのビジネスモデルをめぐって」をポストしたが、あのエントリ中に「来る19日(月)にマウンテンビューの本拠Googleplexに幹部召集がかけられ、云々」と「Tom Foremskiブログ」を引用した件は、この「Factory Tour of Search」のことであったのだ。

さて、ようやくその姿を見せたGoogle Health。思えばここまでの道のりは長く、また波乱にとんだものであった。2年前の春に出るといわれながら、結局、出たのはGoogleCo-op。さらにその後、才気煥発アーキテクトであるアダム・ボスワースVP(当時)の指揮によって開発が進められたものの、昨夏のボスワース氏自身の「辞任劇」など、ずいぶんと話題を提供してくれたものである。 続きを読む

Google Healthのビジネスモデルをめぐって

Ghealth

去る2月に開催されたHIMSSコンファレンスのキイノートスピーチで、エリック・シュミット氏自らが発表したGoogle Healthであるが、その後、クリーブランドクリニックとのテスト運用は実施されているはずだが、他にこれという話題も聞こえてこない。

Google Healthについては、そのサービス概要のみならず、やはりビジネスモデルに深い関心が寄せられているのだが、HIMSSでの記者会見では、エリック・シュミット氏はあっさりと広告モデルの可能性を否定してみせたのである。一方、昨秋、Googleのマリッサ・メイヤーVPはユーザー課金の可能性を示したが、まさかこれはないだろう。Google Healthを取り巻く競争環境は、マイクロソフトのHealth Vaultやインテル陣営のDOSSIAとの「三すくみ状況」になっており、Google Healthだけがユーザー課金するわけには行かないはずだ。 続きを読む