先週紹介したNEJM誌の論文「医療情報経済の構造的転換」だが、米国ではかなり大きな反響を呼んでいる。まず、New York Timesが「医療情報保管への懸念」という記事で、早速NEJM誌論文を取り上げている。だがこの記事は、論文のある一面のみをかなり誇張したような論調になっており、そのことが各方面、特にブロゴスフィアから批判されている。 続きを読む
カテゴリーアーカイブ: PHR
医療ロボット
DOSSIAコンソーシアムの動向
ウォルマート、インテル、AT&Tなど巨大企業が参加するPHRコンソーシアムであるDOSSIAだが、先週、CTO(最高技術責任者)であるデイブ・ハモンド氏は、DOSSIAが今年中に稼働することを発表した。一昨年末の電撃的な発表と、その巨大企業からなる参加メンバーによって、DOSSIAはPHRの先端を行くプロジェクトとみなされてはいたのだが、開発を担当するベンチャー企業との紛争により当初計画は大幅に遅滞してしまった。
その後、開発主力部隊を全面的に変更し、ハーバード・メディカル・スクール系グループが開発していたオープンソースPHRである「Indivo」の採用に踏み切り、なんとか立て直しを図ってきた。だがマイクロソフトのHealthVaultやGoogleHealthなど、後発プロジェクトの後塵を拝する立場に立たされていることは否定できない。この三つのプロジェクトに共通するのは、三つとも非医療系プレイヤーが主体になっているところだろう。それゆえ医療機関の巻き込みと、数的優位をめぐる競争は熾烈を極めるものになる 続きを読む
「日本版PHR」の行方
昨年立ち上げられた経産省、厚労省、総務省、内閣官房による「日本版PHRを活用した健康サービス研究会」だが、先月にはひととおりの議論を終え、研究報告書を発表したようだ。ざっとこれまでの議論について配布資料等に目を通したのだが、何か議論の拡散ぶりばかりが目につき、いまいち密度の高い「収束力」の存在を感じ取ることができなかった。
各人各様のPHR論があってもそれは構わないのだが、こうまで研究会メンバーが多人数すぎると、もとより議論の収束点は消失するほかないのだろう。「総花的な、とっ散らかったPHR談義」という印象をぬぐえない。 続きを読む
闘病記とプライバシー
先週、サンディエゴで開催されたHealth2.0の春季コンファレンスは、350社の企業をはじめ消費者代表や研究機関を集め、昨秋コンファレンスに続いて盛り上がりを見せたようだ。多数のコンファレンス・レビューがブロゴスフィアにアップされているが、ここのところ当方はTOBYOの闘病記採録にかかりっきりだったので、これから徐々に目を通していくつもりだ。上の写真は、そのコンファレンスでScott Danielsonという映画制作者が発表したブックレットの一部。 続きを読む