PHRマーケティングの与件整理

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米国医療マーケティング会社「Chilmark Research」社の市場調査によれば、米国PHR市場は急速に構造転換しつつあり、今後次第にB2B(Business to Business)モデルが主流になることを予想している。「過去数週間、われわれが実施した多数のPHRベンダーへの聞き取り調査によれば、消費者から大組織へと、彼らのマーケティング焦点が変えられつつあることが決定的なトレンドであると言える。この『大組織市場』は三つの特徴的市場から成る。すなわち雇用者、医療保険、そして医療機関である。PHRベンダーは、彼らの顧客の中で、これら三つの大組織がPHR導入促進を図る上でより効率的なアプローチ先であり、広範囲だが乗り気ではないエンド消費者市場よりもこれら組織をターゲットにする方が、はるかに容易であると見なし始めている」。 続きを読む

英国NHSのITプログラムに対するHealth2.0的批判

DavidCameron

7日のエントリーで英国NHS(国民保健サービス)のPHRローンチを取り上げた。これに対して、英国保守党の党首デビッド・キャメロン氏が全面的な批判を加えたことが報道されたのだが、この批判の内容が米国のHealth2.0コミュニティでちょっとした話題を呼んでいる。意外にもキャメロン党首の批判内容が、かなりHealth2.0ムーブメントを彷彿させるものだったからだ。 続きを読む

DTC検査サービス:MyMedLab

MyMedLab

ウェブは、時にはリアルでは困難な新しいプレイヤー同士の結びつきや経路を創出する。これは一種の流通変革と考えることもできよう。医療においてもその「流通」過程にウェブを介在させることによって、新しい経路が開かれ、新しい事業が生み出される可能性はある。ただ、その自由度は他の産業に比べるときわめて狭いだろう。自由自在に経路を開き、異なるプレイヤー同士の結びつきを作るには、医療を取り巻く諸規制はあまりにも厳格である。とは言え、消費者視点で従来の医療を変革する挑戦はすでに始まっている。昨年11月、DTC検査サービスをリニューアルし、サイトを新たにリローンチしたMyMedLabもその一つとして注目される。 続きを読む

患者中心医療とPHR

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年末のエントリーで医療界において頻繁に使用される「患者中心医療」という言葉が、現実には空々しいスローガンにしか過ぎず、医療現場において何の実体もないではないかと指摘しておいた。患者のみならず、顧客やユーザーが「中心」に位置づけられるのは他の全ての産業では「常識」であり、ことさら改めて言うまでもないことなのだが、医療ではそうではないからこそかくも頻繁に用いられるということか。また、これはおそらく「患者様」呼称と同じような種類の問題であり、生活者や患者側は容易にその虚構性を見抜いているのだが、医療界だけがそれに気づいていないということか。 続きを読む

イングランドで全住民対象PHRが稼働

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年末の英国BBCニュースは、英国NHS(国民保健サービス)がイングランド全住民を対象としたPHR「NHS Care Record Service」 (CRSと略す)のローンチを「最初の患者電子記録が新しいNHSオンライン・データベースにアップロードされた」と伝えた。これは予算総額120億ポンド(約2兆5千億円)に上る英国医療ITプログラムの一部分を構成するもので、現時点では、おそらく世界最大規模のPHRになるものと思われる。 続きを読む