dimensionsと日本の医療マーケティングの現状

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いろいろなところへお邪魔し、Mac Book Airでプレゼンしているが、相手先プロジェクタとのマッチングに手間取ることがある。ほとんどの企業ではXGAがデフォルトの解像度設定であり、WXGAなどワイド画面対応はまだ少ないようだ。春以来、プレゼンはすべてKeynoteのワイドモード画面で作っているので、今更、「4:3」画面に戻るのもめんどうだし、Lionの新機能を使って、複数のデスクトップ間とアプリ全画面表示をスピーディーに切り替えたり、Safariでページを高速移動することができず、テンポのある見せ方ができなくなってしまう。困ったものだ。

さて、この夏、dimensionsのサービス構成を見なおしてきた。いろいろな方々からのご要望を傾聴し、また価格メニューなどはっきりしていなかった部分を明確化した。それによって、dimensionsのサービスメニューは大きく「dimensions BASIC」と「dimensions CUSTOM」に分けることになった。

「BASIC」では、広大な闘病ユニバースの中を、ユーザーが縦横に探索するための汎用ツールを提供する。当面の提供ツールはディスティラーとX-サーチだが、これは今後増やしていきたい。「CUSTOM」だが、こっちは文字通り、カスタム・ソリューションのためのデータ集計および出力などのサービス群から成っている。二つにサービスを分けることは、これまでもぼんやりとイメージしていたのだが、あらためて明確化したほうが良いと判斷した。 続きを読む

夏の終わりに

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暦は立秋を過ぎた。昼休みに、新宿御苑プロムナードの小川に涼を求め散歩する毎日だが、ギラギラした日差しを遮る木陰には、もう秋の気配がそこここに佇み、夏の終わりが始まった。いつまでも夏が永遠に続くことはないのだと、当たり前のことを言ってみる。

この暑い夏、仕事を続けながらいくつかの「終わり」を見届けた。その中のひとつは音楽評論家中村とうよう氏の死である。衝撃的な氏の自殺の報に接し、あれこれ言葉にならない想いが胸をよぎったが、しばらく経って考えをまとめてみると、あんなにも栄華をきわめた20世紀の音楽産業や音楽業界が、どうやらこれで本当に終わってしまったという感想に行き着いた。ちょうど一年前の今野雄二氏の自殺に続き、20世紀後半に活躍した有力な音楽評論家が相次いでこの世を去ったが、もちろんそれぞれに個人的理由はあろうが、ここ数年の世界的な音楽業界の崩壊と無関係ではないように思えたのだ。

今更言うまでもなく、ダウンロードというパッケージ抜きのフローチャネルの台頭にともない、商品とそれに付随する情報の流通はネット上へ移動し、従来の音楽業界や音楽ジャーナリズムは致命的な打撃を被った。音楽メジャー各社は赤字転落し、大規模ショップは閉店し、音楽雑誌は次々に廃刊した。中でも象徴的なのは、音楽評論家やライターなど「専門家」による音楽作品の序列づけが力を失い、ネットによってすべての作品が水平に置かれ、ブログやコミュニティを通して情報交換されることが一般化したことである。 続きを読む

dimensionsとマーケティング・リサーチ革命

2011年7月度Jmrx勉強会資料

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昨年来、開発に取り組んできた”患者体験傾聴システム=dimensions”。前例のないまったく誰もやったことのないシステムであるだけに、その位置づけや提供価値をめぐり、開発当事者である私達自身が逡巡の末、何度も修正を重ねてきた経緯がある。幸いにもイスラエルのFirst Life Researchが、私たちと似た発想を持つプロジェクトであることが分かり、意を強くしたが、それでも自分たちがやっていることが今日のシーン全体の中で一体どこに位置するのか、視界不良のまま進んでこざるを得なかった。

だが、やがて徐々に視界は晴れ上がってきた。そして、決して自分たちが孤独ではなかったことも、今ではよく分かっている。これらはHealth2.0ムーブメントによってではなく、意外にも世界のマーケティング・リサーチ・シーンでここ数年起きている、また日本ではこれから起きようとしている「革命」の存在に気づくことによって分かったことだ。私たちは無意識のうちに、この「革命」に歩調を合わせ、同じ方向を目指していたのである。 続きを読む

夏のライオン

Mac_Lion

昔、「冬のライオン」という映画があったが、先週、夏のライオンが「こんにちは!」とやってきた。Mac OSⅩのニューバージョン「Lion」である。実はこの2月からMacBook Airを使い始めた。OSのバージョンは「Snow Leopard」で、壁紙の雪片を頭に載せた雪豹が、どことなく愛嬌があって気に入っていた。

そして、とにかくMacBook Airというマシンが良く出来ているのだ。その薄さとシンプルなデザインは感動ものでさえある。久しぶりに、使うのがワクワクするようなマシンに出会ったと思った。プレゼン用に買い求めたのだが、Keynoteが良い。もうPowerPointには飽き飽きしていたが、いざKeynoteを使ってみると、思い通りのページが簡単に作れることがわかった。とにかくシンプルで使いやすい。その昔、ワード、エクセル、パワポを使うためにWindowsマシンを使っていた時期があったが、考えてみると、ワードもエクセルもまったく使わなくなった。Googleドキュメントで十分だ。パワポだけが残ったが、これもKeynoteにリプレースしてしまいたい。つまり、もうWindowsを使う必要が全くなくなってしまったのだ。今後は全面的にMacへ移行することになるだろう。 続きを読む

患者調査のイノベーション

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dimensionsの要約パンフレットを作成した。そのヘッドライン・コピーは

「患者3万人の生の声をダイレクトに聴く—–患者調査のイノベーション」

とした。上図のように、これまでの患者情報収集活動は「伝言ゲーム」に似ており、どこかで患者の声が変えられて伝わってしまう可能性があった。これに対しdimensionsは、ネット上に公開された患者の生の声を、そのまま変えることなく伝える。

もちろん膨大な量の患者ドキュメントを読み込むのは大変だから、重要と思われる固有名詞・名詞群をキイワードとしてリストを作成し、医薬品、医療機関、治療法、検査・機器の4ジャンルに切り出し、また各種条件でデータを細かくフィルタリングするなど、効率の良いデータ処理をはかっている。

新たに「患者体験傾聴システム」という呼称を使うことにしたが、これまでの患者調査と大きく違うところはなんだろうか。それは一口に言って「継続性と汎用性」ということではないかと、最近考え始めている。ある特定の問題解決のために設計・実施される従来調査とは違い、dimensionsは「継続的に、患者の声を通して獲得される、患者との接触体験」を提供するサービスなのである。 続きを読む