TOBYOと闘病ユニバース

TOBYO_universeこの夏、日本初の闘病記専門検索エンジン「TOBYO事典」の改良に取り組んできたが、新たに開発したクローラをいよいよ今月中には運用する予定。5月から、1万件の闘病サイトを対象に200万ページの検索インデックスを作成しテスト運用を開始してきたが、今回の改良版では、対象1万5千サイト、検索インデックス300万ページへボリュームアップし、なおかつ検索精度の向上を目指している。

インターネット上に自然発生的に生成された、闘病サイト群のルースでオープンなネットワークを「闘病ユニバース」と呼んできた。これは仮想的なコミュニティと考えてもよいだろうが、TOBYO事典をはじめ、この仮想コミュニティのインフラツールとしてTOBYOを使っていただきたい。 続きを読む

消費者向けiPhone医療アプリケーションTop5

ABC_GMA

iPhoneの消費者向け医療アプリがかなり出そろってきた。9月3日の米ABC“Good Morning America” で「Top5アプリ」が取り上げられたのでご紹介しておきたい。この「Top5」を選考したのは医師でITコンサルタントも務めるSalvatore Volpe氏で、選ばれたアプリは次のようなもの。(注:ビデオは埋め込みできないので,上記“Good Morning America”のABCサイトでご覧あれ。広告ののち本編が始まる)

  • ePocrates (free)
  • Health Cloud (free)
  • iFitness ($1.99)
  • Pocket First Aid and CPR ($3.99)
  • Restaurant Nutrition (free) 続きを読む

TOBYOのビジネススキーム

 shinjuku0908

夏から秋へ。まだまだ日中は暑いが、風や虫の音に秋を感じる日々だ。往く夏を惜しむ暇とてなく、TOBYOプロジェクトは前進していく。予定調和的なシナリオなどあろうはずもなく、方向感覚を頼りに少しずつ局面が動き変わる様を確かめながら、「向こう側」から唐突に開けてくる新たな道の可能性を吟味する。そんなことを飽きもせず延々繰り返しているわけだが、それがおもしろい。その過程では、こちらが想定していなかった新たな「気づき」を促してくれるような事々も、遠慮なく「こんにちは」と生起してくるし、また、当然それらへの「学び」が重要になってきている。つまり、トップページの姿など表面上は変化なく見えて、どんどんプロジェクト自身は変わっているのである。 続きを読む

医療情報専門のセマンティック検索エンジン登場: healthBASE

healthBASE

セマンティック検索エンジンとは「テクストの意味を理解する検索エンジン」のことで、これまで様々な検索エンジンが登場してきたが、医療情報のみのバーティカルなセマンティック検索エンジンとしては、おそらくこのhealthBASEが初めてであろう。

「テクストの意味を理解できる」ということは、ウェブ上にある膨大な情報をその内容によって機械的に分類できるということだ。だから検索結果を、情報内容によって分類して提示することが可能となる。たとえば「胃がん」という検索ワードによってGoogleで検索してみると、情報内容とは無関係にページランクに従って検索結果は表示される。つまり薬剤情報も症状情報も治療情報も区別されず、「胃がん」についての各種情報が一緒くたに表示されてしまうのだ。これではユーザーにとって不親切である。だがhealthBASEの場合は、「胃がん」で検索してみると、「治療、原因、合併症、治療の賛否」という大分類と、さらにその下位の小分類に情報を整理して検索結果を提示してくれる。これは便利だ。 続きを読む

i-Japan戦略 2015

医療情報はウェブ上に氾濫しているが、本当に自分にとって必要な情報が見つからない。依然としてこのような消費者、闘病者にとっての「現実」が存在しており、これをどう解決するかが、ウェブ医療情報サービスに問われているのである。そして皮肉なことに、最も入手が難しいのが自分の健康状態に関する医療情報である。自分に関する医療情報は医療機関のEMRやEHRに蓄積されているはずだが、その情報に消費者・闘病者が直接自由にアクセスすることはできない。「自分に関する情報」であるのに、それにアクセスすることさえできないという、きわめて理不尽な状況がある。

たしかにEMRやEHRは医療者側の業務システムであり、消費者・闘病者がアクセスすることは想定されていない。だがこれでは消費者・闘病者側が自分の健康に関心を持ち、あるいは主体的に自己の疾患と向き合うことはできない。そこでPHRが必要になってくる。

先週、日経夕刊で政府の「電子私書箱」構想の記事を目にした。ここ二-三年の間に、たびたび目にしてきた「電子私書箱」だが、記事にはPHRに近い機能が盛り込まれているように書かれていた。また昨年来、経産省が中心になって「日本版PHR」の研究会や実証実験が進められていることも承知しているが、正直のところ、これら官庁主導プロジェクトを積極的にトラッキングしようという意欲も関心も薄れるばかりだ。久しぶりに「電子私書箱」や「健康情報活用基盤構築のための標準化及び実証事業」などの動向を少し調べてみたが、「電子私書箱」については、6月30日に発表されたグランドデザイン「i-Japan 戦略2015」における「各論」という位置づけになっていることがわかった。 続きを読む