HMSが新型インフルエンザ向けiPhoneアプリをリリース


iPhoneのAppStoreで、初の新型インフルエンザ向けアプリが発売された。これはHMS(ハーバードメディカルスクール)が開発したもので価格は$1.99。このアプリでは、次のようなコンテンツが利用できる。

  • 新型インフルエンザ基本知識の学習ビデオ
  • 新型インフルエンザから家族を守る方法
  • パンデミックに備えるビジネス
  • HMSから新型インフルエンザの最新ニュース配信

消費者教育ツールという位置づけなのだろうが、同じサービスをウェブサイトからPCベースで提供しても「無料」になるところを、スマートフォン経由でなら有料アプリとして堂々と販売できるわけだ。スマートフォンは、これまで無料だったサービスを有料化するプラットフォームになりうる。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

Web as Health Care Platform

Health2.0_video

先日のエントリで、次世代医療の一つのイメージとして「病院が患者に示す治療計画の中に、必ずPHRなどウェブ情報サービスの利用メニューを盛り込むことが、これからどんどん進むのではないだろうか。これまで医療現場とウェブ医療情報サービスは、あまり接点を持つことはなかった。だが次世代医療では、これら両者はシームレスで一体不可分なサービスへと、むしろ積極的に統合されていくのではないか。」と書いた。従来、「ウェブ上の医療コンテンツやサービスは、あくまでもリアル医療の補完物」という暗黙的なルールがあったような気がする。ちなみに、このような暗黙的ルールを前提として作られたコンテンツやサービスを「Health1.0」と呼んでよいだろう。

言うまでもなく、Health2.0はWeb2.0にインスパイアされて出てきたのだが、単にWeb2.0テクノロジーを医療分野に応用するだけではなく、それはWeb2.0が包含していたより広いパースペクティブを医療に適用しようとする意欲的な試行でもある。今日のTHCBに、Michael Millensonによる「Health 2.0: Beneath the Hype, There’s Cause for Real Hope」と題するエントリがポストされたが、読んでいると「Web-as-health-care platform」というフレーズに目がとまった。そういえば、ティム・オライリーが歴史的論文「What Is Web 2.0」(2005)を発表してからすでに四年が経ったが、あの論文中「Web 2.0の7つの原則 」の最初に「The Web As Platform」が掲げられていたのだ。Michael MillensonはHealth2.0を説明するために、あの「The Web As Platform」を呼び出し、再び想起させ、そこから「医療プラットフォームとしてのウェブ」という新しい意味を引き出したわけだ。 続きを読む

オランダのHealth2.0


今月12日、13日、オランダのナイメーヘンで欧州Health2.0コンファレンス「Reshape2009」が開催されたが、そのテーマビデオ「Healthcare and internet in Netherlands」がYouTubeにアップされた。Health2.0のイメージビデオとしては、一昨年、米国の第一回コンファレンス冒頭で上映された「Health is…..」が有名だが、今回のオランダのビデオはそれを上回る出来だ。非常にウェルメイドで効果的にHealth2.0のメッセージを伝えており、すなおに感動してしまった。おそらく、これまで作られたHealth2.0関係ビデオの中では、間違いなくベストではないかと思われる。

Health2.0は米国だけではなく、全世界の医療を変革するムーブメントへ成長しつつある。このビデオを見てそんな思いを強く持った。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

ClevelandClinicのHealth2.0戦略

先週、MayoClinicのソーシャルメディア戦略のスライドを紹介したが、このほどMayoと並ぶ米国のトップ医療機関であるClevelandClinicのHealth2.0戦略スライド「Health 2.0は、どのように医療業務と医学研究を作り直すか」が公開された。なおこのスライドは、オランダで開催されたHealth2.0コンファレンス「Reshape 2009」で発表されたもの。

このスライドを見て、これまでWeb2.0テクノロジーの医療分野への応用を啓蒙的に語ることがこの種のプレゼン・スライドの主流であったのだが、それがより実践的な課題に落とし込まれてきていると感じた。米国やヨーロッパの医療機関では、ここ二三年の間にHealth2.0分野の実践経験が相当積み上げられてきているのではないかと思われる。このスライドでも、患者に医療機関が有力なソーシャルメディアサイトやその有効な使い方を教育することが、医療機関が提供する医療サービスの一環であることが、何の不自然さもなく語られている。 続きを読む

病院のソーシャルメディア戦略: MayoClinic

Reshape09
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最近公開された米国MayoClinicのソーシャルメディアに関するプレゼンテーション。MayoClinicと言えば、米国でも最もマーケティングとコミュニケーション活動に熱心な医療機関として知られている。特にかつてのMedicalEdgeなどは、一種の医療情報通信社としてマスメディア向けに定期ニュース配信までしており、医療機関の広報センターとしては破格の存在であった。だがここ数年のうちにマスメディアの影響力は激減してきており、MedicalEdgeも規模を縮小され、新たにMayoClinicのソーシャルメディアへの取り組みが開始されたようだ。

数年前、日本のある大手病院にMayoClinicをモデルとしたコミュニケーション活動戦略を提案したことがあった。競合プレゼンの末、当方提案は採用されたのだが、実施段階で結局フェードアウトの憂き目に会った。責任感のきわめて薄弱な病院幹部の態度には呆れたが、事務方にマーケティングやコミュニケーションがわかるスタッフが皆無であることにも驚いた。これでは、戦略的なコミュニケーション活動などできるわけがない。 続きを読む