AskingからListeningへ

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いよいよdimensions開発の追い込み段階に入った。予定通り、7月からのサービスインへ向け疾走中。ここへ来て、これまでてんでバラバラに存在していた事々が、まるでジグソーパズルのピースが嵌るように、やっと徐々に明瞭な姿形を取りはじめてきたように感じられる。

これまで、dimensions開発の過程でいろいろ思い悩むことも少なくなかった。だが結局のところ、それらはdimensionsの応用領域あるいは守備範囲がきわめて広いところに起因する。何を機能の柱とし、一体どんな理解をしてもらえばよいか、絞りきるのが難しいと思えた頃もあった。

さらに、コンセプト開発の初期段階では見えていなかった課題が次々に立ち上がり、その都度あれこれ思考を重ねているうちに、たとえば「リサーチ・イノベーション」など従来のレガシー調査を乗り越える方向が見えてきたり、また「リスニング・プラットフォーム、ソーシャル・メディア・リサーチ」など今日的なイシューが私達の視界に飛び込んできたりもした。 続きを読む

雨のdimensions

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なんだか昔の歌謡曲みたいなエントリタイトルだが、終日雨。雨の中をミーティングに出かけたが、雨のためでもないだろうが道を間違え右往左往。目的地に遅れて到着。失礼。

dimensionsについてディスカッションをおこなったが、いくつか重要な「気づき」をいただいた。dimensionsでは病名ごとに闘病ドキュメントを薬品、治療法、機器、医療機関の四つの次元に分けて分類しているが、これではある意味、患者体験の全体像が分解寸断されていることになる。つまり、患者体験の連続した全体像をコンパクトに再構成する必要があることに気付かされたのだ。感謝。

ではこれをどうやって実現するかだが、dimensionsの基本仕様は変えずに、オプションメニューとして追加することになる。具体的にはオーダーを受けてターゲット病名を決め、限定した病名のデータだけを対象に二次加工をおこなう。データ処理だが、エントリ日付から時間軸を構成し、すべての次元のマーカー(キイワード)をマッピングしていくようなことになるだろう。大雑把だがそんなイメージだ。今後、細かく詰めていく。 続きを読む

ソーシャル・リスニング・プラットフォーム

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昨日エントリで、先月発表された電通のソーシャル・リスニングのフルサービス「Sora-lis」について少し触れたが、この「ソーシャル・リスニング(傾聴)」という言葉が特に印象に残った。まさにdimensionsにぴったりのフレーズだ。しかしあとで調べてみると、これは何も電通の専売特許ではなく、不覚にもすでに米国マーケティング界で広く用いられている言葉であることがわかった。

ここ数年のソーシャル・メディアの爆発的展開によって、従来のマーケティングはソーシャル・メディア・マーケティング(SMM)へ進化することが要請され、同時に従来のマーケティング・リサーチもソーシャル・メディア・リサーチ(SMR)へと進化し、その有力なリサーチ手法としてソーシャル・リスニングが注目されるようになったようだ。三年前に出た「グランズウェル」(シャーリーン・リー著、Harvard Business School Press)には次のような記述が見られる。

「マーケターや開発チームの情報源となってきた市場調査部門は脇に追いやられ、リサーチ部門であれ、マーケティング部門であれ、傾聴を担当している部署が組織の意思決定を左右するようになる」(132頁)

すでに米国では多数のリスニング・ベンダーが登場しており、それぞれ工夫を凝らした「リスニング・プラットフォーム」を提供しているようだ。その中でもConverseon社とRadian6社(Salesforce.comが買収)がリーダー的存在であるらしい(The Forrester Wave.: Listening Platforms, Q3 2010)。日本では野村総研が「TRUE TELLER」というサービスを準備中であり、先述のように電通が「Sora-lis」をリリースしている。 続きを読む

機は熟した。ソーシャル・メディア・マーケティング。

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連休も終わり、今日からまたいつもどおり街は動き始めた。当方、仕事をしながら中途半端に休んだので、連休明け早々、なんだか疲れが出てきたような気がする。細野さんや岡本太郎からエネルギーはもらったのだが、週明けからミーティングの予定が狂ったりもして、調子よくない。今日など、帰ってワインなど飲んでぐっすり睡眠を取りたいところ。

ここのところ、やはりdimensionsに力を入れて取り組んでいる。一方ではバグフィックスなどシステム修正の山をこなさなければならないのだが、やはりこのサービスに関してどんなパーセプションを作り上げるかということが問題だ。そしてソーシャル・メディアの時代というフォローの風を生かしつつ、どう「リサーチ・イノベーション」へつないでいくかも重要だ。「リサーチ・イノベーション」については、2月にこのブログにポストした三篇の論考エントリが理論的支柱になるだろう。

一方、先月、広告業界では電通が「ソーシャルメディアを活用したマーケティング分野のソリューション開発」として「ソーシャルメディア上の声を『傾聴』し、企業のマーケティング戦略に活用する『ソーシャルリスニング』のソリューション手法=Sora-lis」を発表し、博報堂グループはソーシャル・メディアをテーマとするグループ横断組織「博報堂DYグループ・ソーシャルメディア・マーケティングセンター」を発足させた。
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dimensionsと今後のビジョン

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新緑の季節となった。石神井公園では菖蒲の葉があちこちでぴんぴんと元気よく伸びている。

dioensionsの7月サービスインへ向け準備をしているが、やっと今月からデモンストレーションが可能となり、ご協力してくださる皆さん方に試用をお願いしている。まだ未整備部分も多々あり、これからバグフィックスと改善に力を入れていかなければならない。同時に前回エントリで少し触れたように、TOBYOプロジェクトのビジョン再構築にも想いをめぐらしている。

上図のように、今後のTOBYOプロジェクトはTOBYO本体とdimensionsに加え、闘病者調査パネルを創造する方向へ向かう。三極構造としてプロジェクト全体を構想することによって、TOBYO本体とdimensionsの位置づけと役割が一層明確になると思う。特にdimensionsについては、ファクト・ファインディング・ツールと位置づけを限定することによって、他の外部パートナーのサービスとの連携や接続を重視していきたい。多様なビジネス・スキームに柔軟に対応できるようにしたい。

実際にはdimensionsは調査仮説や製品開発コンセプト仮説など、たとえば仮説構築のための支援ツール、あるいは定常的な消費オーディット・ツールという使い方が想定される。つまりdimensionsは、関連事実を素材収集しそこからアイデアや気づきを効率よく得るためのツールであり、また患者の闘病現場で何が起きているかを把握するためのツールである。

このようにdimensionsは単独ですべての調査活動を網羅するものではない。いわばさまざまな調査に先立つ、プレ・ツールのようなものを想起していただけたらと思う。もちろん闘病体験データを大量に出力することもできるが、それらを集計分析しインサイト・レポート等にまとめて報告する役割は、外部の協力パートナーにお願いしたい。 続きを読む