三宅 啓 の紹介

株式会社イニシアティブ 代表 ネット上のすべての闘病体験を可視化し検索可能にすることをめざしています。

TOBYO in San Francisco

サンフランシスコ・ヒルトンで開催されたHealth2.0_SF_2010の二日目(10月8日)、午後のセッション”Health 2.0 Tools Around the World”で、TOBYOとDFCのプレゼンテーションをメディカル・インサイトの鈴木さんにお願いした。このセッションには日本からTOBYOとMedPeer、インドから2社、イタリアから1社が参加した。鈴木さんのすばらしいプレゼンテーションによって、TOBYOとDFCは世界に登場することができた。とにかく、早くDFCアルファ版を完成させなければならない。10月中の完成をめざしている。

なおこのビデオは、MedPeerさんのご好意によって提供していただいたもの。MedPeerの皆さん、ありがとうございます。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

ShareCare: Social Q&A Platform

ShareCare201010

今回のHealth2.0_SF2010で一番注目を集めたShereCare だが、すでにサイトは稼働している。マシュー・ホルトがブログで「今回、ShareCareのためにルールを破った」と告白しているが、それほどまでに別格扱いされているのは何故か。おそらくそれは、CEOのジェフ・アーノルドをはじめ豪華メンバーとクリーブランドクリニックなど豪華ブランドの結集、そして破格の投資額によるところが大きいのだろう。

しかしこう書いてくると、強い既視感を抑えることができない。あの”Revolution Health”(以後RHと略す)の登場シーンとダブって見えるのは、いたしかたないことだろう。だがRHは”Revolution”を起こすことも、さしたる成果を収めることもなく、EveryDayHealthに売却されてしまった。熱狂、興奮、そして失望。2007年から始まったHealth2.0のほんの短い歴史において、これは最初の一つのサイクルの終りを告げる事件であった。 続きを読む

First Life ResearchとTOBYO_DFC


昨夕、メディカル・インサイトの鈴木さんの来訪あり。先週サンフランシスコで開催された「Health2.0 SF 2010」について詳しくお話しを聞いた。TOBYOプレゼンをはじめとして、今回の鈴木さんのご活躍には本当に頭が下がる。その後、当方の「オフィシャル・レストラン」である随園別館に場所を移し、ピータン豆腐、切り干し大根卵炒め、水餃子、羊のしゃぶしゃぶなど食べながら、美味しい瓶だし紹興酒をぐいぐい飲んで楽しく歓談したが、TOBYOプロジェクトにとって今回のカンファレンスが非常に意義深いものであったことをあらためて確認した。

ポイントはたくさんあるのだが、その中でも、とにかく私たちのDFCのライバル”First Life Research”(以後FLRと略す)の登場が特筆される。このFLRの登場によって、「私たちの発想は決して孤立してはいなかったのだ」と意を強くした。このような医療における「ソーシャル・リサーチ」とも呼べる新しいサービスが、同時期に日本とイスラエルから登場したことがおもしろい。

だが同じ発想に基づきながらも、DFCとFLRはかなり違う。DFCが薬剤だけでなく医療機器、医療機関、治療法など医療マターを広範囲にカバーしているのに対し、FLRはあくまで薬剤だけに特化している。DFCは闘病ブログなど患者体験ドキュメントを収集しているが、FLRは患者コミュニティや掲示板のポストまで収集しているようだ。また分析手法も異なる。SF2010でのFLRのプレゼン・ビデオ(上図)が公開されたが、これを見て、想定していたよりマイニング技術の投入が少ないように思った。どうやらGoogleTrendsみたいな薬剤名出現の時系列把握、そして薬剤ごとの話題出現マトリクスがFLRの肝であるようだ。 続きを読む

データは次世代アプリの『インテル・インサイド』: Health2.0_SF_2010

Health2.0_SF_2010

先ごろ開催されたHealth2.0_SF2010。その劈頭を飾ったティム・オライリー発言の要旨を入手したのでご紹介しておきたい。でも、「要旨」だけあってディテールは貧弱。スカスカ感は否めないが、「ないよりマシ」と思っていただければうれしい。

内容は、まさに最初のこの一行に尽きる。

データは次世代アプリの『インテル・インサイド』である

思い出せば一年前、たまたまクリス・アンダーソン「Free」を読み、この言葉に再度出会い、再検討することから私たちはDFC開発を思いついたのだった。患者体験データが医療における「コアデータ」であることに気づいたのだ。医療分野で新しい情報サービスを開発するためには、とにかく「データ」に着目すること。どんなデータを、どこから、どの程度収集するか。その実行リスクとコストはどうか。そして「データ」をどんな形で提供できるのか。必要な機能と付加価値はなにか。 続きを読む

FLRとTOBYO、そして社会的情報共有&フローシステム

FLR

先週のHealth2.0 SF 2010開催にタイミングを合わせてだろうが、イスラエルから注目のFirst Life Research(以後、FLRと略す)のサイトが正式にオープンした。これでこのサービスが目指していることが、かなりはっきりと把握できるようになった。

マーケティング・リサーチをはじめ各分野の調査研究活動は、この10年ばかりの間に大きく変貌をとげている。それを要約すると、仮説検証型からデータ駆動型への変化であると言える。各種デジタルセンサーやインターネットの登場によって、収集されフローするデータ量が爆発的に増加し、従来の「仮説構築-実験計画-実験データ収集-検証」という仮説検証型スタイルは、まずはじめに大量のデータを集め、解析することによって仮説を見つけ出し、そして検証するというデータ駆動型スタイルに変わってきている。データ収集コストが劇的に下がった結果、効率のよい実験計画を立てる必要はなくなり、「はじめにデータありき」になってきているわけだ。

このような変化の中で登場したのがTOBYO&DFCそしてFLRである。どちらもインターネット上に公開された膨大な量の患者体験データに注目し、それをアグリゲートし精製抽出した上で各種医療関連エキスパートに提供することをめざしている。つまり「これから患者体験データを集めよう」という発想から「すでに公開済みの大量のデータを利用する」発想へと変わってきているわけだ。私たちのTOBYOプロジェクトでは日本語圏ウェブに存在する約2万4千サイト、一方のFLRは英語圏ウェブの16万サイトをすでに収集しているが、とにかくデータ量の確保がこれからの調査研究サービスの前提であることは間違いないだろう。質を言う前に、量の確保が優先する。 続きを読む