データは次世代アプリの『インテル・インサイド』: Health2.0_SF_2010

Health2.0_SF_2010

先ごろ開催されたHealth2.0_SF2010。その劈頭を飾ったティム・オライリー発言の要旨を入手したのでご紹介しておきたい。でも、「要旨」だけあってディテールは貧弱。スカスカ感は否めないが、「ないよりマシ」と思っていただければうれしい。

内容は、まさに最初のこの一行に尽きる。

データは次世代アプリの『インテル・インサイド』である

思い出せば一年前、たまたまクリス・アンダーソン「Free」を読み、この言葉に再度出会い、再検討することから私たちはDFC開発を思いついたのだった。患者体験データが医療における「コアデータ」であることに気づいたのだ。医療分野で新しい情報サービスを開発するためには、とにかく「データ」に着目すること。どんなデータを、どこから、どの程度収集するか。その実行リスクとコストはどうか。そして「データ」をどんな形で提供できるのか。必要な機能と付加価値はなにか。

TOBYOプロジェクトやDFCが、従来の医療情報サービスと違う点は何かといえば、それは「データ」にこだわっていることだろう。そしてそのことを私たちはティム・オライリーに学んだのだ。Web2.0といえば、何か単純に双方向コミュニケーションやコミュニティのことだと誤解している向きも多いようだが、コアにある思想は「Web as platform」であり、そしてその具体的な指針の一つが「データは次世代アプリの『インテル・インサイド』」である。そしてさらに、前回エントリで触れたこととも関係するが、「データ駆動型」もまた新しいサービスを着想する際の重要なキイワードである。

データは次世代アプリケーションにおける「インテル・インサイド」だ。アプリケーションというものはデータサービス群の協力次第なのだ。そのことは、あなたのスマートフォンに配信されたGoogleMapsを考えればわかるだろう。私たちは、データ駆動型(Driven)のオペレーティング・システムをインターネットのために構築しているところなのだ。

Health2.0---私たちは一つのコンピュータを組み立てようとしており、そこではすべてのものが接続されている。デバイスはそのシステムの単なる部分にすぎない。医療はいまだ孤立している。私たちはどんなふうにそれを変えたいのか、それに接続したいのか。

インターネットのオペレーティング・システムはリアルタイム・システムである。五分前のデータに基づいて、車の往来が激しい道路を渡ろうとする人はいるだろうか。Googleは重要だが、それは私たちにインターネットのほとんどのことを教えてくれるからだ。

私たちは、医療を芸術ではなく科学へと変える必要がある。そのことはむつかしいだろう。そのことは、多くの現存するシステムを壊すことになるかも知れない。メディアの世界で経験した痛みを想起せよ。disruptionがdisruption(崩壊)と呼ばれるのは、それなりのわけがあってのことだ。

医療は一つの情報神経システムを求めている。それはリアルタイムに反応することが要求される。

Web2.0とは、カッコいいweb2.0企業に関することではない。Walmartも多分に2.0だ。彼らの会社はテクノロジーを注入されている。商品はレジ支払いされて20秒以内に再発注されている。iPadはゲーム・チェンジャーになるだろう。たとえばタブレットのインターラクティブなEMRになるだろう。スマートフォンはセンサー・プラットフォームになるだろう。

すべてのデバイスはデータを生み出し、すべての行動はインターネット上に「情報の影」(information shadow) を作り出す。

医療の外部ソースから多数のイノベーションがやって来る。たとえば“Quantified self movement”がそれだ。あらゆる場所にセンサーが存在し、集合知が存在するようになるだろう。

(出典:The HealthCamp Ekive- Where Web2.0 meets Health2.0. Thoughts and ideas from Ekivemark

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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