今月3日、4日、サンディエゴで開催されたHealth2.0春季コンファレンスだが、早くも次の秋季コンファレンス開催が発表された。次回は10月21日から23日までの三日間、サンフランシスコで開催される。昨年の初回コンファレンスよりも規模はかなりスケールアップされるようだ。
テーマはまだはっきりしないが、次回は春のような絞り込みはせずに、「Web2.0テクノロジーと医療」というような一般的なものになるらしい。ムーブメントとしてのHealth2.0は、いまだ初期段階にあるとの認識が一般的だが、そろそろシンボル的な成功事例が出てきてほしいものである。たしかにSermoなどの成功事例は出てきてはいるのだが、どちらかと言えば小粒感は否めない。ただ、PHRではGoogle Health、Health Vault、DOSSIAと大物が出そろったので、これらに連動するようなサービスが登場すればおもしろい。
しかし一方ではHealth2.0の意義として、従来の医療観を批判し、新しい医療のあり方を市場、制度、社会的機能の各方面から再検討する機運を起こしている点に注目したい。「ユーザー参加型医療」など新しい視点が生み出され、そこから新しいサービス創造の切り口がいくつも開かれた。何もGoogleHealthやHealthVaultのような巨大プロジェクトでなくても、アイデアさえあれば新しい医療サービスがどんどん登場してくるような勢いを、Health2.0ムーブメントは醸成していると思う。
そして今後、医療における闘病者(患者、家族、友人)の自発的な行動が、ますます重要になってくるのではないだろうか。これまでも「患者中心医療」などの言説は医療界にあったが、何か空疎な美辞麗句のようなよそよそしさが、この言葉に付きまとっているのを感じてきたのだ。だが、一昨日も書いたように、今日、闘病ネットワーク圏というものが日本でもすでに作られてきており、闘病者自らが自発的に医療と関わっていく下地が出来ているような気がする。
たとえば「日本のHealth2.0」という着想を描いてみると、いきなり何もないところから巨大プロジェクトを立ち上げるのではなく、むしろこの闘病ネットワーク圏を活かし、さらに繁茂させる方向を目指すべきなのかも知れない。われわれのTOBYOは、そのための一つの試行だと考えている。
三宅 啓 INITIATIVE INC.