三宅 啓 の紹介

株式会社イニシアティブ 代表 ネット上のすべての闘病体験を可視化し検索可能にすることをめざしています。

彼岸参り

昨日、愛宕山まで彼岸参りに行って来た。前夜の雨に洗われたような春の空。日差しが暖かい。墓前で一昨年秋に亡くなった父に、TOBYOアルファ版のローンチを報告した。生前、父はTOBYOの完成を楽しみにしていたのだが、アルファ版を見ることもなく早々と没した。

父の胃がんが告知されたのは、ちょうど二年前の三月であった。以来、セカンドオピニオンを求め、またインターネットで胃がん関係の情報を集め、最終的に有明の癌研病院で胃の全摘出手術を行うことになった。春から夏までの間、父は特に自分と同じようなケースのウェブ闘病記をネットで探し出し、熱心に読んでいた。今にしてみれば、それを横で見ていたことが、後でTOBYOのアイデアを思いつく伏線になっていたと言えるのではないか。 続きを読む

ウェブと日本の医療


Twitterを三分以内で説明するビデオが、おなじみのコモンクラフトから公開された。そのわかりやすい説明には、いつもながら舌を巻く。これを見ていて、ちょうど先日ポストした「Twitterで禁煙」というエントリを思い出した。このシンプルで軽快なコミュニケーション・ツールには、まだまだ医療でも使えるサービス領域があるように思う。 続きを読む

TOBYOの「宿題」

PatientMeetsPatients

TOBYOベータ版の肝が「TOBYO事典」(闘病記特化型検索機能)であることは、一昨日エントリで説明したとおり。これは、ウェブ上に既に蓄積されてある巨大な闘病体験集合から、必要な情報を簡単に探し出す仕組みを提供するものである。そしてこの「TOBYO事典」と一緒に、当初、実は「TOBYO資料集」なるものを作る構想があった。こっちの方は、たとえば医療費とか薬剤など個別テーマに関する断片情報を、たとえて言うとバインダーに綴じ込んでテーマごとに整理参照できるような、そんなアイデアだった。同じく「レファレンス」コーナーに設置される情報共有ツール「キャビネット」に集まる情報を、テーマごとにまとめるようなイメージでもあった。しかし、当面この「資料集」は先送りすることにした。現状でも「キャビネット」に集まる情報を、タグで絞り込んで特定テーマに関するものだけを表示することが可能だからだ。 続きを読む

日本のHealth2.0


(ビデオは、Health2.0春季コンファレンス会場でのスコット・シュリーブ氏インタビュー)

医師SNS「Next Doctors」の石見代表取締役ブログ「Next Doctors’ Diary」に、「患者中心の医療とコミュニケーションについて:講演決定」というエントリ がポストされた。来月某講演会での石見先生の講演概要について紹介されているのだが、「ご覧の通り、まだ題名と小題しか決まっていませんが、TOBYOさんなどを参考に、資料を揃えていきたいと思います。」と書かれていた。

講演主催者のサイトを見ると、次のような講義内容が掲出されている。

  1. コミュニケーションの現実~Next Doctorsでの実例
  2. 今までの患者・病院間のコミュニケーションを振り返る
  3. 米国での患者中心の医療の流れ~Health 2.0~
  4. 日本での患者間情報共有サービスの現状
  5. 医療スタッフ、病院としてトレーニングに活用していくには?

当方としては、上記の中で「米国での患者中心の医療の流れ~Health2.0~」が取り上げられているのがうれしい。おそらくこれが、日本の公開の席でHealth2.0が講義される最初の機会だと思われる。石見先生、どうぞご遠慮なく。当方ブログで講義に使えるものがあれば、どんどん使ってください。

ところで、日本におけるHealth2.0だが、そろそろムーブメントとして立ち上げていきたいものだと思う。無論、当方としてはTOBYOを起動するのが先決なのだが、新しいムーブメントと様々なビジネス起業が同時に立ちあがるような、そんなことがもし可能なら、きっと素晴らしいだろう。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

TOBYOベータ版へ向けて

TOBYO_beta

TOBYOは現在アルファ版を公開しており、様々なテストと修正に取り組んでいる。同時にベータ版の開発も進行中だが、これも近日中に完成する予定。順調にいけば、来月四月からベータ版を公開することができそうだ。また、徐々に闘病記情報の収集も進めており、来月ベータ版スタート時点で、2500点のウェブ闘病記情報を公開する予定だ。

ベータ版開発で主として注力しているのは、「TOBYOレファレンス」コーナーに置く「闘病記特化型検索機能」で、これは通常の図書館レファレンスコーナーに備え付けられている百科事典に該当するという意味で「TOBYO事典」と名付けた。手短に言えば、TOBYOで採録した闘病サイトだけを対象とする検索機能である。 続きを読む