三宅 啓 の紹介

株式会社イニシアティブ 代表 ネット上のすべての闘病体験を可視化し検索可能にすることをめざしています。

「BB Watch」でTOBYOを紹介

BBWatch

Impress Watch「BB Watch」の連載コラム「下柳泰三の今週のヨカッタ!!」で、TOBYOが紹介された。ツールとしてのTOBYOのツボを、非常に要領よく押さえた記事を書いてもらったと感謝している。どうもありがとうございました。

以前からこのブログで書いてきてはいるが、この記事を読みながら、改めて「闘病ネットワーク圏のツール」というTOBYOの立ち位置を再確認させられた。つまり、「ネット全体に広がる一つの闘病コミュニティ」というものが既に日本語ネット圏には存在しており、それを効率よく、便利に、みんなが使うためのツールとしてTOBYOがある、ということである。

われわれは、「ネット上の闘病記」つまり闘病サイトと、それらによって形成されるミクロコスモスである「闘病ネットワーク圏」の豊かな可能性にこだわっている。その可能性は、決してリアルの「闘病記」やリアルの「患者会」に代替されたり、還元されたりするようなものではない。それらの可能性は、代替不能な独自性として理解すべきものなのだ。

話はとぶが、米国Facebookは「NetOS」をめざし「最大のプラットフォーム」をめざしているらしい。だがそれは、結局、実現不可能だろう。なぜなら、われわれの眼の前には「インターネット」という「唯一にして最大のプラットフォーム」がすでに存在するからだ。それと同じように、日本のわれわれの目の前には、「唯一にして最大の闘病者コミュニティ」としての「闘病ネットワーク圏」が既に存在している。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

Health2.0と映画「マトリックス」

「Diabetes Reloaded」というこのビデオのタイトル。あの映画「マトリックス リローデッド」を意識して付けられたものであることは間違いない。たしかに冒頭、漢字文字列が降ってくるシーンなどまさに「マトリックス」そのもの。ところでこのビデオは一見、糖尿病治療史みたいな体裁を取っているのだが、糖尿病を素材にしながら、実はHealth2.0が提起しているパラダイムを見事に要約して見せている。

そう言えば、昨秋サンフランシスコで開催されたHealth2.0コンファレンスの劈頭を飾ったビデオ「Health is・・・」 と、音楽の使い方をはじめどこか似た雰囲気がある。同じプロダクションが制作したからか。その意味で、この「リローデッド」は「Health is・・・」の姉妹編とも言えるだろう。

だが「Health is・・・」の方は、前半の医学史概観の部分が長すぎ、肝心のHealth2.0の説明が不十分だった。それに対して今回の「リローデッド」は、Health2.0の中心的な考え方を十分に語り切っていると思う。このあたりブログ「Diabetes Mine」を主宰する、Health2.0アルファブロガーとして有名なエミー・テンダリックさんが参加しているところが大きいと思う。

ところで、映画「マトリックス」に託してHealth2.0を描く、ということに込められた「意味」が気になる。あの映画のモチーフがそのまま医療に適用されているとしたら・・・・。見終わってから、あれこれと考えさせられる意味深なビデオである。

三宅 啓

Twitterと医療

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2月ごろのエントリ「twitterで禁煙!: qwitter」 以来、実は「twitterって、医療と親和性あるんじゃないかなぁ」とずっと考えて来た。先のエントリでも医療への応用可能性をいくつか指摘してみたが、その後、まだ日本ではこの分野へのチャレンジはなさそうだ。TOBYOとの関連で言うと、たとえば闘病生活のデータ記録ツールとしてtwitterの可能性を追求してみる値打ちはあるかもしれない。

などと考えているところへ、まさに「Twitter for Health」というタイトルのプレゼン・スライドを偶然見つけた。これを見ると、米国では徐々にtwitterベースの医療・健康情報サービスが増えてきているのがわかる。ざっと見ているだけでも、いくつかヒントがつかめるはずだ。誰か一緒に開発しませんか。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

改革ドライビングフォースとしての医療消費者

RedefiningHealthcare

昨日(6月22日)、朝日新聞に「医療再生へ—危機感共有 あとは実行」という記事が掲載された。日曜日の朝食を食べながら、一通り記事を眺めたのだが、全体としては何か散漫な印象しか残らなかった。医療関係の識者二名と朝日側の論説からなる三つのパートが、何もほとんど噛み合うこともなく並置されており、結局のところ、どんな意図でこの記事が作られたのか首をひねらざるを得なかった。

その「散漫な印象」の原因は、「医療再生」という共通テーマがありながら、結局それを掘り下げて議論するための共通テーブルが設定されておらず、それは「編集」の側の問題が大きいと言えるだろう。つまりここに登場している三者が、同一テーブルではなく、それぞれ自分専用のテーブルに陣取って顔を見合わせることもなく、てんでに物を言っているような、そんな空々しさを感じたのである。 続きを読む

インターネットのある時代

「闘病体験の共有」という自分たちのテーマを設定し、そしてそれをTOBYOというツールに具現化する過程で、様々にご意見やご批判をいただいてきている。そして「やはり」と言うべきか、「無法地帯としてのインターネット」という「お決まり」のネット観に基づく懸念の表明に何回か遭遇した。それらはたいてい「匿名、スパム、炎上」など、いわばネット批判のクリシェ(紋切型)とも言うべきワードに集約されるのが常である。このブログの初期に、出版で供される闘病記を持ち上げながら、一方ではネット闘病記の価値を貶めるような発言をしている評論家柳田邦夫氏を批判したことがあったが、これらネットに対する偏見はいまだに根強く社会に存在している。ネット闘病記に対し、いまだに「匿名性」を問題にしている医療界の研究者もいるようだ。 続きを読む