医療におけるデータフローのグランドデザイン

この秋サンフランシスコで開催されたHealth2.0コンファレンスのビデオが公開されている。これらを見て特に注目されるのは、Health2.0というムーブメントが、徐々に「医療データフローのグランドデザイン」という視点を獲得し始めている点である。UGC、EHR、PHR、行政等からのデータフローが、各種アプリケーションの連携によって有効に医療意思決定をサポートするような、そんなグランドデザインが描かれつつある。

シングル・ソース・データを単独アプリケーションを使ってサービス提供するようなモデルではなく、各種マルチ・ソース・データのフローを前提とした、社会的データ還流システムとして個々の医療情報サービスが統合されていくようなイメージが出てきたことが、今回のコンファレンスの特徴ではないかと思う。

コンファレンス冒頭に行われたマシュー・ホルトとインドゥー・スバイヤのプレゼンテーションを見ればわかるが、とにかく徹底的にデータとそのフローを考察することによってHealth2.0の全体ビジョンを見通そうとしている。もはや個別サービスよりも、データとそのフロー、そしてそれらを含む全体像のほうにこそ焦点が合わせられている。医療ITシステムの基礎がデータであることを、あらためて示すものであるとも言えよう。今後、データとそのフローの全体像をイメージできないと、Health2.0を理解することは困難になるだろう。 続きを読む