「闘病ネットワーク圏」について

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昨日のエントリーで、闘病者によって自然発生的にウェブに作られてきた「闘病ネットワーク圏」という考え方を書いておいた。これは、当方がTOBYOというサービスを開発する際に、徐々に固まってきた考え方である。

この前、あるミュージシャンの悪性リンパ腫の闘病記ブログを見ていた時である。そのブログは音楽活動の話題をメインとして数年間続けられてきたものだが、途中から悪性リンパ腫の闘病関連情報がかなり大幅に増えてきている。その闘病関連の最初のエントリで、作者は「自分が悪性リンパ腫にかかっていることは、事務所をはじめ仕事関係者にはまだ何も知らせていないが、このブログでは細大漏らさず病気に関する情報を書きたい。なぜなら、自分が医師から告知を受けた時、ネットでたくさんの闘病記を読み参考になった。自分の闘病体験を記録することは、一種の社会的義務であると考えている。」と書き記していた。 続きを読む

「自律、分散、協調」と「闘病ネットワーク圏」

PublicSphere昨日、東京では桜が開花し、今日も朝から暖かい陽光がさんさんと輝いている。こんな日を事務所にこもって過ごすのはもったいない。今日は早々に仕事を終え、新宿御苑の桜を見に出た。花の咲き具合はこれからだが、春風に吹かれながら散策するのは気持ちがよい。

さて、TOBYOの収録闘病記件数が2,500を超えた。今日(3月23日)の時点で、収録件数一位は「乳がん」で338を数える。続いて「C型肝炎」、「リウマチ」、「クローン病」が100を超えているが、逆にまだ収録件数が10に満たないものも多い。「病名」から見ると、TOBYOに収録された病名数は250に達するが、まだ闘病記件数が「1」にとどまる病名が112もある。TOBYOに集まった闘病記群の現状は、まさに「乳がん」をヘッドにしたロングテールということになる。 続きを読む

オンライン診療への挑戦: American Well

AmericanWell

「インターネットによる医療サービス」と言えば、今日では医療情報サービスのことを誰しも思い浮かべる。だが、今日ではあたかも忘却されてしまったかのようだが、実はインターネット黎明期から、多くの人々によって繰り返し提起されてきたサービスがある。それは「オンライン診療の実現」である。そして、このことは何度も提起されながらも、結局、事業としては今日まで実現されていないのだ。

誰もがその実現を口にしながらも、現実には影も形もないというのは一体どういうことなのだろうか?。いろいろな要因があるとして、手短に言えば、経済的な事業スキームを誰も作ることができなかったということに尽きるだろう。実際、これに類する問題は多い。とりわけ10年前に「eヘルス」などと言われていた時期には、医療を実際に支える経済的・市場的ファクターを度外視した「バラ色未来論」が横行していた。もちろんそこでも在宅医療などオンライン診療が語られてはいたが、経済ファクターやマーケティングまで含めた視点は皆無であった。つまり技術的なブレークスルーよりも、本当は事業開発における新しいスキームづくりが必要だったのだ。 続きを読む

DOSSIAコンソーシアムの動向

DOSSIA

ウォルマート、インテル、AT&Tなど巨大企業が参加するPHRコンソーシアムであるDOSSIAだが、先週、CTO(最高技術責任者)であるデイブ・ハモンド氏は、DOSSIAが今年中に稼働することを発表した。一昨年末の電撃的な発表と、その巨大企業からなる参加メンバーによって、DOSSIAはPHRの先端を行くプロジェクトとみなされてはいたのだが、開発を担当するベンチャー企業との紛争により当初計画は大幅に遅滞してしまった。

その後、開発主力部隊を全面的に変更し、ハーバード・メディカル・スクール系グループが開発していたオープンソースPHRである「Indivo」の採用に踏み切り、なんとか立て直しを図ってきた。だがマイクロソフトのHealthVaultやGoogleHealthなど、後発プロジェクトの後塵を拝する立場に立たされていることは否定できない。この三つのプロジェクトに共通するのは、三つとも非医療系プレイヤーが主体になっているところだろう。それゆえ医療機関の巻き込みと、数的優位をめぐる競争は熾烈を極めるものになる 続きを読む

フィットネス携帯サービス:miCoach

MiCoach

アディダスとサムソンが共同開発した「miCoach」がおもしろい。

GPS携帯+心拍数モニター+歩幅センサー+フィットネス・プログラム

上記のコンビネーションで一体化されたサービスが「miCoach」であるが、ジョギング時の走行スピード、距離、消費カロリーなどをリアルタイムに測定表示し、まるで並走コーチのように、ユーザーの走行状況に応じた音声アドバイスをしてくれる。もちろん音楽を聴きながら走ることも可能。個人走行データはウェブサイトに記録され、フィットネス改善状況を把握できる。 続きを読む