Health2.0ビジネスを加速する「Health2.0 Accelerator」

Health2.0Accel

昨秋、サンフランシスコで開催された第一回Health2.0コンファレンスにおいて、実は地味であまり目立たなかったのだが、一つ非常に興味深い提案があった。それはHealth2.0を一過性のブームに終わらせることなく、確実に成果を生み出すビジネス領域へと早急に育成するために、アクセラレーター(加速器)のような組織を作ってはどうかという提案であった。

そしてこのビジョンを提案したのが、かつてインターネット黎明期に「CommerceNet」(1994)を設立し、e-コマース発展の触媒として大きな役割を果たしたといわれるMarty Tenenbaum氏である。ちなみに、初期のCommerceNetメンバーには、ネットスケープ、ヤフー、そしてアマゾンなど後に急成長する錚々たる企業が名を連ねていたが、これらも当時は駆け出しのスタートアップ企業にすぎなかったのである。CommerceNetは、これらスタートアップ企業が成長するためのいわばビジネス・インフラ整備を進め、ウェブ業界が巨大な産業分野に成長することに寄与したのである。 続きを読む

病院レーティング

今日は来客があり、ひとしきり新しいヘルスケア・ビジネスについて意見交換したのだが、ずいぶん久しぶりに病院レーティングの話題が出た。思えば当方は、数年前、この病院レーティングを事業化しようと起業したのだった。それが紆余曲折を経て、結局、TOBYO開発へとたどり着いたのだが、その後の日本の病院レーティング・サービス分野を見ると、どうやらさしたる成果も上がっていないように見受けられる。

日本の場合、病院の情報開示が遅れており、レーティングに必要な基礎データの入手が難しいことがこの分野の事業化を困難にしている。特にアウトカム(治療成績)データだが、これは病院レーティングには必須であるにもかかわらず、ほとんど病院からは公開されていない。まれに病院サイトで公開されている例も目にするが、非常に恣意的な公開方法がとられており、病院を相互比較できるようなものではない。 続きを読む

Health2.0カタログ

クリーブランドクリニックのジョン・シャープ氏が、「Health2.0カタログ」とも言うべき紹介スライドを公開した。これまで氏の同様スライドは、どちらかと言えばWeb2.0の紹介にとどまるものであったが、今回は、Health2.0の具体的な事例に即したものになっている。それだけHealth2.0サービスのラインナップが充実してきたためでもあろう。

このスライドを見ながら思ったのは、当たり前のことではあるが、「やはりHealth2.0はリアルを置換するものではなく、ウェブでのみ実現できる新しい領域を開拓することなのだな」ということである。リアル医療やその周辺サービスを単にウェブに持ち込んだり置換したりするような発想を「Health1.0」であるとすると、Health2.0はウェブ上のイノベーションが逆にリアル医療を変革するようなベクトルを持つべきなのだろう。闘病記にしても、出版物の闘病記と、ウェブ上に構築された闘病情報拠点としての闘病サイトはまるで別物と考えるべきだ。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

パーソナル医療情報検索

 TOBYO_Search

TOBYOでは、闘病記だけを検索対象とするバーティカル検索機能「TOBYO事典」を提供している。これは現在、「がん、良性腫瘍」分野を対象として様々にテストをしているが、近く全病名へと検索対象を拡大する予定だ。このようなバーティカル検索機能は日本語「闘病ネットワーク圏」を隅々まで可視化し、必要な体験情報に迅速に到達するためになくてはならないものだ。

ところで闘病者が医療情報を収集する場合を考えると、これら闘病体験情報に加えて、やはり専門的な最新の医学情報も必要となるだろう。そしてこれも闘病体験情報と同じように、Googleなど汎用検索エンジンを使うと、健康食品の売り込み情報など大量のノイズの中から、信頼のおける情報を見つけ出すのが大変だ。そう考えると、ここでもまた検索対象を限定したバーティカル検索機能が必要になるのかも知れない。 続きを読む

Twitterと医療

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2月ごろのエントリ「twitterで禁煙!: qwitter」 以来、実は「twitterって、医療と親和性あるんじゃないかなぁ」とずっと考えて来た。先のエントリでも医療への応用可能性をいくつか指摘してみたが、その後、まだ日本ではこの分野へのチャレンジはなさそうだ。TOBYOとの関連で言うと、たとえば闘病生活のデータ記録ツールとしてtwitterの可能性を追求してみる値打ちはあるかもしれない。

などと考えているところへ、まさに「Twitter for Health」というタイトルのプレゼン・スライドを偶然見つけた。これを見ると、米国では徐々にtwitterベースの医療・健康情報サービスが増えてきているのがわかる。ざっと見ているだけでも、いくつかヒントがつかめるはずだ。誰か一緒に開発しませんか。

三宅 啓  INITIATIVE INC.