闘病データと参加型医療

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先々週の風邪は治ったものと思っていたが、まだ本調子ではない。妙に暖かくなったかと思うと、今度はいきなり厳しい寒波襲来と、ここしばらく続く天候不順が原因か?

とは言え、春に向けTOBYOプロジェクトは行動して行く。収録闘病サイト数はようやく1万9000件に達した。ここのところ以前に比べ収録テンポを落としてきたが、これは従来よりも収録サイト選定に時間をかけているためだ。データ量、アクセシビリティ、トーンなど、本当に紹介したいサイトだけをかなり吟味している。今後、闘病DBから様々な形でデータを出力する予定だが、データソースの品質がますます重要になるからだ。

先週、「患者SNSと社会的イノベーション」というエントリをアップしたが、これを書き終えてTOBYOプロジェクトの位置づけがはっきりしたと思っている。もちろんTOBYOはSNSではないが、PatientsLikeMeとTOBYOプロジェクトは表面的にはまったく異なるサービスであるとは言え、実は根っこの部分で共通点があることに気づいたからだ。 続きを読む

闘病体験データの社会的活用についての考察

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先週から風邪でダウンし、しばらくブログもお休み。しかし自宅で静養しながらも、いつのまにかTOBYOプロジェクトやウェブ医療サービスについて、つい「あーだこーだ」と考え込んでしまっていた。

「ネット上のすべての闘病体験を可視化する」ことがTOBYOプロジェクトのミッションであるが、この可視化作業の過程で蓄積された数百万ページの検索キャッシュによって、今度は医療を可視化していくことになる。つまり「患者の目」を通して、日本の医療実態がはじめて大規模に可視化されるわけだ。では、このように大規模に可視化されたファクト(事実)群は、社会的にどう活用されるのだろうか。

これまで「コンシューマ・サービスとプロフェッショナル・サービス」という文言で、TOBYOのコアデータの活用領域を述べてきたが、プロフェッショナル・サービスはさらに医療提供者に向けたものと、医療関連市場プレイヤーに向けたものに分けられるのではないか。そうなると結局TOBYOによって蓄積されたコアデータは、社会的には次の三方向へ提供されることになる。 続きを読む

新春のブラック・スワン

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昨年読んだ本の中で最も印象に残る一冊は、間違いなくタレブの「ブラック・スワン—-不確実性とリスクの本質」(ダイヤモンド社)だった。かつて「ガウス曲線のベル型カーブを頭に生やし」て仕事をしていた自分にとって、この本はまさに「ベル・カーブ、この壮大な知的サギ」(同書第15章)という事実を「これでもか!」と突きつけるものであり、そこに爽快感があった。

「ブラック・スワン(黒い白鳥)」とは何か?

むかし西洋では、白鳥と言えば白いものと決まっていた。そのことを疑う者など一人もいなかった。ところがオーストラリア大陸の発見によって、かの地には黒い白鳥がいることがわかった。白鳥は白いという常識は、この新しい発見によって覆ってしまった。
「ブラック・スワン」とは、この逸話に由来する。つまり、ほとんどありえない事象、誰も予想しなかった事象の意味である。タレブによれば、「ブラック・スワン」には三つの特徴がある。一つは予測できないこと。二つ目は非常に強いインパクトをもたらすこと。そして三つ目は、いったん起きてしまうと、いかにもそれらしい説明がなされ、実際よりも偶然には見えなくなったり、最初からわかっていたような気にさせられたりすることだ。 (同書「内容紹介」より)

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元旦から大晦日まで

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今日で今年も終わり。年末年始をゆっくりと休みたいものだが、今日(31日)も出勤してお仕事。遅れに遅れていたバーティカル検索エンジン「TOBYO事典」のニューバージョンだが、なんとか年内に公開することができた。今回のバージョンアップによって、検索対象サイトは約1万4千サイトになり、従来よりも検索結果を大幅に増やしている。闘病ユニバースに蓄積された闘病体験を、より一層、広く深く可視化できるようになったので、どんどん使っていただきたい。

今回のTOBYO事典ニューバージョンでは、将来検索ファイルサイズが大幅に増えることを想定して、Googleのような分割ファイルシステムの構築に挑戦した。大幅に公開が遅れた原因の一つはここにある。また従来バージョンで残存していた重複検索結果やゴミについてもかなり整理したが、これは今後も継続して行くことになる。だが、GoogleやYahooとは違い、あくまでも全文検索を目指しているために、重複しているように見える検索結果項目であっても別ページであることも多く、このあたりの結果表示の仕方も今後の課題になる。 続きを読む