Health2.0ビジネスを加速する「Health2.0 Accelerator」

Health2.0Accel

昨秋、サンフランシスコで開催された第一回Health2.0コンファレンスにおいて、実は地味であまり目立たなかったのだが、一つ非常に興味深い提案があった。それはHealth2.0を一過性のブームに終わらせることなく、確実に成果を生み出すビジネス領域へと早急に育成するために、アクセラレーター(加速器)のような組織を作ってはどうかという提案であった。

そしてこのビジョンを提案したのが、かつてインターネット黎明期に「CommerceNet」(1994)を設立し、e-コマース発展の触媒として大きな役割を果たしたといわれるMarty Tenenbaum氏である。ちなみに、初期のCommerceNetメンバーには、ネットスケープ、ヤフー、そしてアマゾンなど後に急成長する錚々たる企業が名を連ねていたが、これらも当時は駆け出しのスタートアップ企業にすぎなかったのである。CommerceNetは、これらスタートアップ企業が成長するためのいわばビジネス・インフラ整備を進め、ウェブ業界が巨大な産業分野に成長することに寄与したのである。 続きを読む

Health2.0カタログ

クリーブランドクリニックのジョン・シャープ氏が、「Health2.0カタログ」とも言うべき紹介スライドを公開した。これまで氏の同様スライドは、どちらかと言えばWeb2.0の紹介にとどまるものであったが、今回は、Health2.0の具体的な事例に即したものになっている。それだけHealth2.0サービスのラインナップが充実してきたためでもあろう。

このスライドを見ながら思ったのは、当たり前のことではあるが、「やはりHealth2.0はリアルを置換するものではなく、ウェブでのみ実現できる新しい領域を開拓することなのだな」ということである。リアル医療やその周辺サービスを単にウェブに持ち込んだり置換したりするような発想を「Health1.0」であるとすると、Health2.0はウェブ上のイノベーションが逆にリアル医療を変革するようなベクトルを持つべきなのだろう。闘病記にしても、出版物の闘病記と、ウェブ上に構築された闘病情報拠点としての闘病サイトはまるで別物と考えるべきだ。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

サンデー毎日(7/13号)にTOBYO紹介記事

SundayMainichi

本日発売のサンデー毎日(7/13号)に掲載された記事「『一人で悩まなくてもいい』頼れる『がん闘病記サイト』」でTOBYOを紹介してもらいました。ありがとうございました。

これまで闘病記といえば、出版されたリアル闘病記の方に目が行きがちで、闘病サイトの方はどちらかと言えば胡乱な目にさらされてきた感があります。その意味では、このサンデー毎日の記事は、春先の西日本新聞記事とともに、マスコミが闘病サイトを正当に評価した記事として価値があると思いました。

これまで過小評価の憂き目にあってきた闘病サイトですが、この記事をきっかけとして、さらに社会的な注目が集まればと思います。もちろん、これら闘病者によって制作されたコンテンツは玉石混淆ですが、これらの中から優れたコンテンツを選び出していく役割も、今後TOBYOは果たしていきたいと考えています。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

「BB Watch」でTOBYOを紹介

BBWatch

Impress Watch「BB Watch」の連載コラム「下柳泰三の今週のヨカッタ!!」で、TOBYOが紹介された。ツールとしてのTOBYOのツボを、非常に要領よく押さえた記事を書いてもらったと感謝している。どうもありがとうございました。

以前からこのブログで書いてきてはいるが、この記事を読みながら、改めて「闘病ネットワーク圏のツール」というTOBYOの立ち位置を再確認させられた。つまり、「ネット全体に広がる一つの闘病コミュニティ」というものが既に日本語ネット圏には存在しており、それを効率よく、便利に、みんなが使うためのツールとしてTOBYOがある、ということである。

われわれは、「ネット上の闘病記」つまり闘病サイトと、それらによって形成されるミクロコスモスである「闘病ネットワーク圏」の豊かな可能性にこだわっている。その可能性は、決してリアルの「闘病記」やリアルの「患者会」に代替されたり、還元されたりするようなものではない。それらの可能性は、代替不能な独自性として理解すべきものなのだ。

話はとぶが、米国Facebookは「NetOS」をめざし「最大のプラットフォーム」をめざしているらしい。だがそれは、結局、実現不可能だろう。なぜなら、われわれの眼の前には「インターネット」という「唯一にして最大のプラットフォーム」がすでに存在するからだ。それと同じように、日本のわれわれの目の前には、「唯一にして最大の闘病者コミュニティ」としての「闘病ネットワーク圏」が既に存在している。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

Health2.0と映画「マトリックス」

「Diabetes Reloaded」というこのビデオのタイトル。あの映画「マトリックス リローデッド」を意識して付けられたものであることは間違いない。たしかに冒頭、漢字文字列が降ってくるシーンなどまさに「マトリックス」そのもの。ところでこのビデオは一見、糖尿病治療史みたいな体裁を取っているのだが、糖尿病を素材にしながら、実はHealth2.0が提起しているパラダイムを見事に要約して見せている。

そう言えば、昨秋サンフランシスコで開催されたHealth2.0コンファレンスの劈頭を飾ったビデオ「Health is・・・」 と、音楽の使い方をはじめどこか似た雰囲気がある。同じプロダクションが制作したからか。その意味で、この「リローデッド」は「Health is・・・」の姉妹編とも言えるだろう。

だが「Health is・・・」の方は、前半の医学史概観の部分が長すぎ、肝心のHealth2.0の説明が不十分だった。それに対して今回の「リローデッド」は、Health2.0の中心的な考え方を十分に語り切っていると思う。このあたりブログ「Diabetes Mine」を主宰する、Health2.0アルファブロガーとして有名なエミー・テンダリックさんが参加しているところが大きいと思う。

ところで、映画「マトリックス」に託してHealth2.0を描く、ということに込められた「意味」が気になる。あの映画のモチーフがそのまま医療に適用されているとしたら・・・・。見終わってから、あれこれと考えさせられる意味深なビデオである。

三宅 啓