ソーシャルメディア

ソーシャルメディアを概観するスライドやビデオはこれまで多数発表されており、正直言ってもうお腹いっぱい状態だが、このスライドはユーモアもあり秀逸。ところで今月初めに開催された「AD:Tech TOKYO」でキーノートスピーチを務めたジョシュ・バーノフ氏は、自身のブログで「In Japan and Korea, consumers embrace social technology faster than marketers」 というエントリをポストし、「日本企業は消費者に比べソーシャルメディアへの対応が遅れている」と述べている。

たしかにそのような傾向はあるかもしれないが、日頃から闘病サイトにかかわっている当方の実感としては、企業のみならず消費者の方が、果たして「ソーシャルメディア」という概念でたとえばブログをとらえているかといえば、そうではないような気がする。新しい可能性として「ソーシャルメディア」に着目するよりも、むしろ古いリアル日常感覚の習慣を持ち込んでいるようなシーンを目にすることの方が多い。このままいくと日本の「ソーシャルメディア」は、かなり特殊で孤立した文化圏を作っていくことになるのかもしれないが、これは「闘病ユニバース」にとって良い方向ではないだろう。そのような危惧の念を覚えることもしばしばである。 続きを読む

急速にクラウド化する医療情報システム

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EHR認証問題に端を発する「EHR1.0批判」は、HHSによる「意味ある利用」による認証基準策定へと行き着いたわけだが、これら一連の動きを見て、旧来のIT企業をはじめテレコム企業からパソコンメーカーにいたるまで、雪崩をうってEMR・EHRのクラウド・コンピューティング化に着手し始めた。医療情報システムのクラウド化は、最早、誰にも止められない大きなうねりとなって医療IT業界を席巻しつつある。

9月10日のNewYorkTimesによれば、GE、IBM、Dell、VerizonなどからEHR専業各社に至るまで、EMR・EHRのクラウド化構想が最近矢継ぎ早に発表されている。従来からEHRシステムを供給してきたGEは、特に小規模医療機関のニーズが「より簡単に、より安く」へシフトしていると認識し、来年早々にクラウド版EHRをリリースするとアナウンスしている。IBMはこれまでEHRシステムを供給していなかったが、やはり小規模医療機関を対象とするクラウドEHR市場への参入を表明している。テレコム企業Verizonは医療IT企業と組み、今後数カ月のうちにクラウドEHRをリリースする。 続きを読む

消費者向けiPhone医療アプリケーションTop5

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iPhoneの消費者向け医療アプリがかなり出そろってきた。9月3日の米ABC“Good Morning America” で「Top5アプリ」が取り上げられたのでご紹介しておきたい。この「Top5」を選考したのは医師でITコンサルタントも務めるSalvatore Volpe氏で、選ばれたアプリは次のようなもの。(注:ビデオは埋め込みできないので,上記“Good Morning America”のABCサイトでご覧あれ。広告ののち本編が始まる)

  • ePocrates (free)
  • Health Cloud (free)
  • iFitness ($1.99)
  • Pocket First Aid and CPR ($3.99)
  • Restaurant Nutrition (free) 続きを読む

次世代ワイヤレス患者モニタリングシステム: MBANs


米国FCC(連邦通信委員会)は、次世代のワイヤレス患者モニタリングシステム「MBANs」(Medical Body Area Network systems)の周波数帯割り当てと運用へ向けた技術とサービスの基本ルールを提議した。MBANsは当面医療施設内部での利用が想定されており、体温、脈拍、血糖値、血圧、呼吸機能などデータを、患者が直接装着する計測デバイスからワイヤレスでダイレクトに施設内ハブへ送信し、どこからでも医療者がモニタリングすることが可能になり、データをEMRに保存し医療スタッフ全員でリアルタイムに共有することができる。患者は、これまでのように接続ケーブル類に身体を拘束されることがなく、体位や移動の自由度が増す。また、計測機器類の設置場所などに患者をとどめ置く必要もなくなり、「場所の制約」から自由な医療提供が可能となり、医療品質の向上が期待できる。 続きを読む

医療情報専門のセマンティック検索エンジン登場: healthBASE

healthBASE

セマンティック検索エンジンとは「テクストの意味を理解する検索エンジン」のことで、これまで様々な検索エンジンが登場してきたが、医療情報のみのバーティカルなセマンティック検索エンジンとしては、おそらくこのhealthBASEが初めてであろう。

「テクストの意味を理解できる」ということは、ウェブ上にある膨大な情報をその内容によって機械的に分類できるということだ。だから検索結果を、情報内容によって分類して提示することが可能となる。たとえば「胃がん」という検索ワードによってGoogleで検索してみると、情報内容とは無関係にページランクに従って検索結果は表示される。つまり薬剤情報も症状情報も治療情報も区別されず、「胃がん」についての各種情報が一緒くたに表示されてしまうのだ。これではユーザーにとって不親切である。だがhealthBASEの場合は、「胃がん」で検索してみると、「治療、原因、合併症、治療の賛否」という大分類と、さらにその下位の小分類に情報を整理して検索結果を提示してくれる。これは便利だ。 続きを読む