米国Health2.0サイトにTOBYOデモのビデオが登場

TOBYO_demo2010SF

4月になり桜もようやく満開へ。今週末が見頃か。それにしても寒い日が続く。地震後、世の中全体がシュリンクした感があるが、それでも少しづつ日常が戻ってきている。しかし、原発事故の行方はいまだに視界不良。過度の楽観論も悲観論も要らないから、ただ事実と、それが示す今後のありうべき可能性だけを冷静に公開してもらいたい。

当方の協力プログラマが被災地病院のサーバ修理に出向いたりと、TOBYOプロジェクトにとっても地震の影響は少なからずあったが、年初から着手してきたdimensions開発仕上げも一段落。まだバグフィックスや運用管理ツールなどを残しているのだが、立ちはだかっていた諸課題はクリアされ、基本機能をひととおりデモすることができるようになった。やれやれであるが、当初予定から相当遅れてしまった。実質的なサービスインは7月頃からとなる見込みだ。

ところで久しぶりに米国Health2.0サイトをのぞいてみたら、昨年10月サンフランシスコ・カンファレンスにおけるTOBYOデモのビデオ  がアップされていた。これは主催者側が撮った公式ビデオである。これを今見るとつい半年前のことであるのに、何か大昔の出来事のように思え、妙な懐かしささえ感じられた。プレゼンターはメディカルインサイトの鈴木さん。しっかり見事なプレゼンをしてもらった。不幸にして年末に袂を分ったが、結局、「縁がなかった」ということか。これも遠い過去の出来事のような気がする。 続きを読む

Google Healthはどうなる?

Shadow

昨日、久しぶりに新宿御苑を散策した。例年ならこの時期、花見客で混雑するのだが、寒風が吹き渡る苑内の桜はまだほとんど開花していなかった。地震のせいでもあるまいが、今年の春は遅い。それでも苑内を歩き回ってみると、春の息吹をあちこちに感じ取れた。そして今朝通勤途上、新宿御苑の遊歩道を歩いていると春風が頬を撫でた。たった一日で季節が変わったのだ。

来月4月4日、Googleはエリック・シュミットに代わり、共同ファウンダーの一人であるラリー・ペイジがCEOに就任する。このことによって、GoogleHealthが事業縮小されるのではないかと米国では言われ始めている。3月26日付Wall Street Journalに掲載された記事”At Google, Page Aims to Clear Red Tape” によれば、ラリー・ペイジはGoogleの官僚化した組織とプロジェクトを見直し、スタートアップらしさ、つまりベンチャー精神を取りもどしたい意向のようだ。

あのGoogleでさえ、ここ10年ほどの成功体験によって組織内部の官僚化や保守化が起きているのかと驚くが、たとえファウンダーが現場復帰しても、再び創業時のベンチャー精神を取り戻すのは容易ではないだろう。それにしても、その事業見直しでGoogleHealthが矢面に立たされている。残念なことだが、ある意味では当然の成り行きかもしれないと言われている。 続きを読む

PatientsLikeMeとニールセン

Undergroundカンニング、閣僚辞任など話題になっているが・・・あまりに馬鹿馬鹿しくてまともに論じる気にならない。時間とアテンションの無駄というしかない。アテンションもまた有限な稀少資源だ。ただ、これら「見せ物小屋の大騒ぎ」を遠く見て、イノベーションに想いを馳せる、ある種の物狂おしい飢餓感に似たエネルギーが、この国でどんどん希薄になって行くことだけは実感できる。そして世界に類例のない奇妙な「成熟化」が、この国では急激に進行しているのかも知れない。だが、どのような言説もこの世情に対し上っ滑りに空転するのを見れば、黙って自分の課題を深耕するしかない。黙って、イノベーションの一つでも、二つでも、起こすしかない。このようにして、イノベーションは儚い人生の実践的課題となるのだ。

さて、やや旧聞に属するが、先日、PatientsLikeMeがニールセンと提携したというニュースを目にし、これは意外だった。ニールセンといえばメディア調査を得意とする老舗マーケティング会社だが、高度なテキストマイニング技術を持っているとのことで、PatientsLikeMeはそのマイニング技術を自社データの解析に用いるらしい。では今まで、自社UGCデータを、いったいどのように処理していたのだろう。PatientsLikeMeのことだから、独自開発のマイニング技術くらい持っているものと思っていたのだが、そうではなかったのが意外だった。だがテキストマイニングであれば、何もニールセンでなくともよいはずだ。もっと高度な技術を持っているところは少なくない。なぜ、ニールセンなのか?そう考えると、PatientsLikeMeがニールセンと組んだのはマイニング技術目当てだけではないと思える。本当のところは、ニールセンのマーケティング技術や実績が、PatientsLikeMeには魅力的だったのではないか。 続きを読む

春よ来い

Spring2011

三月の声を聞いても寒さは厳しい。日差しはもう春めいているのに風は酷く冷たい。アンビバレントな天候だ。当方プロジェクト開発の進みようは、まるで最近の天候さながらである。

dimensions開発は昨年末に基本プログラム開発を終え、その後、年初からデータ処理とバグフィックスに取り組んできた。特に拡張検索エンジン「Xサーチ」の実行スピードアップが問題だったのだが、これもなんとか乗り越えられそうだ。TOBYOで公開している現行「TOBYO事典」とは違う検索エンジンをdimensionsでは採用したが、このことが災いしたか、期待したスピードが出ずに四苦八苦していたわけだ。

また、これまでTOBYO本体は米国、dimensions開発環境はシンガポールのクラウドを使ってきており、どうしてもレイテンシの問題があったのだが、今月から東京のクラウドが使用可能となったので、これでずいぶん助かった面もある。昨夏amazonの渡辺さんにお会いしたとき、日本でもEC2をリリースする予定とうかがったが、今月からこれが実現されて当方にとってはありがたい。

だがこれら問題も、dimensionsのような、まったくこれまで存在していないサービスシステムの開発にはつきものだと割り切っている。そして一方では、この間、同時並行で市場開発および用途開発に関連して「アンバンドリング、リサーチイノベーション、主観的事実把握」のようなビジョン・方向性・アイデアなど収穫も少なからずあったと思う。 続きを読む

集合知への接続: Health2.0サービス設計

NationalMuseum2

街に春一番が吹き、今日は一挙に春めいた陽射しがいっぱい。新宿御苑の梅も満開。昨日土曜日は終日音楽を聞いて過ごした。正月からカートリッジとヘッドフォンを新調し、夜ごと自宅で音楽を聞くのが楽しい日課になっているが、やはりスピーカーから直に出る音を聞くのは格別だ。

さて、先日「医師による医療機器評価サイト」というエントリをポストしたが、アクセス数が多く、たくさんの方々が注目して読んでくださったようだ。あのエントリでは舌足らずであったが、実は「ユーザー集合知との接続」という問題を今更ながら考えることが最近多い。「どんな集合知と、どのチャネルを通して、どう接続するか」というシンプルな問題の立て方が、Health2.0サービス設計の基本なのかも知れないと思うようになってきたからだ。とにかく集合知という一番基本的なファクターをどのように活用するか。ここがHealth2.0の肝なのだという思いが、ますます強くなってきている。 続きを読む