Everywhere TOBYO

連日の猛暑。この暑さのせいか、事務所のPCハードディスクもダウンしてしまった。気をつけないと人間もまいってしまう。目下、TOBYOの諸作業のためにハードワークを続けているが、そろそろ一息入れなければならないのかもしれない。

TOBYOの進行状況を報告しておきたい。現在、ベータ版を公開しているのだが、これはまだ、検索機能限定版である。TOBYOレファレンスにおいてある「TOBYO事典」は、「がん、良性腫瘍」だけを検索対象に限定してテスト運用している状態である。これを近日中に全病名検索可能にする。同時に検索窓をトップページに置くことになる。これらを実現した段階で、TOBYOは名実ともに正式デビューすることになると考えている。また、病名ごとの表示方法を変更することも考えている。

TOBYOの基本三機能「闘病記を探す、闘病情報を調べる、自分の闘病情報を整理する」のうち、現状、ユーザーに最もわかりやすいのは、言うまでもなく「闘病記を探す」機能である。実は多数の闘病記を串刺し検索できる「TOBYO事典」がTOBYOの最もユニークな機能なのだが、この検索機能を使ってユーザーに何が可能になるかを、もう少し丁寧に説明しなければならない。それと「自分の闘病情報を整理する」機能についても、現状は説明材料が不備なために理解が十分ではない。 続きを読む

日本のHealth2.0シーン

新宿御苑でやっとミンミン蝉が元気に鳴き始めた。今年は蝉の鳴き始めが遅いような気がする。ともあれ盛夏到来である。思えば二月にTOBYOアルファ版を公開してから、早くも半年が経過しようとしている。立ち止まってゆっくり考える間もなく、春先から突っ走って来たわけだが、まだ当分はこのまま進むしかない。やらなければならないことは山積しているが、とりあえず現時点で当方が考えていることをいくつかメモっておこう。

まず、「日本のHealth2.0」ということで言えば、TOBYOをはじめ春先からいくつかスタートアップ企業がサイトデビューを果たし、従来にない動きが日本の医療情報サービス分野にもたらされたと言えるだろう。だが、それらはまだ少数にとどまる。それに、まさかわれわれがこのブログなどで、UGCやUGMとしてのウェブ闘病記の意義を主張してきたせいでもあるまいが、奇しくもこれらスタートアップは多かれ少なかれ「ウェブ闘病記」に焦点を合わせている。つまりプレイヤーが少数でありながら、特定テーマへの収斂が起きているわけで、これはあまり健全な状態とは言えないだろう。 続きを読む

新知識共有ツールとTOBYO

KNOL0807

Googleは23日、昨年末からテストしていた「KNOL」を正式リリースした。このブログでも概要は紹介済みだが、手短に要約すると「このKnolは特定分野の専門知識を持つプロフェッショナルに、特定テーマの知識・情報を公開発表するためのツールを提供するものである。」となる。発表されて以来、KNOLはWikipediaと競合するツールとして論じられてきたのであるが、正式リリース版をあらためて見ると、意識的にWikipediaとは違う知識共有ツールを目指していることがわかる。

特に、KNOLでは一つのテーマについて複数の書き手の複数のエントリを認めているが、この点は、Wikipediaとまったく異なった知識共有のあり方を示していると言えよう。「A unit of knowledge」というフレーズが語るように、個人が持っている専門的知識をウェブにコントリビュートする「知識単位」という位置づけであり、今のところそれらを無理に束ねて百科事典化するようなそぶりはないのである。もちろんこれら「知識単位」をカテゴライズして配列すれば、たちどころにWikipediaのような百科事典になるのだが。 続きを読む

Wikipediaの医療版、「Medpedia」年内に登場。

Medpedia

今日のTecCrunchに「MedPedia: 医療検索のWiki化を目指す」とのエントリが出ている。Wikipediaにもたしかに医療分野の情報は収録されているが、所詮「付け足し感」は否めず、やはり医療専門の百科事典メディアが欲しいものだと思っていたが、とうとう実現されるようである。

詳細はTecCrunchに譲るが、この「Medpedia」構想はかなり本格的な取組体制が頼もしい。これまでもWebMDなど個々の医療ポータルサイトで医療情報は提供されてはきたが、もっとオープンな参加性を備えたパブリックなプロジェクトこそが必要であったと思われる。その意味で、医療界はもちろん政府機関までを束ねたこの「Medpedia」プロジェクトは、今後、米国における社会的医療情報インフラへと発展する可能性を持つものと期待される。

日本でもこのようなプロジェクトは必要だろうが、「いったいどこがやるのか?」と考えてみると、はっきり言ってどこもやりそうにない。まず、医療エスタブリッシュメントがやるわけがない。この「Medpedia」プロジェクトの発起人を見ると、やはりベンチャー系の人のようだ。日本でもベンチャーが狼煙を上げるしかないだろう。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

Doctor2.0プレゼンテーション

Health2.0における新しい医師像「Doctor2.0」を体現する存在と言われる、ニューヨークのジェイ・パーキンソン医師。診療所も診察室も持たず、地域コミュニティとインターネット・ツールを結びつけた従来にない「無店舗医療」業態を打ち出して注目されている。その彼がこの春、HIMSSでおこなったプレゼンテーションスライドをご紹介しておこう。

ライドは全部で480枚にも及ぶが、非常にシンプルでスタイリッシュである。しかし、いつもながら、ジェイ・パーキンソン医師の卓越したマーケティング・センスには感服させられる。医療に対する消費者ニーズの洞察がみごとである。「マーケティングは知識よりもセンスである」ということの見本が示されている。

(なお、残念ながらファイルが大きいので、はじめのスライド74枚分しかアップできませんでした。悪しからず。)

三宅 啓  INITIATIVE INC.