今日のTecCrunchに「MedPedia: 医療検索のWiki化を目指す」とのエントリが出ている。Wikipediaにもたしかに医療分野の情報は収録されているが、所詮「付け足し感」は否めず、やはり医療専門の百科事典メディアが欲しいものだと思っていたが、とうとう実現されるようである。
詳細はTecCrunchに譲るが、この「Medpedia」構想はかなり本格的な取組体制が頼もしい。これまでもWebMDなど個々の医療ポータルサイトで医療情報は提供されてはきたが、もっとオープンな参加性を備えたパブリックなプロジェクトこそが必要であったと思われる。その意味で、医療界はもちろん政府機関までを束ねたこの「Medpedia」プロジェクトは、今後、米国における社会的医療情報インフラへと発展する可能性を持つものと期待される。
日本でもこのようなプロジェクトは必要だろうが、「いったいどこがやるのか?」と考えてみると、はっきり言ってどこもやりそうにない。まず、医療エスタブリッシュメントがやるわけがない。この「Medpedia」プロジェクトの発起人を見ると、やはりベンチャー系の人のようだ。日本でもベンチャーが狼煙を上げるしかないだろう。
三宅 啓 INITIATIVE INC.
いつも楽しく拝見しています。
このような思想のプロジェクトは日本でもいくつか立ち上がっていたはずで、medipedia.jp(三宅さんの仰るように、ここも例に漏れずベンチャーが主催しています)のようなところや、医療情報用語集@wiki(ここは千葉大学附属病院の方が主催されてます)を代表に挙げるのが適当かは分かりませんが、現在はどこも頓挫しているように見える状況です。余談ですが、これらも含め、wikiを使って医療情報を共有しよう的な発想は日本においては2006年に立ち上がって、だいたい2007年中に収束しているところが多いように思われるのが個人的に面白いなと思っています。
さて、頓挫している理由としては単純にインセンティブの問題なのだと思いますが、MedPediaが他と比較して有意になる要因があるとすれば、このインセンティブ管理を如何に効果的に行うか(これが=でビジネスモデルにはならないと思いますが)、ではないでしょか。また、記事中ではMedPediaの主催者は患者向けの医療情報を作ろうとしているように読めますが、医療従事者のみが編集に携わることが患者にとって最適な医療情報の構築環境には成り得ないでしょうから、メディカルコミュニケーション分野との連携をどう図っていくのかにも個人的には注目したいところです。
nishiさん
コメントありがとうございます。
そう言えばたしかに、日本でもいくつか医療者を中心としたwikiサイトが試行されていましたね。nishiさんが言われるとおりで、やはりインセンティブの問題があり、これを解決しないと持続的なサイト運用は難しいでしょうね。
それとやはり「集合知」モデルというのは、そこへ参加するメンバーの一定の量が前提になると思います。ともすると、発火点に達する前にフェードアウトしてしまうようなケースが多いと思います。
三宅 啓 INITIATIVE INC.