夏の再会

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まだまだ残暑は厳しいが、石神井公園を散歩していると秋の気配を感じるようになってきた。今年もスイカを毎日食べて「痛風知らずの夏」を過ごし、毎日美味しくビールやワインを飲めた。スイカに感謝!。

さて最近、すっかりブログを書くテンポが落ちてしまったが、また秋から徐々にテンポを上げていきたい。この秋にはブログのリニューアルをしようと考えている。前回エントリで「Health2.0の陳腐化」みたいなことを書いたが、Health2.0にフォーカスしてきたこのブログも、そろそろ視野をもっと拡大する時期に来ているだろう。医療を取り巻くイノベーションの波は、すでに「Health2.0」という古く窮屈な上着を脱ぎ捨て、先へ先へと疾走しようとしている。新しいビジョンが必要になっているのだ。

この夏、当方にとっていろいろ新しい出会いがあったが、それと同時にうれしい再会もあった。かつてTOBYOプロジェクトのパートナーとして活躍していただきながら、残念ながら当方の至らなさ故に袂を分かつ事となった株式会社メディカル・インサイトの鈴木英介さんと、およそ一年半ぶりに先月再会した。

久しぶりにお会いした鈴木さんは、以前の鈴木さんとはどこか違っているようにお見受けした。以前の鈴木さんであれば、どんな暑い夏の日でも決してスーツを離さず、おまけにネクタイまで着けていたのだが、今回お会いしてみるとノースーツ、ノータイのカジュアルな装いであったのにまず驚かされた。そして、どこか以前よりもタフで精悍な身のこなしである。「いったい、鈴木さんに何が起きたのか?」。そのわけは、この7月、鈴木さんがローンチした新しいコミュニケーション・ツール“Message Leaf”にある。 続きを読む

真夏の架空対談:Sermo総括(Health2.0を越えて)

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Sermoの謎

客) 毎日、暑いねえ。

主) 還暦の身には、今年の暑さはひとしおだ。

客) まあ、がんばって。ところで先月から、医師コミュニティSermo売却問題がずいぶん話題になったね。

主) うん。この件だが、まだすべてが明らかにされていないと思う。

客) 君は昨年から、Sermoの変調についてブログエントリをポストしていたわけだが、いつごろから気づいたのか?

主) ちょうど一年前の夏からだ。米国のHealth2.0関連サービスの現状把握をしようとデータを集めてみて、Sermoがどうもおかしいと夏頃から感じていた。だがその変調が、こんどの売却まで行き着くとは、まさか想像だにしていなかったね。とにかく今回の売却問題には謎が多い。

客) 「謎」か。それはどういうことなの。

主) 今年、年が明けて突然、ファウンダーのペールストラントがpar80のローンチを発表して驚いたわけだが、その時点ではこのプロジェクトはまだSermo内に置かれ、ペールストラントも引き続きCEOにとどまるという説明だった。

客) このpar80というのが、いまだによくわからないのだが、結局これは何なんだ?

主) それがまず第一の「謎」だ。このサイトの具体的なサービス内容はいまだに発表されておらず、しかも米国医師会に対する強烈な批判メッセージだけが掲載されている。まったく奇妙だ。意味不明なのだ。(注:現在は医療機関紹介状サービスをめざしている?) 続きを読む

医師コミュニティの競争ステージはグローバルへ

WorldOne

前回エントリは予想以上の反響をいただいた。それだけ医師コミュニティに対する関心が高いということなのか。だが、今回のSermo買収劇の背景について、実はあまり前回エントリで触れてはいなかった。あらためてそれを手短に言ってしまえば、「医師コミュニティをめぐる競争ステージは、国内からグローバルへ移動した」ということだ。

Sermoを買収したWorldOneのコーポレートサイトのトップページには、”Global Reach”とスロガーンが大きく掲出されている。まさにこのスローガンが示すとおり、WorldOneは世界の医師へのリーチ拡大施策の一環としてSermoを傘下に収めたのである。

SermoのCEOであるティム・ダベンポートもまた今回の売却理由の背景として、「クライアント企業から医師へのグローバルなリーチを求められた」と述べている。Sermo首脳部は、自分たちがたとえ国内ナンバーワンであっても、高度化するクライントの要求によって自分たちの「一国性の限界」に気づかされたということであろうが、医師SNSをはじめ医師ネットワーク・ビジネスの競争ステージは、はっきりと国内からグローバルへ移動したのである。そのことを告げる今回の「買収劇」であった。

一方、今回の買収劇とほぼ同じ時期に、日本のエムスリーは「M3登録医師、全世界で100万人を突破」と発表しているが、Sermoを傘下に収め「全世界の医師パネル170万人」を豪語するWorldOneと、今後、「Global Reach」をめぐる熾烈な競争が始まるのであろう。 続きを読む