最初にコミュニティ(闘病ユニバース)ありき

 ShinjukuCafe

これまでこのブログで何回も取り上げてきたが、私たちのTOBYOプロジェクトは、旧来の「闘病記」の延長で闘病ユニバースを捉えているのではない。同様に、旧来の「患者会、NPO、支援団体」の延長で、今ネット上で進行している「闘病グラフ」の可能性を捉えているのでもない。私たちは、何か医療に関わる啓蒙的な理念やスローガンを掲げて、患者、消費者に呼びかけるようなことをやるつもりはまったくない。むしろ、この15年の間に、日本語ウェブにおいて闘病ユニバースを自律的に創造してきた闘病者たちの後を追い、その活動成果を私たちはフォローして行っているに過ぎない。

最初にコミュニティ(闘病ユニバース)ありき。

そしてそのコミュニティは、オープンでゆるいソーシャルグラフを形成しながら自発的に発展して行った。そこには従来の医療の専門家、啓蒙家、評論家、関連団体などの姿はない。正確に言えば、これら闘病者たちの自発的な活動は、旧来の専門家から発せられるワンウェイの情報伝達を乗り越え、専門家たちから得た知識情報を比較引用しつつ、自分たちの体験を共有することで集合知を作り上げ、さらに相互学習(Social Learning)さえ開始したのである。

TOBYOは、このような闘病ユニバースの持つ巨大な可能性を実際に引出すためのツールであるにすぎない。つまり闘病ユニバースが主でありTOBYOは従であるような、そんな関係であるから、TOBYOが「主」を置いて何か啓蒙的な呼びかけをすることはない。そしてこのような闘病ユニバースの成り立ちと、旧来の「闘病記」や「患者会」などは全く無関係である。 続きを読む