昨日よりも若く: Younger Than Yesterday

事務所でBGMによくFMラジオをかけている。先日、たまたま流れてきた曲に聞き覚えがあったのでボリュームを上げると、なんとBob Dylanの名曲”My Back Pages”ではないか。しばし傾聴してみると、演奏はDylanではなく確かにByrdsのカバーバージョンのはずだが、ボーカルが微妙にRoger MacGuinnとは異なっていたので首をひねった。曲が終わりDJ氏の解説を聞くと、近日公開される映画「マイ・バック・ページ」のテーマソングだと言う。そういえばDylanの曲と同名の川本三郎氏の自伝的作品「マイ・バック・ページ」のことを思い出した。20年ほど前に読んだが、あの作品が映画化されたとは意外であった。

今日、妻を誘い映画「マイ・バック・ページ」を池袋へ見に行った。長い。全体として冗長さを禁じえず、特に俳優の顔をドアップで長回しするシーンの多用にはいささか辟易した。これではテレビドラマではないか。もっと映画的な映像を見たいと思ったが、しかしそれでも見終わった時の満足感はあった。 続きを読む

浸透してきたTOBYOプロジェクト

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新宿御苑では紫陽花が咲き始め、ホトトギスが鳴いている。6月。早いもので、もう今年も一年の半分が過ぎようとしている。だが、振り返って懐かしい過去などベンチャーにはない。ひたすら前へ、全速前進であれ匍匐前進であれ、とにかく前進しなければならない。

「闘病体験の共有と傾聴」を旗印とする私たちのTOBYOプロジェクトは、いよいよdimensionsの来月サービスインへ向け秒読み段階だ。しかし、この時期に来てプログラマがダウンしてしまい入院。早い回復を祈るのみだが、残りの工程は見えているので、予定通り来月サービスインするつもりだ。

最近いろいろな人から聞くのだが、どうやらTOBYOがビジネス界とくに製薬業界でかなり知られてきているらしく、TOBYOを仕事に利用している方も多いとのことである。うれしいことである。それもTOBYOがというよりも、TOBYOを介して、闘病ユニバースに公開された闘病体験ドキュメントに対する関心が高まっていることがうれしい。これらドキュメントは本来、闘病者のみならず、医療関係者にとっても非常に高い価値をもつデータでありながら、これまで効率よく利用する手段がなかったのである。私たちが着目したのはこの「手段」を何らかの形で提供することであった。そして、TOBYOは闘病者のために闘病体験を共有する手段であり、dimensionsはプロフェッショナルの方々のための闘病体験を傾聴する手段なのである。 続きを読む

講演「闘病体験の共有と傾聴 ~ソーシャル・リスニングの時代へ~」のお知らせ。

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このたび「医療の未来を考える会」様からのご依頼を受け、来る6月19日(日)に開催される「第4回 医療の未来を考える会」で講演をおこないます。全体のテーマは「医療情報と患者さん Health2.0で医療が変わる」とのこと。当方は「闘病体験の共有と傾聴 ~ソーシャル・リスニングの時代へ~」と題し、「闘病ユニバースの生成、TOBYOプロジェクトの現状、ソーシャル・リスニング、dimensions」などを中心にお話しする予定です。

特に今年に入ってから、私たちは「リサーチ・イノベーション、ソーシャル・リスニング」など新しいテーマをTOBYOプロジェクトやdimensionsに導入しようとしているのですが、現時点における進捗状況をお伝えできると思います。どうか奮ってご参加ください。

実施要領は下記の通りです。またお申込みは、申し込みフォームを利用できます。 続きを読む

ソーシャルメディアのデータ利用について思うこと

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もう旧聞に属するが、昨秋公開され話題となったエスエス製薬の「カゼミル」。直近24時間にツイートされたTwitterのデータから、「風邪」、「カゼ」、「かぜ」など風邪関連ワード、そして「のど」、「鼻水」、「さむけ」、「頭痛」、「せき」、「熱」など症状関連ワードを抽出し、ユーザーが公開している現在地データを参照した上で、都道府県単位で風邪の流行状況をアニメーションによって可視化している。

たしかにアイデアもアニメーションも面白いのだが、見せ物にしてしまっては、何かもったいない気もする。せっかくリアルタイム医療情報と位置情報を把握しているのだから、たとえば「全国かぜ予報」みたいな、生活者の健康管理に役立つようなサービスへ展開できるかも知れないからだ。それに全国診療所の風邪患者来院データなどと合わせると、もっと生活に役立つサービスに精緻化できるかもしれない。

このケースでわかることは、ツイートのリアルタイムデータから医療情報を抽出することが技術的に可能だとして、次にそれをどのように実際に有効活用するかという段のノウハウを私達はまだ持っていないということだ。たとえばこれを、従来のレガシー調査の延長で考えていくことはとても容易なのだが、この「かぜみる」のような斬新な発想に決して到達することはないような気がする。 続きを読む

AskingからListeningへ

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いよいよdimensions開発の追い込み段階に入った。予定通り、7月からのサービスインへ向け疾走中。ここへ来て、これまでてんでバラバラに存在していた事々が、まるでジグソーパズルのピースが嵌るように、やっと徐々に明瞭な姿形を取りはじめてきたように感じられる。

これまで、dimensions開発の過程でいろいろ思い悩むことも少なくなかった。だが結局のところ、それらはdimensionsの応用領域あるいは守備範囲がきわめて広いところに起因する。何を機能の柱とし、一体どんな理解をしてもらえばよいか、絞りきるのが難しいと思えた頃もあった。

さらに、コンセプト開発の初期段階では見えていなかった課題が次々に立ち上がり、その都度あれこれ思考を重ねているうちに、たとえば「リサーチ・イノベーション」など従来のレガシー調査を乗り越える方向が見えてきたり、また「リスニング・プラットフォーム、ソーシャル・メディア・リサーチ」など今日的なイシューが私達の視界に飛び込んできたりもした。 続きを読む