HealthTapの快進撃

HealthTap

今年はじめには、あちこちで悪評がささやかれていたHealthTap。そのHealthTapが1100万ドルの資金調達に成功し、サイトとサービスのリニューアルに取り組んでいる。当初、HealthTapはQuoraの医療版のようなQ&Aサービスを目指していたとのことだが、今回のリニューアルでは路線変更の兆しがうかがえる。どうやらHealthTapは単なる「患者-医師、Q&Aサービス」から、「患者-医師、バーチャル診察サービス」の提供へと転進しつつあるようだ。そしてその際、彼らが重視しているのはモバイルデバイスだが、決済手段としてPayPalの小額決済サービスであるマイクロペイメントを使うことが話題になっている。ウェブ医療サービスの新たなマネタイズ手段として、今後、マイクロペイメントが注目されるかもしれない。

しかし、この「患者-医師、バーチャル診察サービス」というのは、実はこれまで多数のスタートアップが挑戦しながらも、ほとんどすべてが失敗している分野である。最近ではDr2.0ことジェイ・パーキンソンがプロジェクトに参加していた”Hello Health”の挫折が記憶に新しい。現在”Hello Health”は、クラウドベースのEHRに方向転換している。「患者-医師、バーチャル診察サービス」は、いわゆる”Tele-Medicine”(遠隔医療)という医療ITではむしろ古典的なジャンルにふくまれる。昔から誰もが思いつきながらも、いまだにビジネスの不毛地帯である。これはなぜだろうか?このあたりに、ウェブ医療サービス成立条件の特殊性を探るヒントがありそうだ。

ところでHealthTapへの出資者だが、エスター・ダイソンやGoogleのエリック・シュミットをはじめ錚々たる顔ぶれである。

三宅 啓  INITIATIVE INC.