医師の役割を変えるHealth2.0

さまざまな人々がHealth2.0の定義にチャレンジしてきた。今もなおより良い定義をめぐって議論は続けられており、今後、定義自体がいっそう豊富化され成長していくと思う。今の時点で最も納得性があり、最もシンプルな定義は何かと言えば、それは「消費者参加型医療」と言えるのではないだろうか。ではこの「消費者参加型医療」だが、これはたとえば「患者中心医療」のような、具体的な内実を欠いた単なる言いっぱなしの「美しい標語」であっては困る。内実を持った実践的な実体として提示できなければならないのだ。では一体、消費者参加型医療の具体的な中身をどのように考えればよいのだろうか。

まず、消費者参加型医療という言葉をそのまま字句通り解釈すれば、医療プロセスの中へ消費者が参加し、消費者自身が何らかの活動を担うということになる。これは従来の「すべてお任せ」型のパターナリズム(父権主義)の医療からの訣別を意味するだろう。まず今日の消費者はネットを活用し、医療情報サービスなどから自分で必要な医療情報を収集することができる。これはすべての医療情報を医療者に依存し、ただ受動的に医療情報を受け取るだけの従来の立場から、情報面において消費者が能動的に自立するということだ。次に、たとえば各種検査なども医療機関まかせではなく、消費者が直接検査ラボに発注するということが考えられる。 続きを読む