明日10日、バーティカル検索エンジン「TOBYO事典」(ブログ検索)をリリース

TOBYO_Dic

TOBYO事典は、ウェブ上の闘病ネットワーク圏に蓄積された闘病者の知識と体験を横断的に全文検索する検索エンジンとして構想した。昨年5月末からブログ以外の一般サイト検索テスト運用を開始し、徐々に検索対象サイトを増やしてきた。12月に入って検索対象はTOBYO収録一般サイト2061となったが、これら一連のテスト運用で、一般サイトについてはほぼ満足のいく検索サービスが提供できるようになった。

だが問題はブログ検索であった。秋口から独自検索システム開発に着手してきたが、予期せぬ事態が多発し、大幅に開発計画は遅れてしまった。試行錯誤の末、ようやく明日公開できる段階まで来たが、まだまだ今後改善しなければならない余地を残している。とりあえず一般サイト検索とブログ検索をスイッチで切りかえる形で公開することになったが、これもいずれ一本化しなければならない。ユーザーは、一般サイト検索とブログ検索を区別しているわけではないからだ。またクローラーや本文抽出機能の精度の問題もあり、取得データ件数がまだ十分ではない。これも徐々に積み上げをはかり改善していくしかない。 続きを読む

PHRをベースに患者と治験者を結ぶ新しいサービス:TrialX

trialX

これまでの治験(医薬品や機器開発のための臨床試験)は、調査目的に合致する患者をリクルートするための手間と時間がかかるため、専門調査機関などに高額の手数料を払って実施されてきた。しかし最近では、ネット上で治験を実施する研究機関と被験者である患者をダイレクトに結ぶようなサービスが多数出現している。

ニューヨークのスタートアップ企業TrialXもその中の一つであるが、治験者側の調査目的と患者の症状を自動的にマッチングさせる機能を開発している。特に注目されるのはHealth VaultとGoogle Healthの二大PHRから、自動的に必要なユーザーの医療データを集め、ユーザーの手を煩わせることなく候補治験プロジェクトとマッチングさせるサービスである。もちろんこのサービスは、二つのPHRのうち、いずれかのアカウントを有する患者の承認によってのみ機能する。 続きを読む

祝600エントリ!祝ブログ二周年!

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このブログも今週(12月18日)で二周年を迎え、このエントリが600本目となる。特にこれという感慨もない。国内には新しい医療インターネット情報サービスについての情報が少ないので、海外ブログを大量に読み、あれこれ考え、自分のメモとして書き続けてきただけである。このように書き散らかしてきた雑文が、もし少しでも誰かの参考にしていただけるとしたら、少しは喜んでもよいのだろう。しかし、そのあたりは漠として掴みがたい。 続きを読む

患者の叡智: Wisdom of Patients

公募選出の患者家族委員4人が、日本小児アレルギー学会の専門医と協力して作った「家族と専門医が一緒に作った小児ぜんそくハンドブック2008」(協和企画)が出版された。医学的な内容は専門医が監修し助言したようだが、ハンドブックの構成、執筆などはすべて患者委員が担当した。これは画期的なことである。

診断・治療法など専門知識に偏りがちな医師向けの指針と異なり、ぜんそくの症状を自らコントロールし、安心して暮らすための生活の知恵が数多く紹介されているのが特徴。ぜんそく発作が起きた場合の対応では、体温を測る、水を飲ませる、など効果的な手当の手順を紹介したほか、救急車を呼ぶべき発作と、自宅で様子を見てよい発作の見分け方も記載した。

(中略)

患者委員を務めたアレルギー患者団体「アラジーポット」の栗山真理子専務理事は『患者はただの素人ではなく、病気と向き合う知識と経験を持つ専門家。患者が何を知りたいかは患者自身が一番知っている』と強調。 (12月13日日経夕刊) 続きを読む

さまざまなHealth2.0論

BusinessWeek0812

先週、12月4日付けのBusinessWeekの記事「Health 2.0: Patients as Partners」  で、かなり大きくHealth2.0が取り上げられた。Health2.0はすでにニッチなトレンドではなく、社会的な広がりと小さくない影響力を持つムーブメントとして認知されつつあることを、この記事は物語っているだろう。記事のクオリティも高いので、Health2.0に関心を持つ者は必見である。

ところで、スコット・シュリーブがブログエントリ「Short Selling: Why the Long View is Critical for Health 2.0」 でこの記事を批判をしている。BusinessWeek記事が、SNSだけに焦点を絞ってHealth2.0を語っていることに対する、彼独特の苛立ちがこのエントリを読んでわかった。そう言えば、この「定義」関連の問題をめぐって、二年前から様々な論客とスコット・シュリーブとの間で論争があったことが思い出される。 続きを読む