三宅 啓 の紹介

株式会社イニシアティブ 代表 ネット上のすべての闘病体験を可視化し検索可能にすることをめざしています。

オランダのHealth2.0


今月12日、13日、オランダのナイメーヘンで欧州Health2.0コンファレンス「Reshape2009」が開催されたが、そのテーマビデオ「Healthcare and internet in Netherlands」がYouTubeにアップされた。Health2.0のイメージビデオとしては、一昨年、米国の第一回コンファレンス冒頭で上映された「Health is…..」が有名だが、今回のオランダのビデオはそれを上回る出来だ。非常にウェルメイドで効果的にHealth2.0のメッセージを伝えており、すなおに感動してしまった。おそらく、これまで作られたHealth2.0関係ビデオの中では、間違いなくベストではないかと思われる。

Health2.0は米国だけではなく、全世界の医療を変革するムーブメントへ成長しつつある。このビデオを見てそんな思いを強く持った。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

新登場Health2.0ベンチャー企業、プレゼン11連発!

SF2009_Launch

今月初めサンフランシスコで開催されたHealth2.0コンファレンスで、新進企業10社および老舗「HealthLine」が勢ぞろい。最新のHealth2.0サービスやツールのプレゼンテーションをおこなった。この11本のプレゼンテーションをすべて収録したビデオが公開された。これを見れば、手っ取り早く最新のHealth2.0トレンドを概観することができる。ビデオは埋め込みができないので、このリンク先でご覧あれ。

プレゼンテーションされた製品(企業)名とプレゼンターは以下の通り。

* Remedys eRX, Matt Wiggins
* Access DNA, Lee Essner
* CarePass, Jared Crapo
* Healthline, West Shell
* LiveStrong, Tom Dean
* RelateNow, Kelly Gatzke
* Pathway Genomics, Edgar MacBean
* Trial Reach, Pablo E. Graiver
* BodiMojo, Tara Cousineau
* DNA Guide, Alice Rathjen
* Unity Medical, Michael Boerner

ビデオを見ると、どのプレゼンターもかなり緊張していることがわかる。そして「能書き」なしで、いきなりサービスを実演しながらシンプルに説明が進められている。この単刀直入さが気持ち良い。持ち時間が限られていたこともあるだろうが、新製品のプレゼンはこうでなくては。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

ショッピングセンター型患者SNS: Inspire

inspire

様々な試行錯誤が続けられている米国患者SNS市場だが、その中でもInspireはきわめてユニークなスタイルの患者SNSだ。Inspireは、患者支援団体をはじめさまざまな健康・保健団体に疾患SNSスペースを提供している。つまり、Inspireがいわば「大家」としてサイト全体を開発運営し、そこへ「テナント」として健康・保健団体が集まるという構造になっている。ショッピングセンターのデベロッパーとテナントの関係を想起すればよいだろう。

これはある意味で非常に賢いやり方だ。なぜなら、患者会など「テナント」側の会員がそのままInspireの新規会員になってくれることが見込まれ、新たにゼロから会員募集をする必要がないからだ。いわば「テナントが会員を連れてきてくれる」という仕組みになっているのだ。また、それぞれの団体は当該疾患についての専門的な知識・情報・経験を豊富に蓄積しているから、これら資産をそのまま疾患別コミュニティ・サービスに活かすことができる。おまけに有力テナント(著名な健康・保健団体)の知名度や信頼感は、サイト全体の社会的ステータスを上げることに寄与するだろう。また、それぞれのコミュニティの管理運用のほとんどは「テナント」に任せることになるから、デベロッパー側は管理運用負担を大幅に軽減できるわけだ。まさに一石四鳥だ。 続きを読む

ClevelandClinicのHealth2.0戦略

先週、MayoClinicのソーシャルメディア戦略のスライドを紹介したが、このほどMayoと並ぶ米国のトップ医療機関であるClevelandClinicのHealth2.0戦略スライド「Health 2.0は、どのように医療業務と医学研究を作り直すか」が公開された。なおこのスライドは、オランダで開催されたHealth2.0コンファレンス「Reshape 2009」で発表されたもの。

このスライドを見て、これまでWeb2.0テクノロジーの医療分野への応用を啓蒙的に語ることがこの種のプレゼン・スライドの主流であったのだが、それがより実践的な課題に落とし込まれてきていると感じた。米国やヨーロッパの医療機関では、ここ二三年の間にHealth2.0分野の実践経験が相当積み上げられてきているのではないかと思われる。このスライドでも、患者に医療機関が有力なソーシャルメディアサイトやその有効な使い方を教育することが、医療機関が提供する医療サービスの一環であることが、何の不自然さもなく語られている。 続きを読む

すべての闘病体験を可視化し検索可能にする

Orion_Ryusei

今朝、オリオン座流星群を見るべく早起きしたが、予想外に近所の街灯などが明るすぎ、あまりよく見えず残念。(写真は国立天文台の速報。観測地:山梨県鳴沢村、10月20日1時41分)

10月19日付ワシントンポストによれば、「SNSなど新しいタイプの(Health2.0スタイルの)サイト数は、四年前の35から現在約500近くまで増えてきている。」とのことである。また、「概ねこれらのサイトは、会員の医療情報を匿名化して企業に販売したり、治験リクルーティングを製薬メーカーのために行ったりして調査関連で収入を得ている。ほんのわずかのサイトが広告を販売しているが、大多数のサイトはまだ収益を上げていない」としている。

一方、Health2.0コミュニティのマシュー・ホルトなどは「今まさにわれわれが見ているのは、市場ライフサイクルにおける成長期の初期段階である」と述べている。対してここ日本では、まだHealth2.0サイトというもの自体がきわめて数少ない状態であり、市場ライフサイクルではようやく「導入期」のとば口についたばかりと言うべきか。

とはいえ、日本でも春からがん患者コミュニティやがん患者SNSが相次いでオープンされたりして、新しいチャレンジもいくつか散見される。これら日本の動きも、このブログでまとめて取り上げたいと考えている。 続きを読む