三宅 啓 の紹介

株式会社イニシアティブ 代表 ネット上のすべての闘病体験を可視化し検索可能にすることをめざしています。

新春のブラック・スワン

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昨年読んだ本の中で最も印象に残る一冊は、間違いなくタレブの「ブラック・スワン—-不確実性とリスクの本質」(ダイヤモンド社)だった。かつて「ガウス曲線のベル型カーブを頭に生やし」て仕事をしていた自分にとって、この本はまさに「ベル・カーブ、この壮大な知的サギ」(同書第15章)という事実を「これでもか!」と突きつけるものであり、そこに爽快感があった。

「ブラック・スワン(黒い白鳥)」とは何か?

むかし西洋では、白鳥と言えば白いものと決まっていた。そのことを疑う者など一人もいなかった。ところがオーストラリア大陸の発見によって、かの地には黒い白鳥がいることがわかった。白鳥は白いという常識は、この新しい発見によって覆ってしまった。
「ブラック・スワン」とは、この逸話に由来する。つまり、ほとんどありえない事象、誰も予想しなかった事象の意味である。タレブによれば、「ブラック・スワン」には三つの特徴がある。一つは予測できないこと。二つ目は非常に強いインパクトをもたらすこと。そして三つ目は、いったん起きてしまうと、いかにもそれらしい説明がなされ、実際よりも偶然には見えなくなったり、最初からわかっていたような気にさせられたりすることだ。 (同書「内容紹介」より)

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e-Patientsと参加型医療

The Quantified Patient from e-Patient Dave deBronkart on Vimeo.

昨年のHealth2.0ムーブメントで特筆すべきことは、ベンチャー企業、IT企業、医療界など従来プレイヤーの他に、新たにe-Patientsと呼ばれる消費者・患者グループが参画してきたことだろう。旧来の患者会やアドボカシーなどとは違い、ウェブを積極的に活用して患者参加型医療の実現をめざす新しいタイプの医療消費者群が登場したわけだ。

この中心的存在が、これまで当ブログでもたびたび紹介してきた”e-Patient Dave”率いる”e-Patients.net”であり、昨年、このグループが中心になり「参加型医療学会」が結成され、このほど学術誌「Journal of Participatory Medicine」が創刊された。彼らがHealth2.0ムーブメントに参画してくることによって、Health2.0は新たに「参加型医療」という次世代医療のビジョンを獲得したのだと思う。 続きを読む

ウェブ医療サービスの事業成立与件

health2.0

今年2010年は、2008年2月アルファ版からスタートしたTOBYOにとって、いよいよ挑戦の年となる。過去1年10ヶ月の間に、TOBYOは闘病ユニバースに存在する830疾患、1万8600サイトを可視化し、そのうち1万4000サイトが検索可能となった。闘病ユニバース全体はおよそ3万サイトと推定されるから、既にその60%が可視化されたわけだ。

このようにTOBYOプロジェクトの基本条件は整備され、ようやく次のステップに進むわけだが、昨年末に公開したTOBYO事業スキームをもう一度整理し直してみると次のようになる。 続きを読む

元旦から大晦日まで

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今日で今年も終わり。年末年始をゆっくりと休みたいものだが、今日(31日)も出勤してお仕事。遅れに遅れていたバーティカル検索エンジン「TOBYO事典」のニューバージョンだが、なんとか年内に公開することができた。今回のバージョンアップによって、検索対象サイトは約1万4千サイトになり、従来よりも検索結果を大幅に増やしている。闘病ユニバースに蓄積された闘病体験を、より一層、広く深く可視化できるようになったので、どんどん使っていただきたい。

今回のTOBYO事典ニューバージョンでは、将来検索ファイルサイズが大幅に増えることを想定して、Googleのような分割ファイルシステムの構築に挑戦した。大幅に公開が遅れた原因の一つはここにある。また従来バージョンで残存していた重複検索結果やゴミについてもかなり整理したが、これは今後も継続して行くことになる。だが、GoogleやYahooとは違い、あくまでも全文検索を目指しているために、重複しているように見える検索結果項目であっても別ページであることも多く、このあたりの結果表示の仕方も今後の課題になる。 続きを読む