三宅 啓 の紹介

株式会社イニシアティブ 代表 ネット上のすべての闘病体験を可視化し検索可能にすることをめざしています。

Health2.0 SF 2010の冒頭イントロで紹介されたTOBYO


先月サンフランシスコで開催されたHealth2.0 SF 2010の公式ビデオがアップされ始めた。その中で、第一日目冒頭”Welcome and Introduction to Health 2.0″のインドゥー・スバイヤ氏の発言を見ていたのだが、なんとTOBYOのことが触れられていた。

ビデオ開始から4分48秒あたりからインドゥー・スバイヤ氏が”What’s changed in Health2.0″について「四つのステージ」の説明を始める。そのうちの第一ステージ”User Generated Healthcare”において、ブログなどUGCに着目した新しいサービスとして、データ・マイニング・アプリケーションを使ったもの、そして検索エンジンを使い広範囲のブログをインデックス化しデータを構造化し可視化するもの、と二つのサービスに言及している。これを聞いてドキッとしたが、続いてインドゥー・スバイヤ氏は「二つの企業が今日デビューする。一つは日本から、一つはイスラエルから」とアナウンスした。これはもちろんTOBYOとイスラエルの「ファースト・ライフ・リサーチ」のことである。

このようにHealth2.0コンファレンス冒頭で紹介してもらえるとは、まさに光栄の至りである。(ただ、欲をいえば「TOBYO」と実名で紹介して欲しかったなぁ)。そしてまた、私たちのTOBYOやDFCのコンセプトが、世界へ持って行っても即座に理解され評価してもらえたということが本当に嬉しい。そして、ほぼ同時期にイスラエルから登場したファースト・ライフ・リサーチとTOBYOやDFCが、UGCに着目した新しい医療情報サービスのイノベーションであることをあらためて確信した。 続きを読む

「フラット化する医療情報」時代のリテラシー

HealthLiteracy

11月12日付け毎日新聞、東京版朝刊の記事「健康情報:見極めるには リスク、便益、費用…比べ選択 事例、還元し学び合う環境を」で、ほんの少しだがTOBYOが紹介されている。この毎日新聞記事は、先月掲載された朝日新聞記事「ネットの医療情報、見極める」とほとんど同じテーマを扱っている。おそらく朝日の記事に触発されたのだろう。

記事では、「二人の中山教授」による医療情報リテラシー解説が中心になっているが、特に中山和弘・聖路加看護大教授の下記コメントに共感した。禿同。

似た境遇にある人同士の体験情報の共有は「社会的なヘルスリテラシーを上げることにもつながる」と期待する。「自分だけ良い情報をもらって良い意思決定をしようというのは難しい。成功例や失敗例を還元し、学び合う環境をみんなでつくっていく意識が必要だ」

インターネットの登場により、『上意下達式に「正しい医療情報」を拝受する』という情報パターナリズムが過去のものになり、医療情報がフラット化してしまった以上、ネット上にオープンになった情報を「ユーザーが評価し、共有し、活用し、さらに評価する」という実践的利用サイクルをまわしていくことが重要になっている。極論すれば医療情報は「伽藍」からありがたくも説教されるものではなくなり、「バザール」でオープンに価値付けされ交換され共有されるものになった。「独占的に上から降ってくるもの」ではなく、「フラットに評価・共有されるもの」へと変わったのだ。これらの結果として、「個のエンパワーメント」が強化された反面、ユーザー一人ひとりの自己責任に帰せられる部分も増えた。 続きを読む

UGCソースのリサーチシステムについて

DFC_101115

開発中のDFCだが、医薬品、医療機関、医療機器、治療法など固有名詞の出現状況をテストしている。まだ全体を把握するところまできていないが、やはり基礎となるデータ量の十分な確保が何を置いても前提になることが痛感される。TOBYOの収録サイト数は今年中に2万5千件を超える見込みだが、今後も継続して積み上げを図っていくことになる。

私たちのDFCと同じような発想で開発されているイスラエルのFirst Life Researchは「16万サイト、100億レポート」を豪語しているが、掲示板やSNSなどにある闘病体験まで片っ端からクロールしているようだ。もちろんデータは多ければ多いほど良い。私たちの経験からすれば、マーケティング・リサーチに十分対応するシステムを作ろうとすると、最低でも300万ページ以上のUGCデータが必要だ。しばしば、「信頼性などデータの質の問題をどう考えているのか?」と訊かれることがあるが、UGCソース、あるいはソーシャルメディア・ソースのリサーチというものへ一歩踏み出すためには、当然、従来の「データの質」の見方も変わってくるだろう。

「量は少ないけれど質は高い」みたいなデータ観ではなく、UGCやソーシャルメディアの時代には「大量のデータを確保すれば、そこに含まれる良質のデータの絶対量も多いはずだ」というデータ観が必要になっている。データを集めるコストは劇的に下がっているのだから、前提となるのはあくまで「量」となっている。はじめから一つ一つデータの「質」を吟味するよりは、とにかく大量にデータを収集し、あとで選り分ける方が効率的だ。First Life Researchなどはこの考え方を徹底的につきつめたシステムだと言える。 続きを読む

銀杏、ハクセキレイ、システム開発

Ginnan1011

ここ数日、秋晴れの日が続いている。昨日の強風のためだろうが、昼休みに新宿御苑遊歩道を歩くと銀杏が多数散乱していた。(写真)。それを皆ばりばりと踏み潰して行くから、周囲は銀杏の匂いでいっぱいとなる。それでも、風が爽やかなので気にならない。しばらく歩いていると、見かけない小鳥が道端に降りて、何か不思議なものでも見るかのように、じっとこちらをうかがっている。小鳥の好奇心の対象になるというのも、なにか変なものだ。その仕草と鳴き声に、おもわずハチドリを想起したが、まさか、こんなところにいるわけもない。あとで調べるとハクセキレイであった。3メートルほどの間隔をおいて、双方、しばらくにらみ合い状態が続いたが、後方から多くの人が歩いてきたので近くの木陰へ飛び込んでいった。

11月に入っても、まだ延々とDFCシステム開発はつづいている。当初計画からずいぶん遅れてしまったが、まあこんなものか。とにかくこんなシステムは今までどこにも存在しなかったのだし、それに新しいチャレンジゆえの試行錯誤もあったりで、やむをえないところも多々ある。だがどうしてもストレスはたまり、ときとして爆発することもある。だから、つとめて晴れた日は新宿御苑を歩きまわることにしている。コサギやクロウなどが池で遊んでいるが、それらを見ているとストレスも減る。

12月上旬に開催が予定されているあるセミナーで「本邦初お目見え」する予定。DFCのデモンストレーションをおこなう。ま、それまでには間に合うだろうが、一日も早いに越したことはない。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

「ITで医療は変わるのか?」

Ustream101105

今宵は、Ustream「ITで医療は変わるのか?」をはじめから見た。特に、チーム医療3.0の皆さんの創意工夫に富むさまざまな実践活動紹介には感銘を受けた。医療者側でこのような試行錯誤が行われていることを知り、日本医療も捨てたものではないと素直に思えた。何よりも、従来の重厚長大で高価な完全無欠医療情報システムではなく、iPhoneやiPadなど手軽で身近でローコストなツールを「現場のアイデア」で活用しているところや、出来るところからどんどん現場課題を解決しようという実践的姿勢に共感した。「医領解放」というスローガンも良い。

欲をいえば、医療現場の効率化や情報共有に取り組むのは当然としても、医療者と闘病者との情報共有やコミュニケーション、そして医療情報提供への活用事例をもっと紹介して欲しいという感想を持った。また、PHRに対し医師側から「患者が自己の医療情報管理に腹をくくる覚悟も必要」という指摘があったが、たしかにパターナリズムから患者が自立していくことが、PHRなど新しい医療情報システムが成立する前提となるだろう。

前半は良かったが、後半はいささか冗長すぎ。毎度ながら、御大の「独演会」には食傷した。

三宅 啓  INITIATIVE INC.