TOBYO事典とX-サーチ

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8月が終わる。一時期涼しかったものの、最近ではまた蒸し暑さが戻ってきた。しかし夜には、あちこちでコオロギが鳴き始めている。

さて、TOBYOで公開している検索エンジン「TOBYO事典」とdimensionsで提供する検索エンジン「X-サーチ」の関係をよく尋ねられることがある。どちらもバーティカル検索エンジンではあるが、実のところ両者はまったく別物で、採用しているプログラム・システム自体が異なっている。

またどちらもTOBYOが可視化したデータを扱ってはいるが、対象としている時期が異なっている。守備範囲が違うのだ。TOBYO事典はあくまでテスト運用ということもあり、一昨年末までのデータを検索対象としており、その後の更新はしていない。対してX-サーチは広く最新データまで対象としている。従って検索対象サイトも、TOBYO事典が約1万4千サイトであるのに対し、X-サーチでは約3万サイトになっている。 続きを読む

dimensionsと日本の医療マーケティングの現状

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いろいろなところへお邪魔し、Mac Book Airでプレゼンしているが、相手先プロジェクタとのマッチングに手間取ることがある。ほとんどの企業ではXGAがデフォルトの解像度設定であり、WXGAなどワイド画面対応はまだ少ないようだ。春以来、プレゼンはすべてKeynoteのワイドモード画面で作っているので、今更、「4:3」画面に戻るのもめんどうだし、Lionの新機能を使って、複数のデスクトップ間とアプリ全画面表示をスピーディーに切り替えたり、Safariでページを高速移動することができず、テンポのある見せ方ができなくなってしまう。困ったものだ。

さて、この夏、dimensionsのサービス構成を見なおしてきた。いろいろな方々からのご要望を傾聴し、また価格メニューなどはっきりしていなかった部分を明確化した。それによって、dimensionsのサービスメニューは大きく「dimensions BASIC」と「dimensions CUSTOM」に分けることになった。

「BASIC」では、広大な闘病ユニバースの中を、ユーザーが縦横に探索するための汎用ツールを提供する。当面の提供ツールはディスティラーとX-サーチだが、これは今後増やしていきたい。「CUSTOM」だが、こっちは文字通り、カスタム・ソリューションのためのデータ集計および出力などのサービス群から成っている。二つにサービスを分けることは、これまでもぼんやりとイメージしていたのだが、あらためて明確化したほうが良いと判斷した。 続きを読む

夏の終わりに

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暦は立秋を過ぎた。昼休みに、新宿御苑プロムナードの小川に涼を求め散歩する毎日だが、ギラギラした日差しを遮る木陰には、もう秋の気配がそこここに佇み、夏の終わりが始まった。いつまでも夏が永遠に続くことはないのだと、当たり前のことを言ってみる。

この暑い夏、仕事を続けながらいくつかの「終わり」を見届けた。その中のひとつは音楽評論家中村とうよう氏の死である。衝撃的な氏の自殺の報に接し、あれこれ言葉にならない想いが胸をよぎったが、しばらく経って考えをまとめてみると、あんなにも栄華をきわめた20世紀の音楽産業や音楽業界が、どうやらこれで本当に終わってしまったという感想に行き着いた。ちょうど一年前の今野雄二氏の自殺に続き、20世紀後半に活躍した有力な音楽評論家が相次いでこの世を去ったが、もちろんそれぞれに個人的理由はあろうが、ここ数年の世界的な音楽業界の崩壊と無関係ではないように思えたのだ。

今更言うまでもなく、ダウンロードというパッケージ抜きのフローチャネルの台頭にともない、商品とそれに付随する情報の流通はネット上へ移動し、従来の音楽業界や音楽ジャーナリズムは致命的な打撃を被った。音楽メジャー各社は赤字転落し、大規模ショップは閉店し、音楽雑誌は次々に廃刊した。中でも象徴的なのは、音楽評論家やライターなど「専門家」による音楽作品の序列づけが力を失い、ネットによってすべての作品が水平に置かれ、ブログやコミュニティを通して情報交換されることが一般化したことである。 続きを読む

dimensionsとマーケティング・リサーチ革命

2011年7月度Jmrx勉強会資料

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昨年来、開発に取り組んできた”患者体験傾聴システム=dimensions”。前例のないまったく誰もやったことのないシステムであるだけに、その位置づけや提供価値をめぐり、開発当事者である私達自身が逡巡の末、何度も修正を重ねてきた経緯がある。幸いにもイスラエルのFirst Life Researchが、私たちと似た発想を持つプロジェクトであることが分かり、意を強くしたが、それでも自分たちがやっていることが今日のシーン全体の中で一体どこに位置するのか、視界不良のまま進んでこざるを得なかった。

だが、やがて徐々に視界は晴れ上がってきた。そして、決して自分たちが孤独ではなかったことも、今ではよく分かっている。これらはHealth2.0ムーブメントによってではなく、意外にも世界のマーケティング・リサーチ・シーンでここ数年起きている、また日本ではこれから起きようとしている「革命」の存在に気づくことによって分かったことだ。私たちは無意識のうちに、この「革命」に歩調を合わせ、同じ方向を目指していたのである。 続きを読む

米国で製薬企業がFacebookの自社ページを閉鎖

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ワシントンポスト紙によると、今週月曜日から、米国のアストラゼネカ社、ジョンソン・アンド・ジョンソン社がFacebook上の自社ページを閉鎖した。これはFacebook側が製薬企業のウォールを公開するように求めたためである。

これまでFacebookは、製薬企業だけに、ウォールへのオープンなコメント書き込みのブロックを認めてきた。これはユーザーが虚偽の副作用、不正な薬物使用、製品についての不適切な言説を書き込むかもしれないと製薬業界が懸念してきたためであり、また、これらによって規制当局を刺激するのではないかとの懸念もあったためである。

しかし先週末、Facebookはこの「特典」をやめ、一部の特殊な処方薬に関係するページを除き、製薬企業のウォールを公開するよう各社に通告した。これによりアストラゼネカ社は鬱病のページを、ジョンソン・アンド・ジョンソン社はADHDのページを閉鎖した。ファイザーはじめ他の製薬企業も、ページ閉鎖まではしないものの、不正書き込みの24時間監視体制を強化するとのこと。

(“Drug companies lose protections on Facebook, some decide to close pages”,August 13,The Washington Post.)
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