2009/10

医療改革プレゼンテーション

2009/10/01 木曜日 - 12:07:48 by 三宅 啓

このブログでも何度も使用しているプレゼンテーション・スライド共有サイト「SlideShare 」だが、このたび第三回「世界ベスト・プレゼンテーション・コンテスト」を開催した。世界130カ国から応募された3,750点の中から、グランプリに選ばれたのは「Healthcare Napkins All」という作品。これは米国医療改革をテーマとしたプレゼンテーションである。

ホワイトボードと紙ナプキンにサインペンで手書した図表を撮影するという、なんともシンプルでローテクな手法だが、無駄のない説得力あるプレゼンテーションに仕上がっている。この作者Dan Roam氏は「紙ナプキン・ライター」として有名であるらしく、「ナプキンの裏:図表による問題解決とアイデア売り込み」と題したベストセラー本まで出している。またMicrosoft、WalMart、米国上院議会等の指導者に、複雑な問題を「視覚思考」で解決する指南役をしているとのこと。 »もっと読む・・・ »

個別化細分化する闘病情報ニーズ

2009/10/02 金曜日 - 13:30:41 by 三宅 啓

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夏から、闘病体験バーティカル検索エンジン「TOBYO事典」の改善&アップデートに取り組んできたが、先月リリースの予定がまたまた遅れてしまった。もうしばらく時間がかかりそうだ。今回の改善&アップデートでは、検索精度の向上と検索インデックス拡大を目指している。しかし、検索インデックスが増加するにつれ検索結果の量も増えるわけで、これは「目指す情報に最短で到達したい」というユーザーニーズに反することになる。海外のバーティカル検索エンジンでは、検索結果にフィルタリングオプションをつけるなど様々な工夫があるのだが、TOBYO事典も将来はこれらを導入していきたい。

当面の問題は、検索対象が増加すればするほど検索結果のSN比が下がり、ユーザーの求める情報にたどり着きにくくなることだ。たとえば乳がんの闘病者が、乳がん治療抗がん剤の副作用を調べたいと考えているとしよう。現状、「TOBYO事典」ではすべての検索インデックスを対象に検索を行っているから、乳がん以外の双極性障害や1型糖尿病の闘病ドキュメントまでが検索対象に含まれる。乳がん闘病者は、当然、乳がん闘病ドキュメントだけを検索したいはずなのに、現状では他の疾患の闘病ドキュメントにたまたま書かれた乳がん抗がん剤のページまで検索結果に表示されることになる。 »もっと読む・・・ »

Microsoftの個人健康管理ツール”My Health Info”登場

2009/10/05 月曜日 - 11:56:15 by 三宅 啓

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今月1日から、Microsoft社は「MSN Health & Fitness」  に新しい個人健康管理サービス「My Health Info」ベータ版を公開した。このサービスは個人医療情報管理のためのツール群をウィジェットとして提供するもので、ユーザーは自分のページに好きなウィジェットを自由に配置して使用できる。現在、次のようなウィジェットが提供されている。

  • 健康データ管理:
    BMIトラッカー、血圧トラッカー、血糖値トラッカー、検査ラボデータ、心拍数トラッカー、歩数トラッカー
  • 個人医療情報管理:
    病歴、薬歴、予防接種、アレルギー
  • 健康ニュース:
    医学論文、高血圧ニュース、糖尿病ニュース
  • その他:
    高血圧FAQ、糖尿病レシピ、HealthVaultアプリ

この個人健康管理サービス「My Health Info」の特徴は、ツールをウィジェット化しユーザーの必要に応じてカスタマイズできる点と、MicrosoftのPHRプラットフォームであるHealth Vaultと連携している点である。これでHealth Vaultにある自分の医療情報を、ユーザーは自由に活用できるようになるわけだ。 »もっと読む・・・ »

バザールとしての次世代医療システム:

2009/10/06 火曜日 - 15:40:40 by 三宅 啓

まずは訂正から。先日エントリで、厚労省の資料から「日本の総患者数2,674万人」としたが、あとでよくよく考えてみれば、この資料はうつ病など精神疾患が抜けており、実際の総患者数はもっと多いはずだ。だがいずれにしても、闘病ユニバースの推定サイト3万件というのは全患者数から見て少ないことに変わりない。

昨日、TOBYO収録サイト数は1万7千件に達した。以前よりは収録ペースを落としているが、今後も収録数を増やし、いずれ闘病ユニバースの全体像をユーザーに提示できればと考えている。これまで過去に何回か「量的拡大の限界」ということを立ち止まって考え、「量から質への移行」など模索してきたこともあった。だが「推定3万件」という闘病ユニバースのサイズを考えてみると、十分に手の届くサイズであり、このまま全体像に近い規模まで収集を続けていきたい。 »もっと読む・・・ »

新しいファンドレイジング手法: ドネーション・ミュージック

2009/10/07 水曜日 - 09:35:10 by 三宅 啓


去る7月1日から、ACジャパン(旧公共広告機構)の「国境なき医師団」支援キャンペーンCMがTV放映されている。このテーマソング「BEYOND THE BORDER」が9月30日からドネーション・ミュージックとしてネット配信されている。ドネーション・ミュージックとは楽曲をダウンロード購入した際、コストを差し引いた収益金を寄付する仕組みだ。収益金は「国境なき医師団」に全額寄付される。今回のキャンペーンでは複数のミュージシャンやアーティストの参加が予定されており、今後ドネーション対象作品は増えるようだ。このキャンペーンを企画運営しているのは電通ソーシャルデザインエンジン。

クリック募金をはじめ、非営利団体のファンドレイジング(資金開拓)手法がさまざまに開発されてきているが、今回のドネーション・ミュージックもその一環と考えてよいだろう。当方のTOBYOプロジェクトも目下、資金還流スキーム作りに取り組んでいるのだが、これらファンドレイジング手法を採用することになるし、今回のドネーション・ミュージックのような方向性は、スキームを考える際大いに参考になる。 »もっと読む・・・ »

次世代ウェブ医療サービス登場!: keas

2009/10/08 木曜日 - 11:18:43 by 三宅 啓

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6日付NewYorkTimesは、アダム・ボズワース氏率いる「keas」のローンチを紹介している。アダム・ボズワース氏がGoogleHealthプロジェクトから離脱すると同時にGoogleを去り、すでに2年が経過した。これまでのボズワース氏の業績から見て、かならず画期的な医療サービスを開発してくれるとの期待は大きかったが、登場した「keas」はこれら期待に応え、まさに次世代ウェブ医療サービスのあり方を具現化するものである。

これまでのウェブ医療サービスは、さまざまに雑多なスタイルはあれど、おおむね「医療情報サービス」というくくり方で一括できるものであった。つまり「医療情報」をどのようにユーザーに提供するかをめぐり、提供方法のバリエーションと便益性を競うものであった。そしてここにおける「医療情報」とは、あくまでも「一般的な医療情報」のことであった。疾患情報、薬剤情報、治療情報、医療機関情報など多岐に渡るとはいえ、これらはあくまで一般化され抽象化された情報である。ここで欠落しているのは個別性であり具体性であり、さらに言えば特定個人についての情報である。だが闘病者が求めているのは、たとえば「乳がん」という一般医療情報ではなく、本当は「自分の乳がん」に関する個別情報なのだ。 »もっと読む・・・ »

ネット医療情報利用実態と今後の展望

2009/10/09 金曜日 - 16:45:22 by 三宅 啓

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以前、ブログなどで闘病体験を公開している日本の闘病者はおよそ三万人であり、全患者に占める割合は非常に小さいと書いた。このことについて、その後あれこれ考えていたのだが、去る6月「Pew Internet & American Life Project」が発表した米国におけるインターネット医療情報利用実態調査報告書を見ると、やはり同じような傾向が米国にもあることがわかった。Health2.0ムーブメントの隆盛がある一方では、このような厳しい現実も存在することを直視したい。

まず同報告書は「米国成人のうち61%が医療情報を求めてインターネットにアクセスしており、これは2000年(25%)から著しく増大」としている。しかし「インターネットの世界に一層深く関与しつつも、引き続き米国成人は医療情報のトラディショナルソース(医師、家族、書籍等)も参照している」とも指摘している。そして注目すべきは同報告書が「インターネットによる医療情報利用者のうちの約半数は、自分のためにではなく、誰か他人の代理で情報を検索している」と指摘しているところだ。これでいくと、実際に自分のためにネット上の医療情報を利用しているのは成人の約30%になる。 »もっと読む・・・ »

e-Patient Revolution

2009/10/13 火曜日 - 14:45:48 by 三宅 啓


先月ポストしたエントリ「参加型医学(Participatory Medicine)」で、最近米国で脚光を浴びる機会が多い「参加型医学」と「e-Patient」のことを取り上げた。これまで日本でも「患者中心医療」などの言葉はあったが、はっきり言わせてもらうと単なるスローガンに終わっていたと思う。言葉だけで患者を持ち上げながら、実体はなんら変わるところのない従来医療。そんなトリックは患者からとっくに見破られていることを、医療者は早く気づいた方が良い。

ところで参加型医学ムーブメントを担ってきた「e-Patients.net」 が中心となって、今月26日-27日、フィラデルフィアで「e-Patient Connections 2009」 と題されたコンファレンスが開催される。そのPRビデオが公開されたのでご紹介したい。

「革命」という文言にはいささか食傷するが、今後、医療の参加者としての患者の役割は増えていくに違いない。たとえば、患者が自分の闘病体験をドキュメントにまとめ上げ、ネットで公開する利他的行為なども、その「参加」の一つの形態であるだろう。TOBYOプロジェクトはそのような「患者参加」をエンパワーすることをめざしている。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

病院のソーシャルメディア戦略: MayoClinic

2009/10/14 水曜日 - 12:59:49 by 三宅 啓
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最近公開された米国MayoClinicのソーシャルメディアに関するプレゼンテーション。MayoClinicと言えば、米国でも最もマーケティングとコミュニケーション活動に熱心な医療機関として知られている。特にかつてのMedicalEdgeなどは、一種の医療情報通信社としてマスメディア向けに定期ニュース配信までしており、医療機関の広報センターとしては破格の存在であった。だがここ数年のうちにマスメディアの影響力は激減してきており、MedicalEdgeも規模を縮小され、新たにMayoClinicのソーシャルメディアへの取り組みが開始されたようだ。

数年前、日本のある大手病院にMayoClinicをモデルとしたコミュニケーション活動戦略を提案したことがあった。競合プレゼンの末、当方提案は採用されたのだが、実施段階で結局フェードアウトの憂き目に会った。責任感のきわめて薄弱な病院幹部の態度には呆れたが、事務方にマーケティングやコミュニケーションがわかるスタッフが皆無であることにも驚いた。これでは、戦略的なコミュニケーション活動などできるわけがない。 »もっと読む・・・ »

FoxBusinessで「keas」を語るアダム・ボズワース氏: keas

2009/10/15 木曜日 - 14:16:52 by 三宅 啓

今月からベータ公開を開始した「keas」だが、やはり「あのアダム・ボズワースのプロジェクト」ということもあってか、米国では各方面の強い関心を集めている。その注目の人アダム・ボズワース氏が、FoxBusinessに登場し自らkeasを語っているので紹介しておきたい。また、「Adam Bosworth’s Weblog」でも、氏自身のkeasの説明「Learning from customers」 がポストされているのでご参照あれ。

「keas」自体はユーザー個人に特化した具体的な問題解決の提供という点で、従来にないユニークな医療サービスになっていると思う。おそらくこれに23andMeのような遺伝子解析サービスが付加されれば、最強のテーラーメイド医療サービスへ進化していくのではないか。

そしてまた、まったく新しいウェブ医療サービス領域を切り開きつつあるPatientsLikeMeなどとも、Keasはいずれどこかでクロスするような気がする。すでにこの春から、PatientsLikeMeと23andMeが、共同してパーキンソン病克服プロジェクトの取り組みを進めている。どうやら消費者向けウェブ医療サービスの今後の行方は、この三社を中心として展開していくような予感がする。

三宅 啓  INITIATIVE INC.