11月22日、コンサートの夜

UTAU

昨日11月22日は「いい夫婦」の日。それでと言うわけでもないが、仕事を早めに切り上げ、三軒茶屋で妻と待ち合わせ、昭和女子大の人見記念講堂で大貫妙子と坂本龍一のコンサートを聞いた。夕暮れ時に小雨が降る11月の街を足早に歩いていると、何か気持ちが静まるような瞬間に出会うことがある。そんなことを考えながらコンサート会場に着いた。

コンサートは予想以上に良かった。大貫妙子の歌をかれこれ35年は聞いてきたが、その表現は以前にも増してピュアで深い。一曲一曲の静寂な佇まいが、ちょうどこの季節のこんな夜の空気と解け合う時間を体験した。アンコール最後の曲「風の道」の余韻を胸に、雨の夜を家路についた。

DFCシステム開発の遅れと格闘しながら、新しい勇気を得たような気がした一夜だった。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

UGCソースのリサーチシステムについて

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開発中のDFCだが、医薬品、医療機関、医療機器、治療法など固有名詞の出現状況をテストしている。まだ全体を把握するところまできていないが、やはり基礎となるデータ量の十分な確保が何を置いても前提になることが痛感される。TOBYOの収録サイト数は今年中に2万5千件を超える見込みだが、今後も継続して積み上げを図っていくことになる。

私たちのDFCと同じような発想で開発されているイスラエルのFirst Life Researchは「16万サイト、100億レポート」を豪語しているが、掲示板やSNSなどにある闘病体験まで片っ端からクロールしているようだ。もちろんデータは多ければ多いほど良い。私たちの経験からすれば、マーケティング・リサーチに十分対応するシステムを作ろうとすると、最低でも300万ページ以上のUGCデータが必要だ。しばしば、「信頼性などデータの質の問題をどう考えているのか?」と訊かれることがあるが、UGCソース、あるいはソーシャルメディア・ソースのリサーチというものへ一歩踏み出すためには、当然、従来の「データの質」の見方も変わってくるだろう。

「量は少ないけれど質は高い」みたいなデータ観ではなく、UGCやソーシャルメディアの時代には「大量のデータを確保すれば、そこに含まれる良質のデータの絶対量も多いはずだ」というデータ観が必要になっている。データを集めるコストは劇的に下がっているのだから、前提となるのはあくまで「量」となっている。はじめから一つ一つデータの「質」を吟味するよりは、とにかく大量にデータを収集し、あとで選り分ける方が効率的だ。First Life Researchなどはこの考え方を徹底的につきつめたシステムだと言える。 続きを読む

銀杏、ハクセキレイ、システム開発

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ここ数日、秋晴れの日が続いている。昨日の強風のためだろうが、昼休みに新宿御苑遊歩道を歩くと銀杏が多数散乱していた。(写真)。それを皆ばりばりと踏み潰して行くから、周囲は銀杏の匂いでいっぱいとなる。それでも、風が爽やかなので気にならない。しばらく歩いていると、見かけない小鳥が道端に降りて、何か不思議なものでも見るかのように、じっとこちらをうかがっている。小鳥の好奇心の対象になるというのも、なにか変なものだ。その仕草と鳴き声に、おもわずハチドリを想起したが、まさか、こんなところにいるわけもない。あとで調べるとハクセキレイであった。3メートルほどの間隔をおいて、双方、しばらくにらみ合い状態が続いたが、後方から多くの人が歩いてきたので近くの木陰へ飛び込んでいった。

11月に入っても、まだ延々とDFCシステム開発はつづいている。当初計画からずいぶん遅れてしまったが、まあこんなものか。とにかくこんなシステムは今までどこにも存在しなかったのだし、それに新しいチャレンジゆえの試行錯誤もあったりで、やむをえないところも多々ある。だがどうしてもストレスはたまり、ときとして爆発することもある。だから、つとめて晴れた日は新宿御苑を歩きまわることにしている。コサギやクロウなどが池で遊んでいるが、それらを見ているとストレスも減る。

12月上旬に開催が予定されているあるセミナーで「本邦初お目見え」する予定。DFCのデモンストレーションをおこなう。ま、それまでには間に合うだろうが、一日も早いに越したことはない。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

ジャングル・ビートとDFC

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いきなり冬。コートを出した。今年の天候は極端だ。このまま厳寒の日々が来るのか。紅葉はどうなるのだろう。

一昨日、横浜へ山下達郎ライブを聞きに行った。昨年春も中野サンプラザで聞いたが、ボーカルパワーは今回の方が圧倒的に上。最初リズムがやや重いように感じたが、徐々に全速疾走。前半のジャングル・ビート(Bo Diddley!)ものメドレーが面白かった。お決まりの“心臓に指鉄砲”でのクラッカーなど、みんな楽しんでいたね。あっという間に3時間が経った。

ところで夏から開発に取り組んできたDFC(Direct From Consumer)(上図)だが、遅れてはいるものの進捗している。今日、ディスティラーが部分的に動くようになったので初めて使ってみたが、これは予想以上におもしろいツールになりそうだ。企画段階から「今までにないユニークなツール」というイメージを描いていたが、実際に動くさまを目にしてみて、たしかに今まで誰も体験したことのないユーザー・エクスペリエンス(ちとオーバーか?)だと思った。 続きを読む

医療情報の生態系

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先週10月20日付け朝日新聞朝刊に「ネットの医療情報、見極める」と題する記事が掲載され、ネットにも公開された 。TOBYOや当方コメントも紹介してもらったが、ネット医療情報の現状に対する多様な声を、ポイントを押さえながらも非常にコンパクトにまとめ上げてあり良い記事だと思った。この記事によって諸関係者の布置が俯瞰され、TOBYOプロジェクトが置かれている現下の位置がよくわかったのである。

しかしながら、ネット上の医療情報の信頼性にかかわる問題は、かれこれ10年も前から同じような議論が繰り返され、一向に前進していないように思われる。これはなぜなのか。記事には「ただ日本では、検索エンジンで上位に並ぶのは企業や個人のサイトが多い。怪しげな治療法を勧めるサイトもあって問題だ」(CNJ関係者)との発言もあり、このあたりを調べてみると「ネット上の医療情報の質の日米比較」論文まで書かれているようだ。(CNJの参考ビデオ)。それによれば、米国よりも日本の方が圧倒的に「ネット医療情報の質」は劣るとのことだ。だが、どうして「量」の前に「質」を論じてしまうのだろう。逆ではないのか。 続きを読む