「Health2.0 Japan」について

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先週、ある夜の席で盛り上がり「ぜひ日本でも、Health2.0 Japanコンファランスをやろうじゃないか!」という話になった。この春にはパリでHealth2.0コンファランスが開催されることもあり、なんとか日本でもやりたい。米国のHealth2.0コミュニティの人たちも呼びたい。一杯入ったせいもあるが、そんな話で楽しく盛り上がった。

だが、翌朝あらためて考えてみると、意外に情況は難しいことがわかった。というのはHealth2.0と銘打ったイベントについて、米国Health2.0コンファランス主催者であるマシュー・ホルトとインドゥー・スバイヤが名称使用権を押さえているのである。そういえば、カナダではMedicine2.0というコンファランスが毎年開催されているが、なぜHealth2.0と言わないのかと訝しく思っていたが、実はこの「権利問題」があったせいなのだ。他に昨年ドイツでもHealth2.0をテーマにしたコンファランスが開かれたが、これも「Health2.0」と表記することができず、わかりにくい名称のイベントになっていた。 続きを読む

DTC & DFC: 二つの潮流に基づくマネタイズイメージ

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先週ポストした「TOBYOのネクストステージ」では、闘病ユニバースに存在する闘病サイトの再可視化に触れたが、これはTOBYOが保有するデータを使いやすくするために、単に再編することをめざすものであり、「ネクストステージ」のための準備作業ということになる。では事業化を含めた本来の「ネクストステージ」はどうなるのか。基本的にそれは、闘病ユニバースと医療関連業界の間に、「DTC&DFC」の二つの潮流を創出することになると考えている。

この二つの太い潮流には、データ、アテンションそしてマネーが流れることになる。これまで闘病ユニバースと医療関連業界との間にはほとんど関連はなく、お互いが別個に独立して存在していたといえるだろう。TOBYOプロジェクトはこれら二つの間を架橋し、相互を還流する二つの潮流を創出したいと考えているのだ。 続きを読む

TOBYOのネクストステージ

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TOBYOでは、これまで「ネット上の闘病サイト群」から成るルースで自然発生的なコミュニティを「闘病ユニバース」と呼び、その可視化を進めてきた。これは端的に言って、闘病サイトを一つ一つ調査し「どこにどんな病気の体験があるか」を明らかにするものであり、いわば闘病ユニバースのマップを作るような作業であった。そして現在、2万件近い闘病サイトがこのマップ上にプロットされたわけだ。

次に、このマップを参照してTOBYOのクローラが闘病サイトを訪問し、検索キャッシュを取得し保存蓄積していくことになる。現在、約300万ページのデータが蓄積され、バーティカル検索エンジンによって検索可能となっている。TOBYOプロジェクトは、このように二つのステップを経て現在に至っているわけだ。ではこの「次」は一体どうなるのか?

昨年年末から、闘病体験データを社会的に還流させ、さまざまな問題解決に寄与していくイメージをこのブログで書き出してきたが、それは最終的にDFC(Direct from Consumer)というコンセプトにまとめあげられた。DFCを具体化するために、テキストマイニングなどブログリサーチの手法を検討しているわけだが、この前提として、TOBYOが把握している「Consumer」の可視化を、現状よりさらに推し進めなければならないのではないかと考え始めている。 続きを読む

医療分野のTwitterメッセージを可視化する: The Health Tweeder

HealthTweeder

HealthTweeder は、医療関連のTwitterメッセージを可視化するツール。Twitterメッセージを病名や症状ごとにペトリ皿にまとめている。メッセージ数はペトリ皿の大きさによって表示されるから、今話題になっている医療関連テーマが一目でわかる。おもしろい。

三宅 啓  INITIATIVE INC.

変化し始めたPHR像について

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先月、RevolutionHealthは2月いっぱいでPHRサービスを停止すると発表した。このことは米国の医療ITコミュニティで少なからぬ波紋を呼んでおり、医療情報システムの中でもっとも注目されてきたPHRの将来を不安視する議論も出てきている。

だがRevolutionHealthのPHRは、ユーザーが自分の医療情報を手作業で入力するような「DIY型PHR」であり、結局、このようなモデルのPHRがワークしないことが実証されただけであるとの見方が多い。もともと、煩雑さがデメリットであることはわかっていたというわけだ。事実、RevolutionHealthでPHRを利用していたユーザー数は、わずか数百人に過ぎなかったと発表されている。

現在、個人医療情報を蓄積しているのはたとえば医療機関のEHRだが、GoogleHealthやHealthVaultなど新しいモデルのPHRはこれらからデータを入手し、ユーザーが自分で入力することはない。しかしGoogleHealthやHealthVaultなどのPHRが、今後順調に発展していくかどうかについても、最近これを疑問視する見方も出てきている。各種世論調査によれば、米国においてPHRは消費者にほとんど認知されておらず、またその必要性についても肯定的な意見は少ない。これらから、いわゆる「Direct-to-Consumer」型PHR市場の成立は容易ではなく、相当時間がかかるのではないかと見られはじめている。

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