前エントリで米国Health2.0シーンの活況ぶりに触れたが、その後出たデータを見ると、第三四半期(7月-9月)におけるベンチャーキャピタルの医療ITスタートアップに対する投資総額は2億3百万ドルで、これは第二四半期(4月-6月)の6千6百万ドルの約三倍になっている。同時に、医療IT企業間のM&Aも活発に行われており、第三四半期は総額47億ドルに達している。
第三四半期における、主な医療ITスタートアップのVCからの資金調達は以下のとおり。
- ZocDoc 7500万ドル
- Awarepoint 2700万ドル
- CareCloud 2010万ドル
- One Medical Group 2000万ドル
- SeeChange Health 2000万ドル
おもわずヨダレが出そうな状況だが、これに加え、米国政府のスタートアップ支援によるイノベーション促進政策を追い風として、医療ITスタートアップ支援へ向けたインキュベータ組織&個人が次々に立ち上がっている。
・The Startup Health, Jerry Levin
・Entrepreneur and philanthropist Esther Dyson
・Digitas Health Co-founder Linda Holliday
・Health 2.0 co-founders Matthew Holt and Indu Subaiya
・Blueprint Health
・Health technology startup accelerators Rock Health
一番最後の「Rock Health」だが、これはこの前のエントリで紹介したスライド”State of Digital Health”を制作したインキュベータ組織。名前からしてユニークで面白そうな組織だが、ハーバード・ビジネススクールを卒業したばかりのHalle Tecco(上写真)と、23andMeに在籍していたPatrick Chungによって、サンフランシスコで最近設立された組織である。Halle Teccoだが、彼女は在学中にアップル本社インターンシップとして、iTunes App Storeの医療カテゴリー・アプリを評価する仕事をしていたらしい。
彼女の手元には、大手医療機関や医療関連企業のアプリが評価に回されてくるのだが、「私は一日中、大病院やヘルスケア組織の人達と電話で話していたけど、かれらは自分たちのアプリに愛がなかった。」、「かれらはチェックボックス戦略でアプリを作っていたけれど、それらにはまったくクリエイティビティもイノベーションもなかった。」とインタビューで述べている。これらの経験によって、自分でイノベーティブなスタートアップを支援するインキュベータを作ろうと考えたという。
なるほど。とりわけ従来のHealth2.0コミュニティの外部に、医療のイノベーションを試行する多様なムーブメントが出現していることは注目に値する。今後は、Health2.0だけを見ていてはだめだろう。
Rock Health。とにかく私はこの名前が気に入っている。これまでの医療関連組織につきものであった、妙に糞真面目で鹿爪らしいイメージが微塵もない。そこが良いのだ。名前どおり、激しく「医療をロック」してくれ!。今後、注目すべき組織かつ運動体だ。
三宅 啓 INITIATIVE INC.