PracticeFusionがPHRへ進出

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「無料EHR」で一世を風靡したPracticeFusion だが、このたびsalesforce.comとの提携を発表した。この提携は、PracticeFusionにsalesforce.comが投資(総額は発表されず)すると同時に、PracticeFusionが公開準備しているPHR(patient health record)をクラウドコンピューティング開発プラットフォーム”Force.com”上に構築するといもの。

このニュースを読んで、昨日エントリで触れたミシシッピー州メディケイドEHRと同じく、ますます医療情報システムのクラウド化が進展していることがうかがえる。その際のキイワードは「無料」ということだろうが、二年前、PracticeFusionはGoogleAdSenseを利用した「無料EHR」を発表している。当時は「広告付きのEHR」ということが議論になったが、その後、同社は確実にユーザー数を増やしており、現在では18,000人の医師が同社EHRを利用しているようだ。

そして、PracticeFusionはいよいよPHRを公開するようだが、これは従来の同社EHRとどのような位置関係になるのだろうか。というのはEHRとPHRは関係が深く、非常に似ているとも言える。「同一医療情報システムを医療者から見ればEHRになり、消費者から見ればPHRになる」というようなことは実際に起きる。事実、EUの各国政府が構築している医療情報システムなど、一体、EHRなのかPHRなのかが判然としない。つい最近、オーストラリア政府が2012年を目標に全国民参加のPHRを構築すると発表しているが、これもEUと同じようにイマイチはっきりしない。考えてみればEHRとPHRの決定的差異はシステム自体にはなく、「データのコントロール権」を誰が持つかにあるはずだ。

だがいずれにせよ、Microsoft「Health Vault」の優位が次第に明らかになってきているPHR市場に、PracticeFusionのような斬新なアイデアを持った企業が参入することは良いことだと思える。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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