患者体験共有へのアプローチ

PeerWidom

患者体験共有サービス「TOBYO」は近々α版を公開する予定だが、米国でも患者体験共有サービスが増加してきている。この分野では、すでにこのブログでOrganizedWisdomPatientLikeMe をご紹介したが、他にも新しいスタートアップ企業がステルスモードでローンチを準備している。

アマゾン出身者が準備する”PeerWisdom”

二人の元アマゾン出身者が新しい医療情報サービス”PeerWisdom”を開発している。この二人はキース・スコルシュ氏とルーベン・オルテガ氏で、スコルシュ氏はアマゾンで家電部門を統括、オルテガ氏はアマゾンの有名な検索エンジン「A9」のチーフ技術役員であった。

この二人と他の元アマゾン社員からなるスタッフで今年始めから開始された“PeerWisdom”は、すでにベンチャーファンドから資金200万ドルを調達済みであり、年末にはサービスをローンチする予定と伝えられている。

「一般的な医療情報を超えること。それから似たような病気体験を持つ人々を結びつけること。」をめざす”PeerWisdom”であるが、まだ具体的にどのようなサービスを提供するかは公表されていない。

増加する患者体験共有サービス

患者体験に着目したものとしては、前述の”OrganizedWisdom”や”PatientLikeMe”などが挙げられるが、そういえばGoogleのアダム・ボスワース氏も次のような発言をしている。「消費者が彼らと似た健康状態にある人々から学んだり、教えたりできるようにすべきだ」。

闘病者が一般的な医療情報の無味乾燥性を補い、より具体的でかつ自分の状態に合致する情報を得るためには、自分と同じ病気を体験した人に学ぶのが一番である。その意味で、患者体験という実際に生きられた医療情報の活用が、これから非常に重要になってくる。これは、そもそもわれわれが「TOBYO」を企画した出発点であった。それゆえ、われわれは、これら患者体験にフォーカスした医療情報サービスに親近感を感じつつも、早く「TOBYO」を立ち上げなければとの思いがつのる。
パブリックスフィアで共有される闘病体験

ところで、先行する”OrganizedWisdom”や”PatientLikeMe”はSNSという側面も強く持っている。どちらかと言うと、SNSという切り口でデビューしていると考えてよいだろう。だが貴重な闘病体験を、閉鎖的なコミュニティ内部に秘匿することに対しては、われわれには何か抵抗感がある。狭い「仲間内での共有」ではなくて、切実に闘病体験を求めている未知の探索者に対しても、広く共有の可能性を開いておく方が好ましく思われる。

闘病体験は、まず闘病者自身が生きた体験である。そのことは否定できない。だがそれは、そのような個人的体験であるところから出発し、さらにパブリックスフィアへ配信され、文字通り「公共財」となり共有されるべきなのではないかと考えている。われわれの「TOBYO」はそのような仕組みを機能させる一つのツールなのだと思う。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


患者体験共有へのアプローチ” への1件のコメント

  1. TOBYOの志を理解する上で、貴重なお話ですね。

    そもそも闘病体験記を書かれている方は、見知らぬ誰か、それも自分と似たような境遇にある人に見て欲しいという思いが(自身で気づかれているかどうかは別として)どこかにあって、記されていることが多いと思いますので。「公共財」を目指すという考え方に大いに共鳴致します。

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