桜の木の下の禅問答

sakura0903しばらくブログを休んでいたが、この間に一気に春到来。新宿御苑界隈の桜も一斉に開花しはじめた。さて闘病体験検索エンジン「TOBYO事典」だが、年初から、「1万人の闘病記を全文検索」とのうたい文句を文字通り実現すべく試行してきた。ようやく、なんとかもうすぐ拡張版を公開できるところまできた。これで一応、「国内初の闘病体験専門検索エンジン」を世に問うことになる。だが、今後まだまだ改良改善は続く。なぜなら、単なる「汎用検索エンジンの特化版」を作るところで止まってしまうのでは、闘病体験検索エンジンがもつ本来の可能性を殺すことになるからだ。実はTOBYO事典を開発しながら、これまで見えていなかったアイデアや可能性がいくつか出てきている。まずTOBYOが扱っている情報は「闘病体験」という特殊な情報である。この情報の特殊性というやつを深く考えてみると、非常に興味深い諸点がいくつも浮かび上がってくる。今のところTOBYOやTOBYO事典が提供しているのは、ウェブ上にアップされた闘病体験ドキュメントを可視化し、整理し、アクセス可能にすることだが、最終的には、たとえば「闘病者が、ある特定の闘病体験を持つ他の闘病者を探す」ことをサポートするところまで行く必要があるかもしれない。これは一種のマッチングサービスといえるが、そのキイになるのは闘病体験に伴う「具体的なディテール、個別の事実、固有名詞」といったものだろう。特化型検索エンジンはこれらを隅々まで可視化するが、さらにそれら「体験の断片」を補うコミュニケーションプロセスが必要となる。いわば「ディテールの全体化」である。換言すると、闘病体験の肝はディテールにあるのだが、それだけでは闘病者の問題解決を実現できない。個別のディテールは「問題解決」に貼られたタグなのだ。ユーザーはタグ自体ではなく問題解決を求めている。今はまだ、以上のように雲をつかむような言い方しかできない。これではまるで禅問答。しかし、たとえば「Q&A」のようなサービスについても、従来にはない、まったく新しい考え方でサービスを構築できるかも知れない。これからの医療情報サービスは、闘病体験という新しい手がかりを得て、別次元へ進化する可能性があると思う。三宅 啓  INITIATIVE INC.


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