12月。新システム開発は依然として続く。いろいろと新たな難所が「こんにちは!」と顔を出してきているが、一つ一つ解決していくほかない。むろんシステム開発の遅れは、身体にも精神にも良い影響を及ぼさない。しかし、遅れることによって得られる知恵やアイデアもある。むしろサバサバした明鏡止水の心境で、これまで熟慮できていなかった諸点を考え直してみるのも良いだろう。
まず「DFC」があまりにも直截に新システムの概念規定をしてくれたように思えたので、これまであまりシステムの具体的な機能やその意味を、立ち止まって深く考えることはなかった。だが、徐々にシステムが現実に姿を表すようになってくると、次第に、むしろシステムが持つ具体的機能自体を表現する言葉が必要だと思うようになった。単に「医療消費者の生の声を直接エキスパートへ」ということでは、まだこの私たちのシステムの新しい機能や可能性を十分に言い尽くしていないと感じるようになった。
だが。この新システムの機能を説明することは容易ではなかった。このようなシステムが、これまでどこにも存在しなかったからだ。夏場にようやく仕様設計書が完成し打ち合わせをしたとき、設計者である奥山の説明にプログラマーもデザイナーもどことなく腑に落ちない顔をしていたのを思い出す。また、私自身も振り返ってみると、ブログリサーチのシステムに影響されたせいもあるが、あのファースト・ライフ・リサーチ社のように「時間軸」というものを過度に重視していたので、変な話だが、このシステムの本当の芯に位置する価値とその意味を十分には把握できていなかった。
私たちは「DFC」という直截な言葉の虜になり、システムとその機能自体に真正面から向きあってはいなかった。開発の遅れが、そのことに気づきを与えてくれたのである。詳細はおいおいこのブログで公開していくが、まず最小限の結論を先に書きだしてみたい。
- システム・ネーム: PED (Patient Experience Dimensions)
- 対象: 患者体験空間(多次元空間)
- 目的: 患者体験空間を基本次元に分解し、医療、製品、サービスの評価を得る
- 機能: 複雑な多次元空間としての患者体験空間を、固有名詞群からなる病院、検査法、治療法、薬品など基本次元へ精製・分解・整理し、それぞれの次元において、実際に患者が体験した医療事実、状況、そしてそれらの評価を一覧提供する。
まだ生硬な表現だが、徐々にくだいていきたい。ついでに言えば、システムネームがコンセプトを兼ねている。
三宅 啓 INITIATIVE INC.