日本のHealth2.0: 2.0を語るな。2.0をやれ。

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「日本のHealth2.0」というイシューが語られるようになったのは、今年の夏、六本木ヒルズで開催されたHealth2.0 Tokyo Chapter2からだと思う。当日、私もパネルディスカッションに参加し意見を述べたが、現状を見れば事業プレイヤーの数の少なさは覆うべくもない。

私たちのTOBYOは、米国におけるHealth2.0ムーブメントに大きな刺激を受けてきた。2006年以来、米国のHealth2.0シーンはウェブ医療サービスの実験場であり、ありとあらゆるビジネスモデルが登場しては消えていった。一説では2,000社のスタートアップ企業がローンチしたとも言われている。その中で成功したとされる企業は数少ないが、とにかく膨大な量のチャレンジがこの分野に集中したのだ。成功したケースに学ぶことは必要だが、多くの失敗ケースもまた貴重な教訓をあとに続くものに語ってくれている。

その中で徐々に、「このケースはうまくいくが、このケースが成立する余地は少ない」というふうに、いくらか見通しが立てられるような状況が生まれている。だが、米国と日本では医療制度がかなり異なり、事業のフィージビリティを同一視できるわけでもない。米国における実験に学びながら、日本固有の状況に適応していく必要もある。

「日本のHealth2.0」というイシューがいくばくかの有効性を持つためには、まず何をおいてもプレイヤーの量が増えることが大前提となるだろう。20代、30代の若いファウンダーがこの分野でどんどん出現してくるような状況が必要なのだ。それがイメージできないのなら、このイシューはなんの現実的な基盤も持たず、単なる同好の士の趣味談義と変わるところはない。

逆に「なぜ若い人達がこの分野に来ないのか」と議論を立ててみれば、「日本のHealth2.0」の置かれている位置がよくわかるのではないか。ときどきベンチャーを志す若い人から医療分野参入の相談を受けることがあるが、彼らが異口同音に言うのは「ビジネスモデルが作りにくそう」ということである。あるいは「がんじがらめ制度で自由度が低そう」というのもある。これらは現実の一端を正確に言い当てている。彼らはしっかりと日本医療の現状を認識しているのだ。

もしも「日本のHealth2.0」を現実のムーブメントにしたいのなら、これら若者たちの疑念を払拭する成功事例が現れねばならない。そしてそれをまだ誰も成し得ていないのなら、自分がやるしかないだろう。Health2.0のみならず、およそ「2.0を語るだけの人」に何の値打ちがあるだろうか。そんな人は不要だ。アイデアを作り、リスクを取り、手を動かして動くものを作り、サーバーを動かす。誰でも2.0以降、少しの努力と学習を積んで自由に好きなチャレンジが出来るようになってきた。失敗しても構わないじゃないか。

「Health2.0」論をえらそうに語る前に、自分でチャレンジしてみたらどうか。それが日本医療を変えることになるかも知れないのだ。

Don’t talk about 2.0. Do it.

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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