先週末予告した通り、1月10日土曜日にTOBYO事典のブログ検索サービスを公開することができた。収録闘病サイト数も1万1千件を超え、これで当初から構想してきたTOBYOの基礎は一応出来上がってきたと言える。闘病ネットワーク圏がどの程度の大きさを持っているかはわからないが、TOBYOがこの闘病ネットワーク圏のディレクトリや検索エンジンとしての役割を果たすことができれば、あるいは闘病ネットワーク圏を構成するサイトや闘病者の交流促進に寄与できれば、これ以上に嬉しいことはない。
便宜上、これまで「闘病記」という言葉を用いて闘病ネットワーク圏を構成するサイト群のことを表現してきた。本当は、もっと適切な言葉があれば良いのだがと思う。TOBYOが着目してきたものも、「闘病記のネット版」ではなく、あくまでも闘病者達が自然発生的に知識や体験を共有してきた「ネット的な現象」である。たとえばブログが単なる「日記のネット版」を越えてソーシャルメディアと呼ばれる位置を獲得したように、闘病サイトは「闘病記」という単なる情報パッケージを越えた役割を果たしてきているはずなのだ。そしてそのことは、従来の闘病記や患者会などの枠組みでは理解できない、新しい質を持ち、新しい可能性を生み出しているはずなのだ。
Health2.0というムーブメントもこのような文脈から出てきている。たとえば、ネット上に出現した新たな患者同士の関係性が、現実の医療をも変革する潜在力を持っていることが次第に明らかになってきた。そして、ネットが患者や消費者に与える力が、疲弊した医療を再生する原動力になることを見抜いた人たちが、Health2.0の旗を立てたのだ。
新しい質を持ったネット的な現象を医療の分野に持ち込むこと。やはり今年も、TOBYOはこのことを目指していく。
三宅 啓 INITIATIVE INC.