メイヨークリニックがマイクロソフト社HealthVaultを採用

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昨日(1月25日)、メイヨークリニックとマイクロソフト社は「コンシューマー向けオンライン医療管理ツール」の共同開発へ向けた戦略的合意に達したと発表した。これはマイクロソフト社のHealthVaultをプラットフォームとして、メイヨークリニックが独自PHRを開発することを意味するが、全米のみならず世界的なトップブランド先進医療機関であるメイヨークリニックのHealthVault参加は、PHR市場の今後の動向に大きな影響を与えることになるだろう。

メイヨーグループのメイヨークリニック・ヘルス・ソリューション社CMO(Chief Medical Officer)のブルックス・エドワーズ氏は、この戦略的合意について次のように述べた。

「われわれは、患者やコンシューマーが自分でコントロールできるような、新しい技術ソリューションを探すことに注力している。われわれとマイクロソフト社の連携は、患者が医療環境のまさに中心に位置づけられることを強化するツールを創造する、非常に刺激的な機会である。」

一方、マイクロソフト社の医療部門であるマイクロソフト・ヘルス・ソリューションズ・グループのVPピーター・ニューパート氏は、この戦略的合意について次のようにコメントしている。

「コンシューマーは暮らしをより快適にし、意志伝達を容易にし、健康管理を助けるツールを求めているし、またそれらを与えられるべきだ。マイクロソフトのHealthVaultプラットフォームに基づいてツールを構築することで、われわれのグループは、医療と福祉を効率的に改革するために、ダイナミックにしてセキュアー、そしてユーザー・ニーズに焦点を合わせたソリューションを個々人に提供することに専心している。」

今回、両者が提携の下、HealthVault上で開発されるPHRの詳細プランは年末までに公表されるとのことである。メイヨークリニックは自グーループ内EHRの開発では、たしかIBMと包括的な契約を結んでいたはずだが、PHRではマイクロソフトを指名することになった。一般的にEMRやEHRが既に先行している医療機関のケースでは、PHRを新たに構築する際、EMRやEHR上の患者データをPHRへアップロードすることになるはずだが、問題はデータ仕様の統一標準化である。

昨日のエントリーで触れたGoogleHealthでは、「医療記録をあなたの医師、薬剤師の元からダウンロードする」という説明があったが、この場合、「医療者側EMRのデータ仕様のばらつきの問題」と「医療者側の動機形成の問題」(医療者がわざわざGoogle Healthへ患者データをアップロードする必然性がない)が容易に解決されないのではないかと、早くも疑念が表明されている。それに比べると、今回のメイヨー&MS提携では「動機形成の問題」は自グループPHRということで問題ないし、「データ仕様の問題」もHealthVaultが多数のデータ仕様に対応できているということなのだろう。

一方のマイクロソフト社だが、HealthVaultのマーケティングではどうやら医療機関や医療団体との連携に注力しているフシがうかがえるが、これは雇用者側PHRであるDOSSIAに対抗する戦略的な意図があるためだろうか?。

<Source>
Mayo Clinic News Release, Friday, January 25, 2008:
“Mayo Clinic, Microsoft Announce Strategic Agreement To Develop Consumer Health Management Tools”

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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