先月2月15日、マーケティング調査会社のジュピターリサーチ社が、医療UGM調査”Online Health: Assessing the Risk and Opportunity of Social and One-to-One Media”を発表した。
その調査結果によれば、米国の成人インターネットユーザーのうち、34%(約5400万人)が昨年一年間に医療や保健の問題に関するUGMのコンテンツを見たことがあると答えている。
ヘルスコネクター
ジュピターリサーチ社はこれらのユーザーを「ヘルス・コネクター」と呼んでいる。この層は、UGMの影響力が引き続き増していることもあり、医療マーケターや医療関係者が接触しなければならないセグメントであるとしている。
「ヘルス・コネクターは有意義で明解な情報や信用を共有しており、どの薬を買い、どの病院を利用し、どの医師と会い、どの保険を買うべきかなどの重要な医療上の意思決定に、それら共有された情報が影響を与えるようだ。」とジュピターリサーチのシニアアナリストであるモニカ・レビは言っている。
「このことはブランドとサービスに損害を与えるが、もしクチコミやソーシャルマーケティングの梃子を使うことができれば、利益にもなる。」
「われわれは、多数の市場において、UGMがインパクトを成長させるのを見続けてきた。医療市場も例外ではない。」とジュピターケーガン社のデビッド・シャツキー社長は述べている。「オンラインユーザーは医療コンテンツを消費し、創り出し、共有するモチベーションが高い。このことはヘルスコネクターの間に効率的なバイラル・ネットワークが存在していることを提起しており、肯定するにせよ否定するにせよ、医療UGMは早く広がっていくだろう。」
勝手にコメント: 闘病記とUGM
医療UGMの調査に関して、先日「生活者のWeb医療情報利用実態」を紹介したが、これに続くマーケティング調査結果。有料レポートのために詳細データがすべて公開されていないのが残念。しかもいささかマーケティング寄りで、UGMの影響力の分析はあるが、UGMの医療コンテンツにおける位置づけと役割をどう評価するかという視点は希薄。
同様の調査が今後増えてきそうであるが、欧米で言うところの医療UGMあるいは医療ソーシャルメディアとは何を指すのだろうか。もちろん医療とはいえ他分野と同じで、ブログやWikiなどがあげられるのだろうが、そのようなメディア形式ではなくて、闘病記のようなコンテンツ・パッケージが欧米で一般的なのかどうか、ということを問うているのである。そう考えると、欧米で日本のWeb闘病記のようなものは多くないような気がする。
闘病記は英語で”Hospital Diary”と言われるようだが、何か日本語で言うところの「闘病記」の語感とは違うような気がする。”Patient Blog”という言葉もあるが、これも「闘病記」とはニュアンスが違う。米国の大手病院のWebサイトでは、トップページに「ペーシェント・ストーリー」というコンテンツが置かれているが、日本の闘病記はこれに近いのかもしれない。しかしインタビュー形式であるところなど、闘病記とはやはり違いがある。このように日本の闘病記は、世界では異質な存在である。
ひょっとすると日本の闘病記というコンテンツは、世界の先頭を行く日本オリジナルのものかもしれない。