NEWS:ショッピング感覚の病院選択ツール”Healthcare Facts”

NEWS

米国ルイジアナ州で、今までにないユニークな「ショッピング感覚」の病院選択ツールがローンチした。“Healthcare Facts”は、ミネソタに本拠を置くコンシューマー・アウェア社が開発し、大手ヘルスプランのブルークロス&ブルーシールドを通じて提供されている。

「病院の栄養成分表示ラベル」のメタファー

“Healthcare Facts”のトップページには、スーパーの店頭で売られている牛乳かジュースのようなパック写真が、成分表示ラベルを向けて掲載されている。この写真に象徴されているように、”Healthcare Facts”は「病院の成分表示ラベル」をメタファーに使い、親しみやすく分かりやすい形で病院情報を生活者に提供しようとしている。

HF

「病院だけの栄養成分表示みたいに・・・」
「”Healthcare Facts”は簡単にわかり、あなたに最もフィットする、最良の価格で最良の品質の病院選択をサポートするツールです。”Healthcare Facts”は病院についての事実を提供するので、あなたの個人的ニーズに合った医療体験を探すことが出来ます。」
(”Like a nutrition label, only for hospitals.”)

「ラベルを読んで事実を得よう」
“Healthcare Facts”は、アメリカで売られているすべての食品や飲料に付いていて、広く使用されている栄養成分表示ラベルに範をとっています。このおなじみのフォーマットを使えば、医療情報に対するプレッシャーをより少なくし、より分かりやすく簡単に利用できるようになります。」(”Shopping for care”)

このように、まるでスーパーマーケットで食品や飲料を手に取り栄養成分表示ラベルを見て選ぶように、病院のパフォーマンス情報を「病院の栄養成分表示ラベル」に模して整理要約し、生活者がこれを見て簡単に病院を選べるようにしてある。

成分表示ラベルの内容

HF2

図はその病院の成分表示ラベルの例である。記載されてある主な情報カテゴリーは以下のとおり。

●価格
●治療と処置
●安全と質
●サービスと技術
●主要施療分野上位五位
●病院ステートメント

これはどの病院についても同一フォーマットで表示される。最初に「価格」が表示されているところなど面食らうが、これはブルークロス&ブルーシールドが持っている各病院への支払いデータから算出されたもの。

この”Healthcare Facts”と従来の病院選択ツールの違いであるが、こう説明されている。
「他のたいていの医療情報ツールと違い、”Healthcare Facts”は『レポート・カード』という形式には設計されていません。これは”Healthcare Facts”が病院や他の医療機関をレイティング(格付け)していないということです。そのかわりに、消費者がどの病院が最も彼らのニーズや好みにフィットするかを決めるために利用できる、事実に基づく記述的な情報を提供しています。これは、病院を評価する唯一つの最良の方法はない、という”Healthcare Facts”の設計思想を反映しているのです。」

病院の情報開示

さて、日本でこのようなツールが登場する可能性はあるだろうか。かなりむつかしいのではないだろうか。病院についての「事実に基づく記述的な情報」というのが、このツールの設計思想のコアコンセプトであると考えられるが、たとえば「術後の院内感染率」のデータまでが病院ごとに標準値と比較開示されているのである。日本では、第三者がこのような情報を入手してユーザーに提示すること自体が、ほとんど不可能に近いと思われる。

米国ではこのように、さまざまな病院選択ツールが提供されているが、それはその背景に、病院パフォーマンスにかかわるデータがかなりオープンに開示されているという事実を抜きに論じることはできないのである。

一方では、今週からカリフォルニア州で病院レイティング・サイトが立ち上がっている。続けてご報告したい。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>